第12話 フォルクス(脚本)
〇可愛らしいホテルの一室
食事を終え、以龍たちはラビッシュを連れて部屋に戻ってきた。
ラビッシュ「じゃあ、映像を流すよ?」
刻印を擦り、刻印を光らせる。
──宙に浮いた文字に触れ、いくつかの項目を選択していくと、部屋の壁に映像が投影され始めた。
〇山中の坂道
映像の中のラビッシュは、左手の刻印から球体のようなモノを映し出していた。
その球体の中には二つの光の点が表示されている。
中央に赤い光の点。そしてその右上方には白い光の点が点滅している。
「この先か。近いな」
どうやら球体はレーダーのようなモノみたいだ。
──ラビッシュが刻印の球体を消す。
ラビッシュが球体を消すのと同時に、ラビッシュの頭上を黒い影が横切って行った。
ラビッシュがアームガンのフォースウェポンを生成する。
──そして、頭上の影の主に目を向ける。
〇木の上
影の主は『フォルクス』だ。
ただ、以龍の知るフォルクスとはある一点だけが違っていた。
──圧倒的な大きさである。
翼を広げたその姿は、ゆうに五メートルを超えているだろう。
〇可愛らしいホテルの一室
以龍 渚「──なんだ、あれは?」
ラビッシュ「だから、あれがおいらの追ってるフォルクスだよ」
以龍 渚「昼間のグリズリーよりデカいじゃねぇかっ!!」
イリア「まるでドラゴンみたい・・・ あんなフォルクスがこの山にいるなんて、知りませんでした」
ラビッシュ「なんであんなフォルクスが存在しているのかはおいらにもわかんないんだ」
ラビッシュ「言えるのは、アイツは大きさだけじゃなく、強さもけた違いだってことだけさ」
〇木の上
ラビッシュが炎の魔法を具現化し、カードを生成する。
生成されたカードをアームガンのカードスロットへと挿入した。
銃口をフォルクスに向け、アームガンから具現化された炎の魔法を撃ち放つ。
──銃口から炎の弾丸が連続で放たれる。
何発かはフォルクスの腹部に命中するも、フォルクスは何事もなかったかのように飛行を続ける。
アームガンからの炎の弾の射出が止まる。
カードスロットから炎の具現化魔法カードが排出されると、カードは灰となって消えた。
ラビッシュからの銃撃が止まるのと同時に、フォルクスは旋回し、ラビッシュに向かって突進してきた。
ラビッシュは回避行動をとりながら、新たな具現化魔法カードを生成する。
出来たカードを素早くカードスロットにセットする。
銃口をフォルクスに向けるが、突進攻撃を外したフォルクスはすでに上空へと飛び上がっていた。
ラビッシュは攻撃の機を逃したと判断し、アームガンのカードスロットから具現化魔法カードを排出させた。
排出した具現化魔法カードを消し、新たなカードを生成する。
新たなカードをアームガンにセットし、銃口をフォルクスに向ける。
フォルクスが再度旋回し、ラビッシュに向かってくる。
この突進を待っていましたと言わんばかりにラビッシュは笑みを浮かべ、銃口の狙いをフォルクスの顔面に合わせる。
「くたばりやがれっ」
銃口から強烈な爆撃が放たれる。
──どうやら、新たに生成したカードは一撃必殺の爆発魔法だったらしい。
ラビッシュは砲撃の反動でその場に倒れ込むことになったが、爆発魔法はフォルクスに命中し、フォルクスは爆炎に飲み込まれた。
爆炎を見上げ、勝利を確信したラビッシュは、アームガンの武装を解除し、刻印を擦り、バウンティの報告作業に入ろうとしていた。
──次の瞬間、フォルクスが爆炎を突き抜け、上空へと舞い上がっていく。
旋回し、ラビッシュに向かってくるが、倒れ込んでいるラビッシュには突進攻撃は届かなかった。
フォルクスはラビッシュへの攻撃を諦め、上昇を開始する。
「!! ──まずいっ、シグナルを」
ラビッシュは自分の刻印を飛び上がろうとしているフォルクスに向ける。
刻印から小さな光の弾が射出され、フォルクスの腹部に付着する。
フォルクスがそのまま飛び去り、ラビッシュの映像はここで終わる。