私立闘英学園怪人部!

篠也マシン

全怪人全英雄、ここに激突! 空想武道『特殺道』(脚本)

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〇荒廃したハチ公前
  百年に渡る英雄と怪人の最終戦争は──
  英雄の勝利で幕を閉じた。
  残された英雄と怪人たちは、二度と戦争を繰り返さないと誓い合った。
  彼らの強大な力は──
  様々な『変身武具』に封印され、各地へ散らばった。

〇ハチ公前
  時は流れ・・・
  その力は、修練を通じて人間形成を目指す
  武道として蘇る。
  特殊変身殺陣道(とくしゅへんしんさつじんどう)
  すなわち

〇田舎の学校
クラスメイト「いくぞー!」
クラスメイト「よっしゃ、ゴール!」
光太「・・・」
光太「僕も仲間に・・・」
クラスメイト「だめだ」
クラスメイト「お前、見た目も暗いし、一緒に遊んでもつまらないんだよ」
光太「そんな・・・」

〇巨大ドーム
光太「なんでいつも仲間外れに・・・」
光太「ん?」
光太「何のイベントかな?」
  看板には、『全国高校総体特殺道決勝』と書かれてあった。

〇近未来の闘技場
光太(特殺道・・・実際に見るのは初めてかも)
審判「はじめ!」
「変身!」
A級怪人『青鬼』「せいっ!」
A級英雄『甲虫』「やあっ!」
A級怪人『青鬼』「ぐ・・・」
A級英雄『甲虫』「壱、弐、参──」
A級英雄『甲虫』「充力完了」
A級英雄『甲虫』「飛燕双槍脚(ひえんそうそうきゃく)!」
A級怪人『青鬼』「ぐああっ!」
選手「うう・・・」
審判「必殺技一本!」
審判「優勝は・・・」
審判「『私立闘英学園』!」
光太「す、すごい!」
光太(あんな風にカッコよく変身できれば──)
光太(僕にも友達ができるかな)

〇名門校の校門(看板の文字無し)
  十年後
  私立闘英学園
光太「ここが、あの時見た英雄の学校・・・」
光太「入学式が終わったら、特殺部へ行ってみよう」
光太「今日から僕は変わるんだ」

〇渡り廊下
光太「ここか」
  看板には、『英雄部』と書かれている。
光太「『特殺部』じゃなく『英雄部』?」
光太「とりあえず入ろう」

〇道場
光太「すごい数の入部希望者!」
光太「さすが名門校だ」
北郷「静かに!」
白凰「私が部長の白凰である」
白凰「まずは、貴様たちの英雄適性を見せてもらう」
白凰「変身できない者の入部は、叶わないと思え」
光太(適性・・・!)
光太(心配になってきたぞ)
白凰「まずは貴様からだ」
新入生「はい!」
白凰「北郷、彼に武具を渡せ」
北郷「はい」
新入生「──変身!」
新入生「で、できた!」
北郷「この武具はC級だ」
北郷「大抵の奴に適性があるから安心しろ」
光太(なんだ)
光太(心配して損した)
白凰「そのまま模擬戦を行う」
白凰「変身!」
光太(あれは子供の時に見た・・・)
A級英雄『甲虫』「これは『甲虫』」
A級英雄『甲虫』「我が校に代々伝わるA級武具だ」
光太(変身すると声まで変わるのか)
A級英雄『甲虫』「修練を積めば、使いこなせる者もいるだろう」
光太(おお!)
光太(憧れの英雄になれるかもしれない)
A級英雄『甲虫』「いくぞ!」
新入生「ぐっ!」
A級英雄『甲虫』「よく倒れなかったな」
A級英雄『甲虫』「合格だ」
新入生「ありがとうございます!」
A級英雄『甲虫』「次の者!」

〇道場
光太(いよいよ僕の番)
光太「変身!」
光太「変身! 変身!」
北郷「おいおいおい」
北郷「C級に変身できない奴がいるとはな」
白凰「北郷──茶化すな」
北郷「す、すいません」
白凰「・・・貴様には適性がないようだ」
白凰「残念だが入部はあきらめろ」
光太「そんな・・・」

〇渡り廊下
光太「結局、また仲間外れか・・・」
???「そこの新入生」
光太「はい?」
赤石「悩み事か?」
光太(げ、不良っぽい先輩・・・)
光太「何でもありませ──」
赤石「英雄部に入部できなかったんだろ?」
光太「どうしてそれを!?」
赤石「昔の俺と同じ顔をしてるからな」
赤石「俺は赤石という」
赤石「俺の『怪人部』へ来ないか?」
赤石「英雄が駄目でも、怪人になれるかもしれないぜ」

〇フェンスに囲われた屋上
赤石「本来、特殺道は、英雄と怪人のどちらに変身しても良い」
赤石「だが、うちの特殺部は、数年前から英雄至上主義を掲げててな」
赤石「英雄適性のない者を締め出したんだ」
光太「それで英雄部なんですね・・・」
赤石「ああ」
赤石「俺も英雄適性がなかった・・・」
赤石「けど、怪人適性はあったから、こうして新たに部を立ち上げたわけさ」
赤石「英雄部を見返すためにな」
光太「僕も、ちょっと納得できないかも・・・」
赤石「──だよな」
赤石「怪人適性、調べてみるか?」
光太「は、はい」
赤石「これはC級怪人の武具だ」
赤石「これで適性があるか分かる」
光太(今度こそ・・・)
光太「変身!」
光太「Tー! (で、できた!)」
光太「Tー? (あれ、うまく話せない?)」
赤石「この怪人に変身すると、常人離れした力と引き換えに、うまく話せなくなるんだよ」
光太「Tー (なるほど)」
赤石「これでお前に怪人適性があることが分かった」
赤石「怪人部・・・俺と一緒にやってみないか?」
光太(この先輩・・・悪い人ではなさそうだ)
  光太は、首を縦に振った。
光太(けど・・・)
光太(さらに暗い見た目になったような・・・)

〇フェンスに囲われた屋上
  翌日
光太「部員は僕たちだけ」
光太「ちゃんとした練習場所もないなんて」
光太「最初に教えといてくださいよ」
赤石「そう言うな」
赤石「屋上は風が気持ちいいぞ」
光太「夏は暑そうですけどね・・・」
赤石「さて」
赤石「今日は試合の流れを教えるぞ」
赤石「まず、審判の合図と共に変身する」
赤石「いくぞ──」
「変身!」
赤石「変身後、お互いに攻撃し合い──」
赤石「一定ダメージを与え、変身を解除させた方が勝利だ」
光太(覆面怪人同士は言葉が通じるんだ)
赤石「だが試合時間は短く、普通に戦っても大きなダメージは与えられない」
赤石「そこで──」
光太「必殺技ですね」
赤石「ああ」
赤石「相手の隙に乗じて力を溜め、必殺技を繰り出す」
赤石「頭か胴に当てれば『一本』」
赤石「変身を強制解除できる」
赤石「そして、必殺技で最も大切なのは──」
赤石「赤狼拳ー!!」
光太「おおっ!」
赤石「充実した気勢を持って放たなければ、一本にならない」
赤石「つまり、必殺技を叫べということだ」
光太「なるほど・・・」
女子生徒「・・・あの人たちヤバくない?」
女子生徒「変な恰好で、「T」ばかり言ってるよね・・・」

〇フェンスに囲われた屋上
赤石「くー!」
赤石「部活の後はやっぱコレだ!」
光太「ですね」
光太(こんな風に、誰かと放課後を過ごせるようになるなんて・・・)
光太「そういえば、先輩」
光太「英雄部を見返すって言ってましたが、具体的にどうするんですか?」
赤石「もちろん殴り込みだよ」
光太(とんでもないこと考える人だな)
光太「そもそも、英雄に勝てるんですか?」
光太「ほら、怪人って英雄に負けるイメージですし」
赤石「実際、インターハイの優勝者はいつも英雄だな」
光太「そうなんですね・・・」
赤石「最終戦争の時、強い怪人は軒並みやられ、強力な武具はほぼ残っていない」
赤石「こういう戦闘員タイプのものが大半なんだ」
光太「そうですか・・・」
赤石「落ち込むのは早いぞ」
赤石「『ほぼ』残ってないといっただろ?」
赤石「闘英学園は、古くから特殺道が盛んだったから、こんなものが伝わっている」
光太「剣・・・?」
赤石「これはS級怪人に変身できる武具だ」
光太「じゃあ、これを使えば英雄にも・・・!?」
赤石「強力な武具ほど特別な適性が必要なんだ」
赤石「特にS級へ変身できるのは、一つの時代に一人といわれている」
光太「先輩に適性はなかったんですか?」
赤石「ああ」
赤石「俺だけじゃない」
赤石「過去一人もいないらしい」
赤石「倉庫で眠らせてるのは勿体ないから、俺がお守り代わりに拝借してるのさ」
赤石「いつか──使いこなすヤツが現れるのを願ってな」
光太「・・・試してみても?」
赤石「いいぜ」
光太「変身!」
赤石「やっぱ駄目か」
光太「ですよね~」
赤石「・・・まあ」
赤石「武具も大事だが、肉体や精神の強さも重要だ」
赤石「英雄部に負けないように、鍛えようぜ!」
光太「はい!」

〇フェンスに囲われた屋上
  その後

〇フェンスに囲われた屋上
  厳しい修練を積んだ結果
赤石「光太、これはすごい成長だな」
光太「はい!」
光太「「T」以外の言葉を話せるようになるなんて」
「・・・」
赤石「強くもなったよな」
光太「・・・多分」
  そして
  英雄部に闘いを挑む日を迎えた──

〇渡り廊下
赤石「いくぞ!」
光太「はい!」
「変身!」

〇道場
光太 & 赤石「オラッ!!」
新入生「なんだ!?」
赤石「俺たちは怪人部!」
赤石「これまで入部拒否されてきた、数多くの人達の恨みを晴らしにきた!」
光太(まあ、たった二人だけど)
A級英雄『甲虫』「──屋上でこそこそやっていた連中か」
光太(A級英雄『甲虫』)
光太(・・・白凰部長)
A級英雄『甲虫』「今、インターハイに向けて大事な稽古をしている」
A級英雄『甲虫』「お前たちの遊びに付き合う暇はない」
赤石「お遊びはどっちかな?」
新入生「怪人風情が舐めた口を!」
新入生「せい!」
新入生「俺の拳を受け止めた!?」
赤石「オラッ! 赤狼拳!!」
新入生「ぐ・・・」
A級英雄『甲虫』「・・・少しはやるようだな」
A級英雄『甲虫』「このA級英雄『甲虫』が相手しよう」
赤石「光太、ここは俺に任せろ」
光太「はい!」
審判「・・・私が審判をします」
A級英雄『甲虫』「頼む」
A級英雄『甲虫』「いくぞ!」
赤石(さすがA級!)
赤石(受け止めるだけでやっとだ)
赤石(だが耐えていれば必ず隙が──)
A級英雄『甲虫』「今のが本気だとでも?」
赤石(この速さ──)
赤石(さばき切れない!)
赤石「ぐ・・・まずい!!」
A級英雄『甲虫』「壱、弐、参──」
A級英雄『甲虫』「充力完了」
A級英雄『甲虫』「飛燕双槍脚(ひえんそうそうきゃく)!」
赤石「ぐああー!!」
審判「必殺技一本!」
光太「先輩!」
赤石「・・・面目ねえ」
光太「くそ・・・」
A級英雄『甲虫』「お前も立ち向かうつもりか?」
光太「・・・ああ」
A級英雄『甲虫』「はあ!」
光太「うわっ!」
A級英雄『甲虫』「おいおいおい」
A級英雄『甲虫』「何だ、そのへっぴり腰は」
光太「うう・・・」
A級英雄『甲虫』「さっさと終わらせてやる」
A級英雄『甲虫』「壱、弐──」
光太(やっぱり僕は・・・)

〇モヤモヤ
???「情けない男だよなあ」
光太「誰だ!?」
光太「それに、ここは・・・?」
???「くく・・・」
???「君の疑問は直に分かるさ」
???「それより、教えてくれないか?」
???「君が特殺道を始めようとした理由について」
光太「──変身し、暗い自分を隠したかったから」
???「それから?」
光太「──友達もほしかったんだ」
???「ふむ、それから?」
光太「えっと・・・他には・・・」
???「やれやれ・・・そんな上っ面な理由を並べてどうする」
光太「・・・え」
???「君は心の深い深い底で、あるものを欲してるのさ」
光太「あるもの?」
???「とてもシンプルなものだ」

〇田舎の学校
クラスメイト「お前、見た目は暗いし、一緒に遊んでもつまらないんだよ」

〇道場
北郷「おいおいおい」
北郷「C級に変身できない奴がいるとはな」
白凰「・・・貴様には適性がないようだ」
白凰「残念だが入部はあきらめろ」

〇モヤモヤ
???「そう、力がないゆえに──」
光太「僕は虐げられてきたんだ」
光太「だから・・・今」
「僕は変わる!」

〇道場
A級英雄『甲虫』「──充力完了」
赤石「ん!?」
赤石「剣が勝手に──!」
光太(来い、僕の元へ!)
光太「──変身」
A級英雄『甲虫』「その姿は・・・!?」
S級怪人『鉄仮面』「・・・」
A級英雄『甲虫』「まあいい」
A級英雄『甲虫』「所詮怪人──英雄が負けるわけがない」
A級英雄『甲虫』「飛燕双槍脚(ひえんそうそうきゃく)!」
赤石「こ──」
赤石「光太―!!」
審判「必殺技いっぽ──」
審判「いや、入ってません!」
A級英雄『甲虫』「受け止めた!?」
S級怪人『鉄仮面』「──冥王剣」
A級英雄『甲虫』「なんだ──!?」
A級英雄『甲虫』「ぐああっ!!」
審判「必殺技・・・一本!」
赤石「すげえぞ光太!」
赤石「部長から一本取るなんて!」
S級怪人『鉄仮面』「これで僕たちの力を認めるしか──」
白凰「──貴様ら、何をしている」
S級怪人『鉄仮面』「部長!?」
S級怪人『鉄仮面』「それじゃあ・・・」
北郷「ぐ・・・」
白凰「まったく──」
白凰「私がいない間に好き勝手にやられるとはな」
白凰「北郷よ」
白凰「『甲虫』を託したというのに情けない」
北郷「す、すいません」
白凰「怪人部──貴様らも少々度が過ぎるようだ」
S級怪人『鉄仮面』「この前、僕はあなたに入部拒否されたんだ」
S級怪人『鉄仮面』「無礼はお互い様だろう」
白凰「貴様、あの時の新入生か」
白凰「随分と自信をつけたようだが──」
白凰「『甲虫』程度に勝って喜ぶとは青い」
S級怪人『鉄仮面』「え?」
白凰「『甲虫』は毎年複数の適性者が現れる」
白凰「本物の英雄は・・・一時代に一人しか現れない」
白凰「──変身」
S級英雄『白銀』「──S級英雄『白銀』」
S級怪人『鉄仮面』(すごいプレッシャー・・・!)
S級怪人『鉄仮面』「だが──」
S級怪人『鉄仮面』「引くわけにはいかない!」
S級怪人『鉄仮面』「冥王剣!」
S級英雄『白銀』「はあー!」
S級怪人『鉄仮面』「すべて受け流した!?」
S級英雄『白銀』「帝凰剣──」
S級英雄『白銀』「──木枯し!」

〇渡り廊下
S級怪人『鉄仮面』(外まで吹き飛ばされるとは──!)
S級英雄『白銀』「なんとか守ったようだが──」
S級英雄『白銀』「限界のようだな」
光太「変身が・・・解けた」
審判「戦闘続行不能・・・一本!」
光太「・・・くそ」
S級英雄『白銀』「怪人部の実力、しかと見せてもらった」
S級英雄『白銀』「一か月後、インターハイ出場選手の選考会がある」
S級英雄『白銀』「そこに、貴様たちも参加するが良い」
光太「え?」
S級英雄『白銀』「実力がある者は認める主義でな」
S級英雄『白銀』「だが、今のままでは私には勝てんぞ」
光太「・・・次は負けない」
S級英雄『白銀』「フッ、楽しみにしている」
赤石「光太、やったぜ!」
光太「ええ」
光太「けど相手もS級──武具だけに頼っても勝てない」
光太「改めて鍛え直しましょう」
赤石「光太・・・」
赤石「なんかキャラ変わったな」
光太「そうですか?」
光太(・・・必ず手に入れる)
光太(誰にも負けない力を・・・!)

〇研究機関の会議室
???「闘英学園にて、S級怪人の適性者が現れたようです」
???「これで五人──」
???「また動きがあれば教えろ」
???「御意」
???「英雄も怪人も、元を辿れば同じ人間」
???「勝った者が英雄と呼ばれ──負けた者が怪人と呼ばれただけだ」
S級怪人『甲冑』「私が──」
S級怪人『甲冑』「英雄と怪人の概念をひっくり返してやろう」
  20XX年
  全国高校総体特殺道
  全怪人、全英雄、ここに激突──!

コメント

  • 怪人なのにヒーローサイドが悪に見えてきて心のなかで頑張れ!怪人!負けるな!Tと言いながら特訓した成果を見せるんだ!と熱くなりました😂👍

  • 怪人が武道と融合していたのが新しいと思いました。しかし何より驚いたのは『怪人になると声も変わる』という台詞でした。よくアニメーションで考えてる、みたいなことを呟いていらっしゃるので脳内で音声付きでイメージされてるんだなぁと驚いてました。
    もっとエフェクトの種類が増えるとこの作品は更に面白くなりそうですね。

  • 怪人という暗いイメージの強いものと、部活動・青春ものという明るいイメージのものを掛け合わせるという発想がすごいなぁ…!とまず思いました。そしてテンポ良く進んでいくストーリーが面白くて、光太くんがこれからどう変わっていくのか、先を知りたくて仕方ないです!
    個人的に一番お気に入りは、光太くんと赤石さんが屋上で練習するシーンです。「T!」「T!」と言い合う2人を想像して、声を出して笑ってしまいました。

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