六話 例えそれが偽善でも(脚本)
〇警察署の医務室
中井 雛「二人とも、よく頑張ったね! ギャラジーによる襲撃の死亡者、またゼロだよ!!」
渋屋 杏「ノルマ達成、ってところね。 次は被害者の削減を目標にしていこうかしら」
中井 雛「ふふ、杏ちゃんは頑張り屋さんだね!」
黒沼 晶「・・・」
中井 雛「晶くん?」
黒沼 晶「いえ、なんでも。 次も頑張ります」
中井 雛「そ、そっか。 ならいいんだけど・・・」
中井 雛「身体能力向上装置は二人とも正常。 杏ちゃんも戦闘に慣れてきたね、装置を使わなくてもギャラジーを倒せるようになっちゃって!」
渋屋 杏「先生が教えてくれたトレーニング方法が良かったんですよ」
中井 雛「わぁ、杏ちゃんってば褒め上手! でも本当に杏ちゃんの努力の成果なんだから、自信持ってね!」
渋屋 杏「ありがとうございます!」
中井 雛「じゃあ、これからもこの調子で頑張ろう! 解散!」
渋屋 杏「はい!」
中井 雛「晶くん、本当に大丈夫?」
黒沼 晶「杏がエージェントになってから一ヶ月・・・ あいつは戦闘に慣れ始め、俺より多くの成果を出しています」
黒沼 晶「ギャラジーを倒し、全ての人を救う。 あいつこそ、きっと全ての人間が求めていた人材なんですよね」
黒沼 晶「自分がなぜここにいるのか、つくづく分からなくなってきました」
中井 雛「・・・辛いだろうね、晶くんの立場は」
中井 雛「でも、杏ちゃんがどれだけ成果を出したって、彼女一人の体力には限界がある」
中井 雛「そんな彼女を支えられるのは、同じエージェントである君だけ」
中井 雛「だから、君の存在はどんな時でも不可欠なんだよ」
黒沼 晶「・・・ありがとうございます、先生」
中井 雛「いえいえ。 晶くんは本当によく頑張ってるからね。 私でよかったら、いつでも相談に乗るから」
黒沼 晶「・・・はい」
〇渋谷のスクランブル交差点
ギャラジーの群だ!!
逃げろ!!
きゃあああああ!! たすけて!
みんな私の後ろへ下がって!
ここからできる限り離れるのよ!
渋屋 杏「これで十五体目。 よし、順調ね!」
渋屋 杏「!! いつの間に・・・!」
渋屋 杏「あ、あいつ・・・! 助けてくれなんて誰も言ってないわよ!! というか、今の音ライフルよね!? どこから狙ってるのよ!?」
黒沼 晶「ここだ」
渋屋 杏「きゃーーー!? びっくりさせないで!!」
渋屋 杏「お前、今日武器いくつ持ってるのよ・・・」
黒沼 晶「対ギャラジー用特型ライフル変換機能付きマシンガン、対ギャラジー用ハンドガン二丁、対ギャラジー用ショットガンの四丁だな」
渋屋 杏「うわあ・・・ いつか肩が脱臼するわよ」
渋屋 杏「──って、こんなことしてる場合じゃないわよ! 早くギャラジーを殲滅しないと!」
黒沼 晶「絶対に、死なせない・・・」
黒沼 晶「次、もし死があるのなら・・・それは、俺であるべきなんだ」
黒沼 晶「今度こそ守ってみせる。 あいつの命を、そしてあいつの夢を・・・!」
〇渋谷のスクランブル交差点
一般人男性「ひいぃぃぃぃっ、助けてー!!」
渋屋 杏「ッ! 危ない!!!」
咄嗟におじさんと一緒に、地面へ倒れ込む。
なんとか攻撃は避けれたようだ。
一般人男性「う、うわぁぁぁぁぁぁ!」
渋屋 杏「な、なんとか間に合ったわね・・・」
渋屋 杏「おじさんに斬撃は当たってなさそう。 髪はちょっと・・・切れちゃったかもしれないけど」
一般人男性「だ、大事な髪が・・・」
渋屋 杏「おじさん、立てますか? ここはエージェントに任せて、逃げてください!」
一般人男性「あ、ああ! 助かったよ・・・!」
渋屋 杏「ふぅ、さて・・・ あれは中型ギャラジーね、私一人でもいけるはずよ」
目の前にいるのは、自分より数メートルは高い中型ギャラジーの姿。
中型くらいであれば、装置を使わなくても勝てる自信がある。
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