APAS討伐部~パートナーになったのは、最凶最悪の怪異でした~

菜鳥オウル

9.変化にもいろいろあるようです。③(脚本)

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菜鳥オウル

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〇薄暗い廊下
玲奈「なら、飲みに行きましょう! 人間同士で!」

〇大衆居酒屋
「かんぱーい!」
玲奈「ごくごくごく・・・」
玲奈「っはー! 生き返るわ!」
酒巻「うん。すっごく肩の荷が下りた気がする」
玲奈「ほんと、ここしばらく怪異組に振り回されてたから、こういうの久々ね」
酒巻「うん。あの2人も須佐川さんが見てくれてるし、安心して飲めるよ」

〇個別オフィス
須佐川「ん? 今夜人間組で用事があるから、あいつらをどうにかしてくれって?」
須佐川「・・・用事って、飲みにでも行くつもりだろ」
須佐川「はーあ、なんで俺には声がかからなかったんだ? 俺だって人間側なのに」
須佐川「ま、いっか。 分かったよ。適当にこっちで残業でもさせとくから、終わったら連絡くれ」
須佐川「次は俺も誘ってくれよ!」

〇大衆居酒屋
玲奈(そう言われたけど、当分誘う気は起きないわね)
玲奈(こんなことになってるのは、須佐川さんの考えたプロジェクトのせいだもの)
玲奈(ま、あの人への恨み言は置いといて。 今日の本題は──)
玲奈「──酒巻くん。何をそんなに悩んでたの?」
酒巻「ああ、うん。ほんとに大した事じゃないんだけど・・・」
酒巻「管野くんの件から、茨木がちょっと変なんだ」
玲奈「え、そうなの? 昼に話した時は普通だった気がするけど」
酒巻「他の人と話すときはそうなんだよ。 でも・・・」
  ピリリリリ・・・
玲奈「ごめん、私だわ」
玲奈(須佐川さん?)
玲奈(なにかしら。ものすごく嫌な予感がするのだけれど)
玲奈「──はい、狐守です」
須佐川(電話)「あー、狐守。 なんというか・・・その・・・・・・」
須佐川(電話)「すまん!!!!」
玲奈「はい?」
  カランカランカラン・・・
店員「いらっしゃいませー!」
  おーい、2人ともー!
玲奈「この・・・」
酒巻「声は・・・」
時雨「やっほー、来ちゃった♪」
茨木「酒巻様!!」

〇大衆居酒屋
客1「なんだなんだ?」
客2「昼ドラか?」
茨木「どうして私を置いて行ったのですか!? どこにでもお供すると申し上げたでしょう!」
茨木「それとも私にはその資格がないのですか。狐守さんの方が、頼りがいがあると?」
茨木「確かにそう思われるかもしれません。私は以前、貴方を守り切れませんでしたから」
茨木「ですがこの現代に至るまで、私も多くの事を学んで来ました。きっと貴方のお役に立つはずです」
茨木「なのでどうか・・・」
茨木「もう一度、貴方を私に守らせてください──!」
酒巻「ちょ、ちょっとストーップ!」
酒巻「土下座は駄目! 大声も駄目! 他のお客さんが見てるでしょ!」
玲奈「・・・」
玲奈「茨木さん、お酒でも飲んだのかしら」
酒巻「ううん。これが通常運転なんだ」
玲奈「え」
酒巻「あの件からずっとこんな感じなんだよ。僕もどうしたら良いか分からなくて」
酒巻「はぁ・・・ 怪異の考えてることは難しいよ・・・」
時雨「あっ、だし巻きたまご! 一切れもーらい!」
玲奈「ねえ、時雨。何か知ってる?」
時雨「僕に聞かれても。茨木、あんまり自分のこと話すタイプじゃないし」
時雨「でもあの子の正体を考えると、ほんとに言ってる通りだと思うけど」
玲奈「茨木さんの正体?」
玲奈(茨木さんって確か鬼よね。 鬼に、茨木・・・)
玲奈「まさか、茨木童子?」
時雨「そ」
玲奈(茨木童子って、酒呑童子の相棒よね。平安時代京の都を荒らし回ってたっていう・・・)
玲奈(確か酒呑童子や他の鬼は源頼光たちに殺されたけれど、茨木童子だけは逃げ延びたんだったかしら)
時雨「まあ真実は人間側で伝わってる話と若干違うらしいんだけど。それを考えれば、あの言動も分かるでしょ?」
玲奈「ええ。昔の相棒を失ってるなら、今の相棒は守り抜きたいと思うのも当然かも」
玲奈(あれ、でも待って。 酒巻くんの一族って、たしか源頼光の子孫・・・)
玲奈(──それは、困るはずだわ)
時雨「そんなことよりさー。どうして僕を置いて悠一と2人っきりでこんな素敵なところに来てるわけ? 悲しいなぁ」
玲奈「う・・・ 相談に乗るなら、あなた達がいない方がいいと思ったのよ。悪かったわ」
時雨「ふーん。ほんとにそう思ってる?」
玲奈「ええ」
時雨「なら今度は僕と2人で来ようね、玲奈ちゃん」
玲奈「はいはい・・・」
玲奈「はい?」
玲奈「ねえ時雨、今のはどういうこと? しかも名前──」
時雨「すみませーん! ここで一番上等な日本酒、それと茶碗蒸し、だし巻き卵を4つずつ追加でー!」
玲奈「・・・」
玲奈(まあ時雨だし。深い意味はないわよね)

〇オフィスのフロア
須佐川「はぁ、お前のせいであの2人に逃げられたじゃないか」
観崎「ごめんごめーん★」
観崎「まさかアタシに驚かされたくらいで、須佐川ちゃんが拘束を緩めるとは思ってなかったのさ」
須佐川「謝るなら狐守達に言え」
観崎「えへっ。キツネちゃん、酒巻ちゃんごめんね★」
観崎「それにしても、須佐川ちゃん。相変わらず怪異には容赦ないよねー」
観崎「さっすが天界所属、地上の監視者・スサノオ様だ!」

次のエピソード:10.未来と過去の話をしましょう。①

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