殺し屋、出勤中。

吹宮良治

エピソード10(脚本)

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吹宮良治

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〇オフィスの部屋の前
不破誠「まさかボーナスナックの開発室の中に隠し金庫があるとは」
石田克典「開発室のドアを開けてほしいってメモ見たんすけど、何か用事っすか?」
不破誠(いいから、黙って開けるんだ)
石田克典「たまには会話しましょうよ」
石田克典「いつもメモ書きなんだから不破さん」
不破誠(結城あかりには緊張しなくなったのが自分でもわからん。 本当に心を開いてしまったのか?)
不破誠(いや、違う。 あいつはターゲット。 今日までの命だ)
石田克典「この部屋はセキュリティ厳しいから、無断で開けるのはダメなんすけどね」
不破誠(早く開けろ)
石田克典「そんな睨まないでくださいって」
石田克典「わかりましたよ、開けますから」
不破誠(面倒くさい奴だ)
石田克典「そういえば、あかりさんが無断欠勤なんてどうしたんすかね?」
石田克典「高井も相変わらず連絡取れないし、うちの営業部ヤバくないっすか?」
不破誠(結城あかりは、自分の部屋で最後の一日を過ごしている)
石田克典「あかりさん、心配だなぁ」
不破誠(あの女は俺をも殺そうとしたんだ)
不破誠(しかし、毒を調べたら致死量には達していなかった。 手元が狂ったか? それとも・・・)
石田克典「あかりさんまでいなくなったら、寂しいっすよね? 不破さんもそう思いません?」
不破誠(いかん。あの女は金に目が眩んだ殺人鬼。 毒は量り間違えただけだろう)
石田克典「あ」
不破誠(開いたか!)
石田克典「これ、開発に関わってた社員の指紋がないと開かないみたいっす」
不破誠(なんだと?)
石田克典「うちの営業部だと、あかりさんしか開けられないっすね」
不破誠(・・・やられた。 あの女、それを知ってて堂々と隠し場所を教えたんだ)

〇高層ビル
不破誠「あの女を消す前に、指紋を採らなければ。 しかし、死ぬと分かっていて、どうして金を守ろうとする?」
不破誠「婚約者が残してくれた金だからか? いかん、あの女の話を信じてどうする。 きっと、最後の悪あがきだろう」
間瀬口徹「会うたびにいつもブツブツ言ってるねぇ」
不破誠(出たな、ボスに送り込まれたスパイ)
間瀬口徹「もう帰りだろ? どうだい一杯」
不破誠(ふん。 結城あかりの件が終わると分かって、飲みながら正体を明かす気か)
不破誠(だとしても仕事終わりの一杯など、スパイのお前とやりたくもない)
間瀬口徹「・・・行きたくなさそうだね」
不破誠(ボスと祝杯でもあげるんだな)
間瀬口徹「高井君は今日も出社してないのかい? このまま辞めちゃうのかねぇ」
不破誠(・・・白を切っていたが、高井を利用したのは、あの女だ)
間瀬口徹「一杯だけいこうよ」
不破誠(しつこいな)
東条昌弘「これはこれは。お待ちしておりました」
不破誠「!」
東条昌弘「車を用意してありますので。こちらに」

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