リリウム〜罠に嵌まった天使〜

久望 蜜

第七話 尾行する天使(脚本)

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久望 蜜

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〇大きな日本家屋
アサギ「じゃあ、行ってくる」
ヨモギ「気をつけてっす!」
アサギ「ああ。 ヒクイ、戸締まりなんかには気をつけろよ」
ヒクイ「・・・・・・・・・・・・」
アサギ「ヒクイ?」
ヒクイ「・・・・・・ん? あぁ、わかっているよ」
ユリナ(ヒクイ、どうしたんだろう? 今日は何だか、ボーッとしている・・・・・・)
ヒクイ「・・・・・・アサギさん、しばらく家に帰らないほうがいい」
ヒクイ「この町に、厄介な奴がいるみたいだから」
アサギ「・・・・・・ああ。わかった。 お前も気をつけろよ。じゃあな」
ヒクイ「・・・・・・じゃあ、俺も出かけてくる」
ユリナ「え? どこに行くの?」
ヒクイ「どこへ行こうと、俺の勝手だろ」
ヨモギ「学校には行かないんすか?」
ヒクイ「昨日、教師の鳶坂から電話があって、不審者が捕まらないから今日も休校だとよ」
ユリナ「そうなんだ・・・・・・」
ヒクイ「昼飯は、家にあるものを適当に食え。 じゃあな」
ユリナ「ヒクイ・・・・・・」
ヨモギ「先輩、心配しているっすか?」
ユリナ「べ、別にそんなことはないけど?」
ヨモギ「じゃあ、ここは尾行しかないっすね!」
ユリナ「え? ちょっと、ヨモギ・・・・・・!」

〇ショッピングモールの一階
ヨモギ「むむっ! ヒクイには似合わなさそうなショッピングモールに来たっすよ?」
ユリナ「ねぇ、尾行なんてやめようよ〜」
ヨモギ「わかったっす! これはデートっすよ!」
ユリナ「え?」
ヨモギ「デートだから、ヒクイはウチらにも行き先をいわなかったんすよ!」
ユリナ「なっ! バ、バカなこといわないでよ! ヒクイに限って、そんなことあるわけ・・・・・・」
ヨモギ「あっ! 女の子と話しているっす!」
ユリナ「えっ! どこどこ!?」
ヨモギ「冗談っす」
ヨモギ「イタッ」
ヨモギ「アタッ!」
ヨモギ「先輩、無言で叩いてくると怖いっすよ!」
ユリナ「もう、ヨモギってば! 少しは反省しなさい!」
ヨモギ「あ、しまったっす! 見失ったっすよ」
ユリナ「え? あ、本当だ・・・・・・」
ヨモギ「どこに行ったんすかね?」
下級悪魔「おい、お前ら!」
「悪魔!?」
下級悪魔「お前ら、天使だな?」
ヨモギ「悪魔のほうから来るなんて、飛んで火に入る夏の虫っすね!」
ユリナ(何で、わたしたちのことがバレたの? 人間の姿なのに・・・・・・)
下級悪魔「うるさい! オレだってなぁ、お前らに関わりたくはないんだよ!」
下級悪魔「だが、オレみたいな下っぱは、位が上の悪魔にいわれたら断れないんだ!」
ユリナ「何で、逆ギレ?」
ヨモギ「うんうん、部下は上司に逆らえない・・・・・・悲しい運命っす」
ユリナ「ちょっと、何でヨモギまで共感しているの!? いいから、戦うよ!」

〇赤いバラ

〇新緑

〇ショッピングモールの一階
下級悪魔「おっと、オレは戦うとはいってないぜ!」
リリウム「え?」
下級悪魔「お前らとなんか、戦っていられるか! あばよ!」
アルテミシア「あっ! 逃げたっす! 待て!」

〇田舎のショッピングモール
ヒクイ「待たせたな、鳶坂」
鳶坂「ああ、ヒクイ君。よかったのかい? かわいい追跡者がいたみたいだが・・・・・・」
ヒクイ「話の邪魔だからな。時間稼ぎをさせている。 それより、さっさと本題に入れ」
リリウム「あれ? ヒクイと、先生? 何をしているんだろう・・・・・・?」
アルテミシア(先輩! 悪魔を見つけたっす! すぐにこっちへ合流してくださいっす!)
リリウム(わ、わかった。すぐ行く!)
リリウム「ヒクイのことも気になるけど、今はそれどころじゃないよね・・・・・・」

〇屋上の端
アルテミシア「いい加減、観念しろっす!」
下級悪魔「ククク、そんな攻撃、当たらないぜ!」
アルテミシア「くっ、ちょこまかと!」
リリウム「アルテミシア!」
アルテミシア「先輩! 遅いっすよ!」
リリウム「ごめん、ごめん!」
アルテミシア「あいつ、すばしっこいっす! こっちの攻撃が、全然当たらないっすよ!」
リリウム「それなら、これでどう!?」
下級悪魔「なっ!」
リリウム「聖水でつくったシャボン玉よ!」
リリウム「悪魔が当たれば、無事ではすまないわ。 これなら避けきれないでしょ?」
下級悪魔「イタッ! イタタッ! くっ!」
アルテミシア「すごいっす、先輩!」
リリウム「捕縛する前に、訊かせて」
リリウム「あなた、誰にわたしたちが天使だと聞いたの? 目的は、わたしたちの足止め?」
下級悪魔「いえるわけないだろ! 相手は上級悪魔だぞ!? 口を割れば、オレが消される!」
アルテミシア「ふむふむ、上級悪魔に頼まれたのは喋っていいんすね?」
下級悪魔「あっ・・・・・・」
リリウム「その上級悪魔って、ミルヴスのこと? どこにいるの?」
下級悪魔「へ? ミルヴス様? ・・・・・・あっ、いや! 誰が、お前らなんかにいうか!」
アルテミシア「こいつ、これ以上は喋りそうにないっすよ」
リリウム「ええ、そうね・・・・・・」
リリウム(何だろう、今の反応は・・・・・・。何か隠そうとしているのは確かだろうけど・・・・・・)
アルテミシア「じゃあ、これで──」
下級悪魔「ぐはっ・・・・・・」
アルテミシア「捕縛完了っす!」

〇広い玄関
ユリナ「おかえり、ヒクイ」
ヨモギ「どこに行っていたっすか?」
ヒクイ「別に、どこでもいいだろ。 あと、夕飯はいらねぇから」
ユリナ「ちょっと、ヒクイ・・・・・・」
ヨモギ「ウチがつくったご飯を食べないなんて、一体どういうつもりっすかね?」
ユリナ「うん・・・・・・」

〇広い和室
  ゴソゴソ。
ヒクイ「あった!」
ヒクイ「悪魔を封印した石。これさえ、あれば──」

次のエピソード:第八話 訊く天使

コメント

  • そう…部下は上司に逆らえない

    天使の世界も同じだなんてツラい( ;∀;)

  • 変身シーンカッコイイですね!

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