こころクリーニング

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1話【死んだはずなのに】(脚本)

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〇女の子の一人部屋
少女「ごめんね・・・お母さん」
少女「私もう・・・耐えれない」
少女「私って・・・普通じゃ無いから」
少女「普通じゃない私なんて・・・居ない方がみんなの為なんだよ・・・」
少女「お母さん・・・ひとりぼっちにしちゃうけど・・・許してね」
  少女は睡眠薬を手にする──
少女「さようなら・・・お母さん」
  少女は──
  大量の睡眠薬を服用し──
  自殺した──

〇白
少女「ああ・・・死んじゃったんだ・・・」
少女「親より先に死ぬなんて・・・」
少女「とんだ親不孝者だね・・・私って・・・」
少女「でも・・・これで楽になれるんだ・・・」
  間宮様──
少女「え・・・」
少女「今・・・誰かが私の名前を・・・」
少女「いや、気のせいだよね・・・」
少女「だって私は・・・」
  間宮燈様──

〇教会の中
間宮燈「え?」
間宮燈「ここ・・・どこ?」
  燈が目を覚ましたのは、教会のような場所だった
  いろどり鮮やかなステンドグラスには、健やかな顔で笑う子供のイラストが描かれており
  装飾が施された祭壇には、ハート型のオブジェを暖かな眼差しで抱きしめる聖母マリア像が祀られている。
間宮燈「なに・・・ここ・・・」
間宮燈「私・・・自殺したはずでしょ?」
間宮燈「私・・・生きてるの?」
  自分は自殺したのにも関わらず、こうして生きている。そんな状況に燈が呆気に取られていると
  タキシード姿の優しい表情をした男性が話しかけてきた。
男性「ようやくお目覚めのようですね?間宮燈様」
間宮燈「え・・・なんで、私の名前を・・・」
  見知らぬ場所で目を覚まし、見知らぬ男性に名前を呼ばれる。
  何もかも訳が分からずに、動揺している燈を尻目に、男性は淡々と語り出す。
男性「いきなりの事態で困惑されているとは存じますが、順を追って説明させていただきます」
間宮燈「は、はぁ・・・」
男性「まず、自己紹介からさせていただきます」
男性「わたくしは、こういう者でございます」
  男性は、懐から一枚の名刺を取り出し、燈に差し出した。
  その名刺には【こころクリーニング 暮内亜紋】そう記されていた。
間宮燈「こころ・・・クリーニング?」
暮内亜紋「左様でございます」
間宮燈「こころクリーニングって何ですか?」
暮内亜紋「こころクリーニングとは、自殺を行った方々のこころの清掃をお手伝いさせていただく、自殺者救済機関でございます」
間宮燈(自殺者救済って・・・)
間宮燈「いや、ちょっと待ってください!」
暮内亜紋「どうかなさいましたか?」
間宮燈「自殺者って・・・私、死んでませんよね?こうして生きてますよね?」
間宮燈「どういう事なんですか?」
暮内亜紋「少々お待ちください・・・」
  暮内は、小慣れた手つきでタブレット端末を操作しながら──
暮内亜紋「えー、資料によりますと間宮様は、自宅の自室にて大量の睡眠薬を服用したのち、意識不明に陥った」
間宮燈「・・・・・・」
暮内亜紋「しかし、程なくして、予定の時刻より早めに帰宅されたお母様が救急車を手配され」
暮内亜紋「現在は病院のベッドの上で昏睡状態にある!と記載されております」
間宮燈「お母さんが?」
  自分の自殺が未遂に終わっていたのだとう事実を目の当たりにし、ショックだという気持ちと
  自分を救ってくれた母への感謝の気持ち入り混じり、複雑な心境になる燈。
間宮燈「で、でも、病院のベッドの上で昏睡状態になってる筈の私が、何でこんな所に居るんですか?」
間宮燈「ここは、病院なんですか?」
暮内亜紋「病院に居らっしゃる間宮様はいわゆる本体。 そしてこちらに居らっしゃる間宮様は魂の状態であると思っていただけたら良いかと」
間宮燈「た、魂?」
  暮内の話は荒唐無稽すぎて、燈は自分がまるで漫画や映画の世界に迷い込んだような感覚を覚えていた。
暮内亜紋「魂である間宮様が、現在こちら側に居らっしゃるが故に」
暮内亜紋「病院に居らっしゃる、間宮様の本体が昏睡状態になっておられる!という事でございます」
間宮燈(うー・・・ん、少し理解はできたけど、まだ現実味が無いのは確か・・・)
間宮燈「じゃ、じゃあ、ここは何処なんですか?」
暮内亜紋「こちらは『こころ部屋の待合室』でございます」
間宮燈「こころ部屋?」
間宮燈(なんか、新しい用語が出てきた・・・)
間宮燈「こころ部屋って何ですか?」
暮内亜紋「詳しくは、向かいながらご説明致します」
間宮燈「向かう?向かうって何処にですか?」
暮内亜紋「貴方のこころです」

〇洋館の廊下
  燈は訳もわからないまま、暮内に連れられ、こころ部屋なる場所へ通ずる、ひたすらに長い渡り廊下をあるいていた。
間宮燈(なんか、訳も分からず、歩かされてるけど・・・)
間宮燈(なんだろうなぁ・・・この人は信用できる人。不思議とそう感じるんだよね・・・)
間宮燈(初めて会ったばかりなのに・・・なんか不思議な感覚・・・)
間宮燈「あの・・・ちょっと聞いてもいいですか?」
暮内亜紋「なんでしょうか?」
間宮燈「さっき言ってた、こころに向かうって、あれはどういう意味ですか?」
暮内亜紋「こころという物は、実はひとつの部屋のように造られているんです」
間宮燈「部屋・・・?」
暮内亜紋「ええ。我々はそれを『こころ部屋』そう呼んでおります」
  暮内の話によると、人のこころはひとつの部屋のように造られており、その部屋には喜怒哀楽、様々な感情が収納されているらしい。
  楽しかった!や、嬉しかった!などといった喜びの感情を「生の感情」と呼び
  逆に、苦しかった!や、悔しかった!など、悲しみの感情を「負の感情」と呼ぶ。
  こころ部屋は、その生の感情と負の感情が入り混じり造られているらしい。
間宮燈「なんか、いまいち理解できませんね・・・」
暮内亜紋「言葉で聞いただけで、理解するのは難しいでしょうね」
暮内亜紋「ですが、ご覧頂ければ、すぐにご理解いただけると思います」
間宮燈「はぁ・・・そうですか・・・」

〇部屋の扉
暮内亜紋「こちらが間宮様の『こころ部屋』になります」
間宮燈「ここが・・・」
  扉の上部には『間宮燈のこころ』そう書かれたプレートが取り付けられていた
間宮燈(ここが・・・私のこころ・・・)
暮内亜紋「ドアを開けてみてください」
間宮燈「は、はぁ・・・」
間宮燈(ちょっと怖いけど・・・)
間宮燈(開けてみよう・・・)
  燈は心の片隅で怖さを感じながらも、暮内の言う通りにドアを開けた。
  ──ガチャ──

次のエピソード:2話【母の涙】

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