戦闘員のシフト表

絢里 絢李|あやさと じゅんり

戦闘員のシフト表(脚本)

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〇城門の下
  悪の戦闘員の夏は暑い。
戦闘員A「なあ、お前ら今月のシフト見たか?」
戦闘員B「ああ 俺は、怪談回の出動だったな おばけ屋敷」
戦闘員C「いいなあ、室内 涼しそう」
  ただでさえ、熱を吸収する黒っぽい制服。
  至近距離で浴びる爆風。
  真夏の炎天下ともなれば、その威力は倍増だ。
戦闘員C「俺は、劇場版の冒頭入ってたわ」
戦闘員B「おお、花形じゃん」
戦闘員C「いやあ、出番5分もないんだぜ いっそ、さっさとやられて、日陰に避難しようかな」
戦闘員B「でも、あのでっかいスクリーンで何度も観てもらえるんだろ やっぱり憧れるよなー」
戦闘員C「まあ、観客の目当てはヒーローたちだけどな」
  毎週、使い回しの賑やかし。
  上司の命じるままに、ヒーローと戦い、「今週の怪人」を引き立てるための存在――それが、俺たち戦闘員の役目だ。
  この世界が現実なのか。
  はたまた、テレビの中の絵空事なのか。
  そんなことは俺たちには関係ない。
  ただ、そういう風に、生まれついている。
戦闘員B「お前は、どこ入るんだよ」
戦闘員A「俺は・・・海だな」
戦闘員C「えっ、水着回?」
戦闘員B「うわあ、また一番暑いところに」
戦闘員C「白い砂浜は、照り返しキツいからなあ」
戦闘員A「しかも、追加戦士の新ロボお披露目」
戦闘員B「げ、週またぎ仕事じゃん」
戦闘員A「ついでに、関西出張」
戦闘員C「ってことは、高校野球で一回休み?」
戦闘員A「そう、盆休みも、カノジョと会えないの確定 今年こそ、近場でいいから遊びに行こうと思ってたのにさあ」
戦闘員C「で、でも、水着回ってことは・・・」
戦闘員B「そうだよ、まだ「お楽しみ」があるんじゃねえの? ほら、ピンクちゃんとか、イエローちゃんとか・・・」
戦闘員A「ばっか、お前、最近はヒーロー側もコンプライアンスが厳しいんだよ」
戦闘員A「水着ったって、普段の衣装と露出度変わんねえだろ」
戦闘員B「あー・・・まあ、そうだな」
戦闘員A「新鮮味はあるだろうし、可愛いのは、可愛いだろうけどさ その後、爆発させられることを思うとな・・・」
戦闘員C「しょせんは敵だもんなー」
戦闘員A「プラマイゼロ むしろ、マイナス」
戦闘員A「あーあ、いっそ、海についたら、そのまま泳いで足抜けしようかな」
戦闘員B「おいおい、滅多なこと言うもんじゃないぜ」
戦闘員A「だってさあ、悪の戦闘員なんていつまでも続けられる仕事じゃないだろ 将来のことも考えないと」

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コメント

  • 戦闘員にも人権が存在しますかね?彼らはいくら頑張っても戦闘員のままで怪人に出世することあるのかな?なんて、真面目に考えてしまいました。

  • いやー、じわじわ面白さがきますね。我々が普段目にする彼らは個体の区別すら難しい存在、しかし意思や願望をちゃんと持ち合わせている。その滑稽さが伝わってきます。

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