エピソード3.叶恵と魔法のクッキー(脚本)
〇綺麗な一戸建て
野上 叶香「うそ・・・・・・。 家が、燃えてる・・・・・・!?」
十六夜 節那「おいおいおい。 キツイ冗談やめてくれよ・・・・・・」
近所の人「叶香ちゃん!! 無事だったのね!?」
野上 叶香「あの、お母さんを見かけませんでしたか?」
近所の人「そ、それが・・・・・・」
「叶恵(かなえ)さんが、 どこを探してもいないのよ!!」
〇ホテルの部屋
数時間後
野上 叶香「お母さん・・・・・・。 どこに行っちゃったの・・・・・・?」
十六夜 節那「次から次へとトラブルが発生するとか、 これも魔法のクッキーとやらの影響なのか?」
野上 叶香「あっ!!魔法のクッキーのレシピ本とクッキーがお家に残ってる!!」
十六夜 節那「なんだって!?」
野上 叶香「レシピとクッキー、きっと火事で燃えちゃったよね?」
十六夜 節那「まぁ、大火事だったからな。 全部灰になっちまっただろうな」
野上 叶香「そう・・・・・・だよね・・・・・・」
十六夜 節那「取り敢えず今は何も考えずにゆっくり休め」
野上 叶香「でも・・・・・・」
野上 叶香「お母さんがまだ見つかっていないのに、 自分一人だけ寝るなんて出来ないよ」
十六夜 節那「大丈夫。お前のお袋さんはきっと無事だ」
野上 叶香「本当に?」
十六夜 節那「娘のお前がお袋さんの無事を信じないでどうすんだよ」
十六夜 節那「ポジティブな願い事はな、信じ続けなければ叶わないんだぜ?」
野上 叶香「節那ってたまには良い事言うんだね」
十六夜 節那「お前は一言多いけどな」
野上 叶香「むぎゅう」
十六夜 節那「ほんじゃま、ゆっくり休め。 明日また様子見に来るから」
野上 叶香「あっ、待って!!」
十六夜 節那「なに?」
野上 叶香(心細いから一緒にいて欲しいなんて、 言えるわけ・・・・・・ないよね)
野上 叶香「今日は色々ありがとう。 気を付けて帰ってね」
十六夜 節那「・・・・・・」
十六夜 節那「ありがとな、おやすみ」
〇ホテルの部屋
野上 叶香「うぅん・・・・・・。 いつの間にか寝ちゃってたのね・・・・・・」
野上 叶香「もしもし・・・・・・?」
「あぁ、良かった、繋がったわ。 無事だったのね、叶香」
野上 叶香「えっ!?」
「お母さん!?」
〇港の倉庫
野上 叶恵「叶香、こっちよ!!」
野上 叶香「お母さん、無事で良かった!! 怪我はない!?」
野上 叶恵「えぇ、平気よ」
野上 叶恵「だけど、あの人はもう助からないわよね・・・・・・」
野上 叶香「そういえばお母さん。 どうして病院にいなかったの?」
野上 叶恵「看護師さんから、あの人はもう助からないと聞いて、頭が真っ白になったの」
野上 叶恵「薄れゆく意識の中、一つの考えが私の脳裏に浮かんだの」
野上 叶恵「あの人の元へ逝きたいって」
野上 叶香「えっ、何言ってるの・・・・・・?」
野上 叶恵「そうしたら今度は家が火事になったってニュースを見ちゃってね。それで確信したの」
野上 叶恵「叶香、私はあの人の所へ行くわ。 だから・・・・・・」
野上 叶恵「幸せになってね。叶香」
野上 叶香「お母さん!! やめてぇ!!」
〇港の倉庫
十六夜 節那「やめろぉ!!」
野上 叶香「節那!?」
野上 叶恵「離して、あの人の元へ逝かせて!!」
十六夜 節那「その前にこれを聞け!!」
〇港の倉庫
あぁ、良かった!!
やっとで繋がりましたわ!!
野上 叶恵「えっ、その声は・・・・・・ 看護師さん?」
野上さん、平助さんはもう大丈夫です!!
先程無事に・・・・・・って、ちょっと!!
やぁ、私は奇跡の天才医師・伊集院 才だ!!
野上 叶恵「えっ、ハリウッド実写映画【伊集院 才〜NEW HERO〜】のモデルになったあの・・・・・・?」
十六夜 節那「目立ちたがり屋にも程があるだろ」
野上 叶香「どこに需要あるんだろう」
このポジティブシンキング野郎!!
話が進まないだろうが!!
あひん!!
やっぱり早苗(さなえ)の毒舌は特効薬レベル!!
十六夜 節那「なんか聞いちゃいけない言葉を聞いた気がするわ」
野上 叶香「命の恩人だけど関わりたくないね」
と、とにかく・・・・・・
何週間か入院する事にはなりますが、この野郎が野上さんを救ってくれたので、もう心配いりません。
安心してください!!
野上 叶恵「・・・・・・」
野上 叶恵「うぅ・・・・・・」
野上 叶恵「えぇーん!!良かったよぉ〜!!」
〇ホテルの部屋
野上 叶恵「すぅ・・・ すぅ・・・ すぅ・・・」
野上 叶香「フフッ、お母さんまるで子供みたい」
十六夜 節那「フフッ、お前そっくり」
野上 叶香「んもう、一言余計!!」
十六夜 節那「本当の事じゃん?」
野上 叶香「でも節那のお陰でお母さんは助かったから、」
野上 叶香「さっきの毒舌は聞き流してあげるね」
十六夜 節那「へぇ、へぇ、そりゃあどうも」
野上 叶香「でもどうしてあんな所にいたの?」
十六夜 節那「あー、それ聞いちゃう?」
野上 叶香「聞きたい!」
十六夜 節那「それじゃあ、耳貸してみ?」
野上 叶香「う、うん」
「お前が心配だったから、ついて行ったんだよ」
野上 叶香「・・・・・・」
十六夜 節那「・・・・・・」
十六夜 節那「じゃあな!!今度こそまた明日な!!」
野上 叶香「ちょ、ちょっと待って!!」
野上 叶香「・・・・・・」
野上 叶香「私が、心配・・・・・・?」
「ねぇ、それって、もしかして・・・・・・」
〇怪しげな部屋
???
立木 望「うん、やっぱり凄い効果だネ。 流石は叶子(きょうこ)お婆様がお作りになったクッキーだヨ」
立木 望「僕はこれを使って一儲けするヨ。 願いを持たぬ人間は人間である資格は無い。 必ず需要はある筈だヨ」
立木 望「ハハッ、バレる訳ないだロ? 僕の家は親戚との交流は無かったからネ 唯一知っていた人も今は墓の中ダ」
立木 望「君の方こそ、うまくやってくれヨ? じゃあ、切るからネ」
立木 望「両方とも家族の幸せを願ったのカ・・・・・・」
立木 望「つまんねぇ願いだ」
節那くん、かっこいい…😆
もう、節那くんでいいじゃない?
ねえ!w
土壇場で魔法が役に立ちましたね...シリアスな場面なのに笑ってしまいました🤣
節那くんの気持ちに気付いた叶香ちゃん、ドキドキしちゃいます🌟
節那くんのカッコよさが光る話ですね。発言も行動も最高です!野上家の問題はどうにか落ち着いた感じですが、ラストに新キャラ登場で、物語も新たな局面を迎えそうですね!次話も楽しみです。