黙示録2032 ~フォー・ホースメン・オブ・ザ・アポカリプス~

糸本もとい

語られることのない黙示録(脚本)

黙示録2032 ~フォー・ホースメン・オブ・ザ・アポカリプス~

糸本もとい

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〇大きい研究施設
警備隊員「逃走個体を目視で確認!」
警備隊長「発砲許可は出ている! 射撃用意!」
ホワイトライダー「・・・・・・」
警備隊長「なっ・・・!」
警備隊員「速過ぎます! 逃走個体が敷地の外に出ました! 追いますか?」
警備隊長「無駄だ・・・あれは俺たちがどうこうできる存在じゃない・・・」

〇研究装置
根津「ホワイトライダーが逃走した」
レッドライダー「なに考えてやがるんだ、あいつ」
ブラックライダー「今は、どこに?」
根津「ここと筑波山神社の中間地点、農地だ」
レッドライダー「なんだってそんな辺鄙な場所に」
根津「即刻回収しろ」
レッドライダー「オレたちが?」
根津「ホワイトライダーに対抗できるのは、きみたちだけだ」
レッドライダー「そりゃそうか」
レッドライダー「生死は問わないんだよな」
根津「蘇生が可能な状態。それが条件だ」
レッドライダー「難しい注文だな」
ブラックライダー「諒解しました」
レッドライダー「まあ、2対1だしな。なんとかなるか」

〇田園風景
ホワイトライダー「・・・・・・」
レッドライダー「よお、ホワイト。迎えに来てやったぞ」
ブラックライダー「ホワイト。決心がついたんだな?」
ホワイトライダー「・・・ああ、俺は決めた」
ブラックライダー「分かった・・・」
レッドライダー「おい。なんの話だ」
レッドライダー「ぐがっ・・・!」
レッドライダー「ブラック! てめえ! なにを!」
ブラックライダー「ここで死んでくれ、レッド」
レッドライダー「はあ? ふざけてんじゃねえぞ!」
ブラックライダー「私は本気だ」
レッドライダー「てめえら! グルだったのか!」
ブラックライダー「私たちは、この世界に存在していてはいけない」
レッドライダー「わけわかんねえことほざいてんじゃねえ!」
レッドライダー「クソが! おまえが死んどけ!」
レッドライダー「おらあああ!」
ブラックライダー「ぐっ・・・うおおお!」
レッドライダー「ぐがあああ・・・!」
ブラックライダー「ハァ・・・ハァ・・・」
ホワイトライダー「ブラック・・・」
ブラックライダー「これでいい・・・私は自爆する。怪人らしく、な」
ブラックライダー「ペイルのことは、任せる」
ホワイトライダー「ああ、任せてくれ」
ブラックライダー「門脇女史に、よろしく」
ホワイトライダー「分かった。すべて任せてくれ、俺もすぐに逝く」
ブラックライダー「これで、良かったんですよね・・・門脇女史・・・」

〇研究機関の会議室
根津「ホワイトライダーが逃走し、ブラックライダーが裏切った」
根津「両者に携わっていた、きみが関与していたと見るのが妥当だ」
門脇美都「否定しません」
根津「どういうことか説明してもらおう」
門脇美都「彼らは、黙示録の四騎士などではなく怪人です」
根津「それが背任の理由だとでも?」
門脇美都「背任というなら、長官。計画の立案者である、あなたが先ではないですか?」
根津「どういう意味かな」
門脇美都「四騎士計画。その真意に気付いただけです」
根津「真意なら、きみに伝えていたはずだ」
門脇美都「増えすぎた人口による資源枯渇と地球温暖化の進行、複雑化する戦争」
門脇美都「人は科学を福音として信仰に立ち戻り」
門脇美都「神の完全なる支配の実現を目指すべき」
根津「そうだ。そのための四騎士計画に他ならない」
門脇美都「神の御座には誰がつくのですか?」
根津「陰謀論でも唱える気かね」
門脇美都「アポストロスの12人」
門脇美都「神の使徒を名乗りながら、その実、自らが神となるべく計画を練った」
門脇美都「それが四騎士計画の真意。違いますか?」
根津「きみは我々の真意を誤解している」
根津「アポストロスに他意などない」
根津「我々は神の使徒。それは12人目である私でも変わらない」
根津「きみは身勝手な解釈で、二人を扇動した。その罪は深い」
門脇美都「わたしは扇動などしていません」
門脇美都「二人に事実を伝えただけです」
根津「誤った情報により二人を動かした。これは扇動以外の何ものでも無い」
根津「自爆装置の遠隔起動を無効にし、自らの意志で自爆を選べるようにした」
根津「その事実だけでも、きみの背任は明らかだ」
根津「きみの任を解き、その身柄を拘束する」
門脇美都「分かりました」
根津「残念だ。きみには期待していた」
門脇美都「わたしは便利な女でしたか?」
根津「きみほどの才能を失うのは、私にとって痛恨の極みだよ」
門脇美都「あなたは、どこまでも嘘つきなんですね」
根津「・・・連れて行け」
職員「こちらへ」
門脇美都「ええ」
根津「ペイルライダーを起動させろ」
研究員「しかし、ペイルライダーはまだ・・・」
根津「構わん。起動だ」
研究員「了解しました・・・」

〇研究装置
ペイルライダー「・・・・・・」
根津「起きたか。ペイルライダー」
ペイルライダー「ボクは、なにをすればいいの?」
根津「ホワイトライダーを殺せ」
ペイルライダー「ホワイトを? どうして?」
根津「ホワイトライダーは、おまえを殺しに来るからだ」
ペイルライダー「ホワイトが、ボクを?」
根津「そうだ。生きるためにホワイトライダーを殺せ」
ペイルライダー「わかった」
研究員「ホワイトライダーがこちらに向かっています!」
根津「来たぞ。敷地内で迎え撃て」
ペイルライダー「うん」

〇大きい研究施設
ペイルライダー「・・・・・・」
警備隊員「逃走個体が接近しています!」
警備隊長「逃走個体の相手はペイルライダーにさせよとの指示だ」
警備隊長「射撃用意のまま待機」
警備隊員「逃走個体、来ます!」
ホワイトライダー「ペイル・・・」
ペイルライダー「ボクを、ころしに、きたの?」
ホワイトライダー「・・・ああ、そうだ」
ペイルライダー「どうして?」
ホワイトライダー「俺たちは、この世界に存在しちゃいけないからだ」
ペイルライダー「どうして?」
ホワイトライダー「俺たちを産み出した意志が狂っているからだ」
ペイルライダー「むずかしい、よ。ボクには、わからない」
ホワイトライダー「すまない。俺たちにも、あの世が存在するなら、そこでゆっくり話そう」
ペイルライダー「いやだ!」
ペイルライダー「いやだっいやだっいやだ!」
ホワイトライダー「すまん。ペイル」
ペイルライダー「うっ・・・!」
ホワイトライダー「ペイル・・・」
警備隊長「撃て!」
警備隊員「ダメです! 速過ぎます!」
警備隊員「逃走個体が施設内に!」
警備隊長「撃ち方止め! 施設内の避難を最優先!」

〇地下実験室
門脇美都「来たようね・・・」
館内放送「総員退避! 繰り返す、総員退避!」
ホワイトライダー「美都さん、ここでしたか」
門脇美都「ええ・・・」
ホワイトライダー「ここから避難してください」
門脇美都「わたしは・・・」
ホワイトライダー「俺たちと一緒に、なんてのは無しですよ」
ホワイトライダー「俺たちは語られることのない存在になる」
ホワイトライダー「俺たちが生きた証。それを美都さんの中にだけ残してください」
門脇美都「ホワイト・・・」
ホワイトライダー「さあ、はやく避難を」
門脇美都「わかった・・・」
ホワイトライダー「美都さん。ありがとうございました」
門脇美都「お礼はやめて・・・わたしは、気付くのが遅すぎたんだから」
ホワイトライダー「俺とブラックは、美都さんのおかげで、多くの命を奪う宿命を変えることができた」
ホワイトライダー「自分の意志で死ぬことができる」
門脇美都「ホワイト・・・」
ホワイトライダー「俺は決着をつけます。美都さん、どうかお元気で」
門脇美都「ホワイト・・・」

〇研究機関の会議室
研究員「長官! はやく避難を!」
根津「私にかまわず、きみたちは早く避難しろ」
研究員「しかし・・・」
根津「これは命令だ。きいてくれ」
研究員「・・・分かりました」
根津「こんな形で、私の計画が終わるとはな・・・」
ホワイトライダー「意外だな。真っ先に逃げているものだと」
根津「私は機関の長。計画の責任者だ」
ホワイトライダー「・・・俺はこの施設とともに自爆する」
根津「そうか」
ホワイトライダー「逃げないのか?」
根津「私には最後を見届ける責がある」
ホワイトライダー「俺たちを憎んでいるか?」
根津「きみたちは私の作品だ。どんな形になろうとな」
ホワイトライダー「そうか・・・最後にひとつ聞きたい」
ホワイトライダー「本気で人間を救おうとしたのか」
根津「当然だ。私は人を救うための計画を立案した。そこに他意などない」
ホワイトライダー「多くの命を奪う計画で、か」
根津「さらに多くの命を救うためだ」
ホワイトライダー「・・・俺たちに自我を持たせたのは失敗だったな」
根津「私は不完全な作品など作らん」
ホワイトライダー「・・・俺とブラックを育てたのは、あなたじゃない」
根津「門脇くんに任せたのは私だ。それも含めて私の作品なのだ」
ホワイトライダー「・・・俺は、この施設の中枢を破壊して自爆する。あとは好きにするといい」
根津「私の作品、か・・・」

〇研究所の中枢
ホワイトライダー「これで、いいんですよね。美都さん・・・」
ホワイトライダー「さようなら」

〇大きい研究施設

〇魔法陣のある研究室
門脇美都(ホワイト、ブラック・・・わたしは科学者を続けてるよ・・・)
主任研究員「精神感応素材の第4次冷却、終了」
主任研究員「精神伝導プログラム、ラウンチ」
主任研究員「A1から16、およびB、C裂の神経接続、異常なし」
主任研究員「チューニング、すべて基準値」
主任研究員「室長。起動準備すべて完了しました」
門脇美都「ありがとう・・・では、始めましょう」
門脇美都「ホワイトナイト、起動!」

コメント

  • 『人間も怪人も、生まれる場所は選べない』ってテーマが根底にありそうな感じがして、高校の教科書に『I was born』という散文詩が載ってる事をふと思い出しました。ざっくりとした中身が、“赤ちゃん自身は『産まれたい』って思って誕生する訳じゃないけど、親の希望や願いを文字通り命を削る思いで託されて誕生する”。怪人も、それを生み出す人間も、本当は救いたい立場だったのに。と思うと切ない気持ちになりました

  • 無垢なペイルライダーがかわいそう…
    でも、他のライダーと異なり、存在意義とか悩まなかったという意味では一番幸せだったのかもしれない…

  • はい! 黙示録の騎士という時点で大好物です。続きを所望します❤

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