なぜか私だけ幽霊が見えるらしい(脚本)
〇ディベート会場(モニター無し)
瑠菜「出た!本当に出たんだけどぉぉ!!」
日向「え?君、僕のことが見えるのか?」
瑠菜「しかも喋ったぁぁ!!」
実音「瑠菜ちゃん? 出たって、本当に幽霊がいるの? 声も聞こえてるの?」
瑠菜「えっ逆に見えてないの? こんなにはっきりしてるのに!?」
実音「全然、何もいないよ」
日向「どうやら、こっちの子には何も感じ取れてないみたいだね」
この幽霊、本当に実音には見えないし、声も聞こえていないようだ。
瑠菜「えっ 実音って霊感とかあるんじゃないの? オカルト同好会会長なんだし」
実音「わたしはオカルト好きなだけの普通の女の子だよ!」
ドヤ顔で言われましても。
実音「ていうか瑠菜ちゃん霊感あったんだ! やっぱりオカルト同好会に誘ってよかったぁ」
瑠菜「いや、ほっこりしてる場合じゃないでしょ そこに幽霊いるんだよ?」
実音「あ!そうだよね! そこにいるらしい幽霊さん!あなたが怪奇現象を起こしたんですよね!?何が目的ですか!?」
実音「あとどういう未練があるとか、幽霊歴何年くらいとか、生前何してたとか!!??」
日向「いや、そんなにいっぺんに聞かれても・・・」
瑠菜「実音、幽霊さん困ってるからあんまり質問攻めしないであげてよ」
実音「あ、ごめん ついテンション上がっちゃって・・・」
日向「とりあえず幽霊さんっていうのやめてくれないかな 僕、日向っていう名前なんだ」
瑠菜「この幽霊、日向っていうんだって」
実音「なるほど、日向さんですね では改めて日向さん、あなたが怪奇現象の犯人で間違いないですか?」
日向「そういうことになるかな 幽霊だからいつもは物に触れないんだけど、たまに動かせる時があってね」
実音「瑠菜ちゃん、日向さんなんて言ってるの?」
瑠菜「あ、そうか私が通訳しなきゃだね 犯人だって認めたよ なんか、たまに物を動かせるらしいよ」
実音「いわゆるポルターガイスト現象ですね やっぱりこの部活に未練があっての犯行でしょうか?」
瑠菜「なんか、取調室みたいになってるね」
日向「いや、実は特段部活に未練があるわけじゃなくて ただここがなんとなく居心地がいいからいるだけだよ」
実音「日向さんはなんと?」
瑠菜「別に部活に未練はなくて、居心地がいいからここにいるだけだって」
実音「えっ! じゃあわたしの完璧な推理は・・・ハズレ?」
日向「いや、半分くらい当たってるよ。 僕は演劇部にいたんだけど、事故に遭ってしまって・・・」
日向「でも、どうしても未練があって、ここに留まってるんだ。もう5年くらい経つかな」
瑠菜「実音、演劇部だったとか事故で死んだあたりのくだりは合ってるみたいだよ」
実音「そっかぁ でもそれくらいかぁ 自信あったのになぁ」
実音、幽霊が見えない上、推理まで外れて結構落ち込んでいるようだ。
ここは、実音のためにもわたしが幽霊から色々聞き出しておいてあげよう。
多分普通に励ますよりも新情報のほうが効きそうだし。
瑠菜「で、なんですか?その未練って」
日向「それは・・・」
瑠菜「それは?」
日向「実はね・・・」
瑠菜「実は?」
日向「僕・・・ずっと女子高生になりたかったんだ」
瑠菜「そうなんですね・・・」
瑠菜「は?」
実音「どうしたの瑠菜ちゃん・・・?」
瑠菜「なんか、この人、女子高生になりたいらしいよ?」
実音「え?」
日向「ああ、やっぱこうなっちゃうかぁ」
瑠菜「だって、意味がよくわからなくて」
日向「ほら、僕、見ての通りただのヒョロい男じゃん?」
瑠菜「まあ、はい」
日向「そんな僕と比べたら、女子高生ってキャピキャピっていうかキラキラっていうか、とにかく輝いて見えたんだよ」
日向「とにかく、理由はよく覚えてないけど、僕は昔からキラキラした女子高生に憧れていてね 女子高生として青春するのが夢なんだ」
実音「瑠菜ちゃん、通訳お願い」
瑠菜「ごめん ちょっと言ってる意味がわからなくて無理」
実音「そっかぁ わたしも日向さんと直接話せればなぁ・・・ っていうかなんで話せないんだろ?波長が合わないのかな?」
瑠菜「波長?」
実音「魂はそれぞれ別々の周波数みたいなものがあって、それが近いほど声が聞こえやすくなったり、取り憑かれやすくなったり・・・」
実音「ん?取り憑かれ・・・取り憑く・・・憑依・・・」
実音「これだ!」
瑠菜「ど、どうしたのいきなり叫んだりして」
日向「憑依、とか言っていたね」
実音「瑠菜ちゃんに日向さんが憑依して貰えばいいんだ! そうすればしゃべれるよ!」
瑠菜「憑依って何?」
実音「霊が生き物に乗り移ることだよ イタコみたいなものって言えばわかるかなぁ?」
瑠菜「うーん、わかるような、わからないような」
日向「つまり、僕が瑠菜ちゃん?の体を借りて、この子と喋れるかもってことだね」
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