悪の怪人

山田雲龍型

読切(脚本)

悪の怪人

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〇秘密基地の中枢
  正義のヒーローの手によって一つの組織が壊滅した。

〇秘密基地の中枢
Dr.ケトン「くっ! 皇帝は倒され組織もここまでか・・・」
Dr.ケトン「せめて、生まれたばかりのこいつらだけでも!!」

〇秘密基地の中枢
鮫の怪人「ドクター!一緒に逃げましょう!!」
蜘蛛の怪人「俺たちはドクター無しでどう生きていけば・・・」
悪の怪人「兄さん達が泣いている 僕は生まれたばかりだからわからない」
悪の怪人「ドクターが僕の親で周りにいるのは兄弟達、プログラムされているからわかる」
悪の怪人「そして、僕は悪の怪人 まだ、生まれたばかりの悪の怪人 そうプログラムされている」
Dr.ケトン「生まれて間もないお前達を無責任に社会に出すのは申し訳なく思う」
Dr.ケトン「しかし、お前達は人智を超えた特別な存在だ」
Dr.ケトン「”生きろ!!” これがワシからの最後の司令だ!!」

〇秘密基地の中枢
  生まれて間もない3体の怪人は
  生みの親であるDr.ケトンによって逃された

〇荒廃した教室
蜘蛛の怪人「組織は、壊滅してしまった・・・ 俺たちはこれからどうすればいいいのか」
鮫の怪人「ドクターからの最後の指令だ とにかく生き残ることを考えよう」
蜘蛛の怪人「そういえば、怪人として生まれながら 人の社会で生きる兄弟もいるとドクターから聞いたことがある」
鮫の怪人「俺もその話は聞いたことがある まずは、その怪人を訪ねてみるか!?」
蜘蛛の怪人「そうだな、それでいこう!! お前もそれでいいな?悪の怪人」
悪の怪人「・・・うん」

〇教会の中
一般人A「あぁ、神様!! どうか私の懺悔を聞き入れてください!」
一般人A「・・・」
天使の怪人「おぉ、迷える子羊よ 神は貴方の罪を許すでしょう」
天使の怪人「この者に神の加護を」
一般人A「神よ!ありがとうございます!!!」
蜘蛛の怪人「あの怪人と人間は何をしてるんだ??」
天使の怪人「そこにいるのは兄弟だね?」
鮫の怪人「うおっ!?気づかれた!!」
蜘蛛の怪人「俺たちゃ、何もしてないんだからビビるこたーねー!おい、あんたはDr.ケトンに生み出された怪人か??」
天使の怪人「そう、私は天使の怪人 Dr.ケトンによって生み出された怪人が一人」
天使の怪人「人の社会で宗教というものを学ぶために社会に紛れ生きています」
天使の怪人「貴方達は?」
鮫の怪人「俺たちは、Dr.ケトンに生み出された最後の怪人」
蜘蛛の怪人「Dr.ケトンによる最後の指令”生きろ” を実行するために人間社会で生きる兄弟にヒントを求めにきた」
天使の怪人「そうですか、私がどこまで役に立つかは解りませんが、お答えしましょう」
天使の怪人「私は天使の怪人、その能力はカリスマ 人は私を見ると神の威光のようにカリスマを感じるのです」
天使の怪人「この能力を使って私は人間を許すことで生きています」
悪の怪人「許す?」
天使の怪人「そう、先ほどの男のように人間は常に許しを求めているのです」
天使の怪人「需要と供給、神のごときカリスマがある私に許されることで人は喜んで財を提供します」
天使の怪人「まぁ、私が許したところで人の罪が消えるわけではないのですが」
天使の怪人「ひと時の安寧のために人は神に縋る それが宗教という形になるのでしょう 怪人である私には理解しかねる思考ですが」
鮫の怪人「・・・・がっ!? 言ってることが難しすぎてエラ呼吸になっちまった」
蜘蛛の怪人「ま、まぁ特技を活かして需要があるところに供給してるってこったな」
天使の怪人「・・・そうですね」
天使の怪人「私以外にも人の社会で生きる兄弟を紹介します 地図の場所に行ってみなさい」
  地図の場所に向かう3体

〇ケーキ屋
菓子の怪人「ハローケーキ、こんにちはぁ 出来立てのケーキはいかが? ケーキはみんなの人気者」
菓子の怪人「わんぱく、いじわる、おこりんぼうも美味しいケーキと一緒なら、つられて笑顔になっちゃうなぁ」
菓子の怪人「けけけ、今日は貸切だ 遠慮するこたねぇ、兄弟おおいに食っていけ」
鮫の怪人「あっ、あざーっす!」
蜘蛛の怪人「兄弟はケーキ屋をやって生きてるんですか?」
菓子の怪人「おぅ、俺は菓子の怪人だからよ 美味い菓子を作って売ってるってわけよ」
鮫の怪人「このケーキ、マジで美味いっす!!」
菓子の怪人「お、おう、そうか 食え食え!!」
菓子の怪人「それにケーキ屋ってのは美味けりゃ潰れねー」
菓子の怪人「人間は自分に甘いからな」
菓子の怪人「定期的に自分を甘やかしたくなるのよ」
菓子の怪人「そこに俺のスイーツが人間を甘やかしてやるって寸法よ」
菓子の怪人「人間のおかげで俺も甘い人生を送れるってもんだぜ けけけ」

〇荒廃した教室
蜘蛛の怪人「兄弟達にあって解ったが、それぞれの怪人の特性を活かして生きていたな」
鮫の怪人「あぁ、俺は自分の生き方を決めたぜ」
鮫の怪人「鮫の怪人の俺は海で生きる 海には捨てられた人間のものがウヨウヨ浮いてるからな、それと海の幸を狩っていけば生きていける」
蜘蛛の怪人「そうか、俺は蜘蛛の力を使って害獣駆除をしようかと思う 人間は自分の生活に邪魔なものは駆除するらしいからな、仕事になるだろ」
鮫の怪人「おぉ、そうか また会う日があるかわからねぇがここでお別れだな」
蜘蛛の怪人「あぁ」
悪の怪人「・・・」
悪の怪人「・・・」
悪の怪人「僕は、どう生きればいんだろう 『悪』の怪人である僕は」
  3年後・・・

〇オフィスの廊下
会社員「ありがとうございます! 今後もどうぞ、よろしくお願いします!」
会社員「ふぅ、なんとか商談がまとまったな」
会社員「こんな時間か、今日は直帰するとメールで部長に知らせておこう」

〇男の子の一人部屋
会社員「ふぅ、ようやく一息つける」
  ジジジッ・・・
  ジジジっ・・・
悪の怪人「今日も一日、疲れたな」
  あれから、僕は人間として生きている
  悪の怪人、悪とは何なのか
  本も読んだ、色々な人に話も聞いた
  でも、何が『悪』なのか解らなかった
  だから、生きるために擬態能力で人間として社会に溶け込んで生きた
  いまだ『悪』が何なのか解らない
  罪を犯しながらも自分と社会に甘えて生きている
  人間の生き方が僕にはあっているようだ
  これからも、僕は人間として生きるだろう
悪の怪人「ドクター、僕は今日も生きました」
悪の怪人「おやすみなさい」
  END

コメント

  • うまく言葉にできませんが、とても面白かったです・・・!シンプルなのに心に残るお話ですごいです。

  • とても難しいテーマで書かれていて、夢中で読んでおりました。素敵なお話でした・・・!

  • この世で悪のプログラムを遂行するための選択肢は、人に擬態する事……皮肉でいて、純然たる事実な気がしますね。

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