パワハラ上司(脚本)
〇繁華な通り
中野「さて仕事仕事。心の汚れた人はいないか?」
中野「とりあえず人通りの多いところまで出てきたけど、そう上手くは見つからないか」
パワハラ上司「おい、石田!!さっきの挨拶はなんだ?」
パワハラ上司「お前、社会人ならもっと大きな声で挨拶しろ。取引先に失礼だろうが!!」
石田「すみません・・・」
パワハラ上司「おはようございます!!ってここで思い切り叫んでみろ」
石田「えっ・・・。こ、こんな人通りの多いところでですか・・・?」
パワハラ上司「ほら、やれよ」
石田「おはようございます・・・」
パワハラ上司「声が小さいんだよ。もっと大きな声で!!ほら!!やれ!!」
石田「おはようございます!!」
パワハラ上司「やればできるんじゃねえか。なんでやらなかったんだ、この馬鹿が!!」
そう言って石田と言われた若い男の上司らしき男は、石田を蹴ったり殴ったりしていた。
中野(あらら。派手にやってるな。完全にパワハラじゃないか。あの蹴られた人、泣いちゃってるし)
石田「うっ・・・ううっ・・・」
パワハラ上司「ははは。大の大人が泣くんじゃねえよ」
中野(どれどれ・・・?)
中野「あー、完全に汚れてるね」
中野「おーい、おっさん」
パワハラ上司「ん?なんだ、お前は?」
中野「自分の大事な部下を蹴ったり殴ったり。それってパワハラじゃない?」
パワハラ上司「指導だよ。ガキが。黙ってろ」
中野「おっさん。選択物が汚れてるんだよ」
パワハラ上司「洗濯物だと?何訳の分からないことを・・・」
中野「瑠璃!!」
中野「・・・・・・・・」
中野(・・・って、いつも突然現れるくせにどうして肝心な時には来ないんだよ)
パワハラ上司「おい石田。いくぞ」
石田「は、はい・・・」
中野「・・・行ってしまった」
中野「仕方ない。こっそり後を付けて、どこの会社の奴か突き止めないと」
〇オフィスビル前の道
中野「このビルがあのパワハラのおっさんの会社か」
中野「しかしどうやって中に入る?」
中野「いや、その前に瑠璃だ。瑠璃に連絡しないと」
中野は瑠璃のスマホに連絡した。
中野「・・・つながらない。どうする?」
中野「瑠璃なしでは、選択の洗濯ができないぞ・・・」
中野「黙って見てるしかないのか?」
中野「いや、俺も選択屋アルバイト。自分の力でなんとかして一件解決してみせる」
〇おしゃれな受付
中野「すみません」
受付「はい、何か御用ですか?」
中野「あの・・・石田さんの知り合いの者なんですけど呼んで頂く事って可能ですか?」
受付「はい。少々お待ちください」
石田「すみません。えっと・・・あっ。さっきの」
中野「こんにちは、石田さん。中野です」
石田「僕に何か用ですか?」
中野「石田さん。上司からパワハラを受けてますよね?」
石田「ええ・・・。まあ・・・。黒川さんは、初めは優しい先輩だったんです」
石田「でも次第に暴言、暴力、嫌がらせ。色々受けるようになりました」
中野「それは選択物が汚れているからなんです」
石田「さっきもそのような事をおっしゃてましたね。洗濯物って何なんですか?」
中野「心の汚れです。俺には、心の汚れが見えるんです」
中野「選択物が汚れているから、選択を間違えてしまい、指導がパワハラになってしまってるんです」
石田「どうすればいいんでしょうか?」
中野「本当なら洗濯するのがいいんですが、俺にはその力はありません」
中野「でも近日中には、必ず洗濯にお伺いしますので、もう少しだけ耐えてくれませんか?」
石田「は、はい・・・。わかりました」
中野「では、今日は失礼します」
〇開けた交差点
中野(あのロリ・・・。どこにいるんだ。この大事な時に)
中野「くそ・・・。どうすればいい。どうすれば石田さんを助けられる?」
〇一人部屋
中野「だめだ・・・。まだつながらない・・・」
中野「くそう。あのロリ、何やってるんだよ!!このままじゃ石田さんの心も疲れきってしまう」
中野「・・・もう待てない。こうなったら俺の手で洗濯するしかない!!」
〇オフィスのフロア
中野「失礼します」
石田「な、中野君!?」
石田「部外者は勝手に入って来ちゃだめだよ」
中野「それは後で謝ります。でも黒川さんが先だ」
パワハラ上司「お前・・・。この間の。出て行け、ここは部外者以外立ち入り禁止だ」
中野「あんたさ、恥ずかしくないか?」
パワハラ上司「何だと?」
中野「石田さんみたいな大人しい部下を怒鳴ったり、暴力振るったり」
中野「それって社会人として、大人としてどうなんだよ」
パワハラ上司「指導だ。お前には関係ないだろう」
中野「見てらんねえんだよ。おっさんみたいな上司、絶対誰もついてこなくなるぜ」
パワハラ上司「なんだと・・・!?」
中野「おっさん。昔は良い上司だったんだろ?」
中野「どうして道を誤ったんだよ。おっさんは、部下をきちんと育てたかっただけなんだよな?」
パワハラ上司「・・・俺の前の部下はな。会社の金を横領したんだ」
中野「横領?」
パワハラ上司「ああ。俺がもっときちんと指導していれば、あいつは過ちを犯す事もなかったのかもしれない」
パワハラ上司「だから俺は、部下には厳しく指導していたんだ」
中野「でも暴言、暴力。熱が入りすぎて行き過ぎた指導だった。そうだな?」
パワハラ上司「ああ・・・。そうだ」
中野「おっさん」
中野「厳しくするだけが指導じゃないぜ」
中野「厳しいだけじゃ、部下はついてこないんだよ。認めてやることも必要なんだ」
中野「だからよ。もう少し石田さんに優しくしてやってくれないか?頼むよ」
パワハラ上司「なんだ!?このキラキラしたものは!?」
パワハラ上司「・・・石田。すまなかった。お前の努力も認めてやるべきだった」
中野「やった・・・のか・・・!?」
中野「俺一人でも洗濯できたのか!?」
中野「おっさんの心が洗濯されている!!」
石田「黒川さん。これからもご指導よろしくお願いします」
〇開けた交差点
中野「やった!!やったぞ!!俺一人の力で選択を洗濯した。俺でも人は救えるんだ!!」
選択屋・瑠璃「成功体験により自信をつけた青年は、より一層仕事にまい進する」
中野「うわああああああああ!!!!」
選択屋・瑠璃「自信はつきましたか?」
中野「このロリ!!今までどこにいたんだ!!何度も連絡したのに無視しやがって!!こっちは大変だったんだぞ!!」
選択屋・瑠璃「あー!!ロリって言わないって言ったのに!!ロリって言ったー!!」
選択屋・瑠璃「私、傷つきます!!私はロリじゃない!!瑠璃です!!」
中野「なんで連絡したのに出なかったんだよ!!」
中野「まあ今回は、この俺の大活躍で洗濯ばっちりしちゃって一人で解決したけどな」
選択屋・瑠璃「じゃあそろそろネタバレしちゃいますね」
選択屋・瑠璃「あのパワハラおじさんは、私が洗濯しました」
中野「えっ?何?どういうこと?」
選択屋・瑠璃「中野さんの心の扉の中から、選剤を飛ばして洗濯したんです」
中野「ちょっと待て。つまり・・・」
中野「最初から最後まで見てたのか?」
選択屋・瑠璃「はい。偉そうにおじさんに説教するところとかも見てました」
中野「なんで出てこなかったんだよ」
選択屋・瑠璃「今日は、おうちでのんびりしたい気分だったので」
中野「気分!?気分なの!?」
中野「いや、仕事しろよ!!」
選択屋・瑠璃「中野さんを通して仕事したじゃないですか」
選択屋・瑠璃「在宅ワークです」
中野「何ちょっと最近のIT企業ですみたいに気取ってんだよ」
選択屋・瑠璃「良かったですよ。中野さんの熱い説得」
中野「う、うるせえ!!俺の説得で心の洗濯できたと思って感動してたのに!!」
中野「俺の余韻を返せ!!」
選択屋・瑠璃「選択屋に熱い心は必要です。これも研修のうちの一つだと思ってもらえれば」
中野「くそー!!」
選択屋・瑠璃「部下の管理も上司の責任。ということで、これからも中野さんの心の扉を管理していくのでよろしくお願いします」
中野「やっぱり俺のプライベート丸裸!?」
選択屋・瑠璃「上司への暴言。ロリとか言ったら、中野さんの秘密をバラします!!」
中野「やめろやめろ!!パワハラ反対!!」
成功体験と自発的行動、一人前になるには必要ですよね。中野さんも心の中を丸裸にされながらもステキなご指導をされていたようで。ちなみに、心の中を覗いてニヤニヤするのは、何ハラスメントでしょうかね?w