5.4人での初任務のようです。②(脚本)
〇広い公園
玲奈「まずは捕まえて事情を聞く。調伏するかどうかはその後よ」
〇ビルの裏通り
玲奈「──という訳で、あの子を調伏するのは少し待って欲しいの」
酒巻「うーん・・・」
酒巻「分かった。狐守さんがそう言うなら」
酒巻「でも、どうやって捕まえる? 俺達調伏前提で来てるから、手錠もなにも持ってないよ?」
玲奈「八田島さんや茨木さんが付けてる縛鎖錠を使うのは? あれも手錠代わりになるんでしょう?」
八田島「・・・無理だよ」
八田島「あれは須佐川にしか扱えない仕組みになってる。キミたちじゃ僕らの腕から外せないよ」
八田島「それに、あの道具の電撃機能はあの子じゃ耐えられない。特級の怪異でもキツいやつだから」
玲奈「えっ。でも八田島さんには効いてなかったじゃない」
八田島「僕は例外。慣れてるから」
八田島「ともかく、縛鎖錠は使えない。 他にもっと・・・物理的に相手を縛れるようなものじゃないと」
茨木「縛る、と言えば・・・」
玲奈(義手の中からロープが!?)
茨木「一応、これならありますけど」
酒巻「茨木・・・ いつもそんなもの持ち歩いてたの?」
茨木「ええ、模造刀だけでは心許ないですし。他にも投擲用のナイフに小型爆弾、色々ありますよ」
酒巻「物騒だ・・・」
茨木「しかし、これだと炎で燃やされてしまうと思いますが」
八田島「貸して」
八田島「ここをこうして・・・」
八田島「はい。これで炎の効果を打ち消せると思う」
玲奈「八田島さん、手伝わないんじゃなかったの?」
八田島「気が変わったんだよ」
玲奈「そう・・・ありがとう」
玲奈「終わったらシュークリームたくさん買ってあげるわ」
八田島「・・・ふん」
玲奈「とりあえず、これで方針は決まったわね」
玲奈「後は誰があの子を捕まえに行くかだけど・・・」
酒巻「俺と茨木でやるよ。 スピード勝負は得意だし。ね?」
茨木「・・・そうですね。狐守さんと八田島様は後方支援をお願いします」
玲奈「分かったわ」
玲奈「それじゃ、野狐捕獲作戦──行動開始!」
〇広い公園
野狐の少年「まだ僕をいじめるつもりなの!?」
酒巻「違うよ。君と話をしに来たんだ」
野狐の少年「嘘だ! 人間が僕らの話を聞いてくれるはずない!」
酒巻「──ッ!」
酒巻「狐守さん!!」
玲奈「了解!」
玲奈「八田島さん、行くわよ!」
八田島「・・・ん」
〇広い公園
酒巻「よし、道ができた!」
酒巻「茨木、今だ!!」
茨木「分かってます──!!」
野狐の少年「うあっ!」
酒巻「それっ!」
野狐の少年「な、なにするんだよ!!」
酒巻「縛ってるんだよ。君、こうでもしないと落ち着いてくれないでしょう」
野狐の少年「くそっ、こんなの燃やして──」
野狐の少年「術が効かない!?」
茨木「無駄ですよ。八田島様の力で貴方の炎は打ち消されますから」
酒巻「そうそう。だから抵抗はやめて、大人しくしてて。ひどい事はしないから」
野狐の少年「ううっ。いやだ、いやだあああああああ!!」
〇ゆるやかな坂道
???「おや、調伏しないのですね。APASはそういう組織だと思ってましたが、予想外です」
???「しかし、このまま終わるのもつまらないですし。最後にもう1つ手を加えておきますか」
???「ついでにあの娘以外が消えてくれれば、万々歳ですしね」
〇広い公園
玲奈「ふぅ。向こうも終わったみたいね」
玲奈「あとはここの炎をどうにかすれば・・・」
八田島「あれ? この妖力・・・」
八田島「──!! まずい!」
〇広い公園
酒巻「さてと。それじゃあ、狐守さんのところに・・・」
野狐の少年「──ない」
酒巻「え?」
野狐の少年「まだ、殺されたくない──!」
酒巻「──!」
〇黒背景
酒巻(炎が、迫る)
酒巻(無理だ、逃げられない)
酒巻(茨木は──)
〇広い公園
〇黒背景
酒巻(ああ、あそこならまだ大丈夫)
酒巻(火傷くらいはしそうだけど、命は助かるはず)
酒巻(だから茨木、今のうちに君は──)
〇広い公園
酒巻「君は、逃げて」
茨木「酒巻様──!!」
小型爆弾は笑いました。
少年誌好きとしてはとても楽しく読めてます。