幻想冒険譚 Advent(アドベント)

いりゅーなぎさ

第8話 メッセージ(脚本)

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〇西洋の街並み

〇西洋風の受付
  ──夕刻。ギルテの街、アドベントギルド。
  ギルドに戻ると、イリアは依頼の張り紙が貼ってあった壁のそばに置かれている機械に手を入れ、刻印を読み込ませた。
  機械がイリアの刻印を読み取ると、その機械の下部にある取り出し口に3枚の金貨が吐き出された。
「──あら? もうグリズリーの依頼を終えられたのですか?」
  受付の女性が話しかけてきた。
イリア「あ、はい。 これで今日の宿代はどうにかなりそうです」
  以龍は先ほどイリアが金貨を受け取った機械を眺めていた。
以龍 渚「ここに手を入れれば、依頼達成の報酬が受け取れるようになっているのか・・・」
  以龍が試しに自分の手を入れてみる。
イリア「あっ」
  その光景を目にして、なぜかイリアが声を上げた。
  機械が以龍の刻印を読み取った。
  ──そして、金貨が3枚吐き出される。
以龍 渚「? なんでもう一回報酬が出てくるんだ?」
イリア「えーと、それは・・・」
「いえ。 それで合ってますよ? たしか、グリズリーの報酬は六千だったはずですから」
以龍 渚「? じゃあ、なんで二回に分けて出てきたんだ?」
「それは完了報告の際に、報酬が折半になるように報告されたのではないですか?」
以龍 渚「折半? いや、俺は手伝っただけで報酬なんて受け取るつもりは──」
イリア「な、渚さん。 とりあえず、そのお金はもらっておいたらいいんじゃないですか?」
以龍 渚「・・・そうか、お前の仕業か。 ったく。なんでこんな真似をする必要がある?」
イリア「ほ、報酬の折半はアドベントとしてのマナーなんですっ」
イリア「今回、渚さんは無償で傭兵を引き受けてくれたんですから、報酬くらいはきちんと受け取ってください」
以龍 渚「・・・受付さん。 ちょっと聞きたいことがあるんだけど?」
「はい、なんでしょう」
  以龍は突然、自分のバスタードソードを受付カウンターの上に置いた。
以龍 渚「この剣がいくらくらいの品なのか、わかる?」
「そうですね・・・ これくらいの品ですと、6~7千くらいが相場じゃないでしょうか?」
以龍 渚「イ・リ・ア」
イリア「・・・6千8百です」
  以龍は無言で金貨3枚をカウンターの上に置いた。
以龍 渚「この金貨1枚が千の金になっているんだったら、残り3千8百を返さなくてはいけないんだな?」
イリア「ま、待ってください。 その剣はあなたにあげたモノです。 代金を受け取るつもりなんてありませんっ」
  カウンターに置かれた金貨を以龍の方に押し返す。
以龍 渚「何を言っても無駄か・・・」
  以龍は金貨を渡すことを諦め、自分の衣服のポケットに金貨を押し込んだ。
以龍 渚「受付さん。 新しく仕事を受けるにはどうしたらいいんだ?」
イリア「ちょ、渚さん。 もうすぐ日が沈みます。今日はもう無理ですっ」
「そうですね。 こちらとしてもあまりオススメは──」

〇魔法陣2
  突如、以龍の刻印が青く光りだし、点滅を始めた。
以龍 渚「な、なんだ、コレ?」
イリア「メッセージコール!? ──渚さん、刻印を擦って応答してくださいっ」
以龍 渚「あ、ああ」

〇西洋風の受付
  言われたとおりに刻印を擦ると、宙に文字が映し出される。
  メッセージが1件届いています。
以龍 渚「メッセージ?」
イリア「その文字に触れれば内容が確認できます」
  文字に触れて、内容を確認してみる。
  『リネク・フィナル』様よりメッセージが届いています。
以龍 渚「リネク・フィナル? ・・・誰だ?」
イリア「渚さんっ。はやくそのメッセージの内容を確認してくださいっ。 ──多分、渚さんの仲間の方からのメッセージです」
以龍 渚「あ、ああ」
  届いたメッセージの文字に触れ、内容を確認しようとするが──
  禁則事項です。
  レベルの低い方にこの情報を開示することは出来ません。
以龍 渚「はぁ!?」
イリア「また、禁則事項ですか・・・」
以龍 渚「なんなんだよ、いったい」

次のエピソード:第9話 アームガンの少年

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