第13話 2人の想い、2人のこれから【最終話】(脚本)
〇先住民の村
ミス卑弥呼コンテストはいよいよフィナーレを迎える・・・
氷見子(ひみこ)「・・・」
氷見子(ひみこ)「みんな思ったよりやるじゃない」
氷見子(ひみこ)「それぞれが思い描く卑弥呼と壱与を本気になって表現する」
氷見子(ひみこ)「邪馬台国の研究者としてこれほどうれしいことはないわ」
氷見子(ひみこ)「みんなの熱い思いに答えるためにも・・・」
氷見子(ひみこ)「私も全力でいくわよ!」
10番目 氷見子
最後に登場した氷見子の演技が始まる。
その凜とした佇まい、全身から漂うオーラ・・・
その姿は、まさに多くの人がイメージするカリスマ女王・卑弥呼の姿そのものだった。
強さ
美しさ
カリスマ性
氷見子が演じる卑弥呼はその全てを兼ね備えていた・・・
観客、関係者、参加者・・・その場にいる全員がその姿に圧倒され、口を開くことすらできなかった。
氷見子の演技が終わった後も、その場の静寂はしばらく続いていた・・・
氷見子(ひみこ)「私が邪馬台国の女王・卑弥呼よ!」
氷見子の言葉で我に返った観客から、割れんばかりの拍手が起こり、それはいつまでも鳴り響いていた・・・
〇植物園のドーム
参加者全員の発表が終わり、審査員による審査も終了した・・・
館長「10組の参加者とも本当に素晴らしかった」
館長「表現方法は違えど、それぞれが本気で演じる卑弥呼と壱与の姿を見て・・・」
館長「本当に胸が熱くなった」
館長「できることなら全員優勝としたいところだが、そこはルール」
館長「我々審査員も参加者に負けない気持ちで本気で審査をした」
館長「それでは、ミス卑弥呼コンテストの結果を発表する」
館長「ミス卑弥呼コンテストの優勝者は・・・」
館長「・・・」
館長「氷見子さん!」
館長「それでは優勝者の氷見子さんからひと言お願いする」
氷見子(ひみこ)「昨日の前夜祭で「優勝するのは私」と宣言した」
氷見子(ひみこ)「そして、その通りの結果になった」
氷見子(ひみこ)「・・・しかし、今となってはそんなことはどうでもいい」
氷見子(ひみこ)「邪馬台国・・・卑弥呼や壱与にこんなに熱い思いを持っている参加者たちと本気で戦うことができた」
氷見子(ひみこ)「それがとても楽しかった」
氷見子(ひみこ)「みんな、ありがとう!」
館長「・・・」
館長「これにて、第1回ミス卑弥呼コンテストを終了する」
???「第1回?」
館長「私もここまですごいコンテストになるとは思わなかった」
館長「感動した!」
館長「よって、いつの日か必ず、またミス卑弥呼コンテストを開催することに決めた!」
館長「そのときにまた会おう!」
〇植物園のドーム
弥生「やり切った・・・はずだったけど、上には上がいたか」
真治「またやるんだとよ。どうする?」
弥生「・・・」
弥生「もちろん、出るわ」
弥生「そして、次は私たちが勝つ!」
マネージャー「ま、最後にあんな卑弥呼が登場しちゃ仕方がないか」
伊代「ふん。私の壱与ちゃんのほうが上だったわよ」
伊代「ミス「卑弥呼」コンテストだから負けただけよ」
伊代「次は「ミス卑弥呼&壱与コンテスト」にして欲しいわ」
伊代「そしたら、絶対私が優勝よ」
玲子「氷見子さんの演技すごかったね。卑弥呼そのものだった」
大和「はい。でも、玲子さんの卑弥呼もとてもよかったです」
大和「惜しかったですね」
玲子「惜しいかどうかはわからないけど・・・」
玲子「私は今の私の全力を出し切った」
玲子「だから、悔いはないわ」
大和(コンテスト、またやるんだ・・・)
玲子(また次のコンテストがあるんだ・・・)
こうして、ミス卑弥呼コンテストは終了した・・・
〇海辺
玲子「今日のコンテスト、すごく楽しかった」
玲子「弥生さんも、伊代ちゃんも、氷見子さんも、他の参加者の人も、みんな本当にすごかった」
玲子「みんなすごく楽しそうだった」
大和「観客の皆さんもとても楽しそうでしたよ」
玲子「うん」
玲子「夢のような時間だった」
大和「はい」
玲子「今日だけじゃない」
玲子「昨日の前夜祭も、合宿も、アルバイトも、ここに下見に来たときも・・・」
玲子「全部楽しかった」
大和「はい。とても楽しかったです」
玲子「・・・」
玲子「それもみんな大和くんのおかげよ」
大和「えっ?」
玲子「大和くんが協力してくれたから・・・だから私はここまで来れた」
玲子「私一人じゃここまで来れなかった」
玲子「今日のこの最高の時間も経験できなかった」
玲子「大和くん、ありがとう」
大和「・・・」
大和「僕も玲子さんがいなかったら、こんな貴重な経験をすることはできませんでした」
大和「玲子さんが僕をここまで引っ張ってくれたんです」
大和「玲子さん、ありがとうございました」
玲子「・・・」
玲子「大和くん、あの・・・」
大和「はい?」
玲子「ううん、何でもない」
大和「・・・」
大和「玲子さん」
大和「玲子さんの「卑弥呼様になりたい」という夢は今日で終わりですか?」
玲子「えっ・・・」
大和「僕は、その・・・」
大和「これからも一緒に、玲子さんの夢を叶えていきたいと思っています」
大和「だから、よろしければ、これからも・・・」
玲子「大和くん・・・」
大和「あ、すみません、変なこと言って・・・」
玲子「大和くん」
玲子「私、また卑弥呼様になりたい」
玲子「大和くんと一緒にいたい」
玲子「だから・・・」
玲子「これからもずっと・・・」
玲子「私と付き合って!」
大和「玲子さん・・・」
大和「はい!」
〇飛行機内
玲子「そうだ!」
大和「?」
玲子「今回コンテストに協力してもらったから、今度は私が大和くんに協力するよ」
大和「はい?」
玲子「大和くんの夢は邪馬台国の謎を解明することでしょ?」
大和「そうですが・・・」
玲子「私もそれを手伝うわ」
大和「えっ!」
玲子「何、その顔? 不満なの?」
大和「い、いえ、そんなことは・・・」
大和「よろしくお願いします・・・」
玲子「やった。楽しみだなあ。遺跡発掘とかもするの?」
大和「まあ、いつかはそういうことも・・・」
玲子「そうだ!」
玲子「氷見子さんのところに勉強しに行こうよ!」
玲子「研究室に来いって言ってたよね」
大和「確かに言ってましたが・・・」
玲子「私さっき連絡先聞いたんだ」
玲子「これから連絡してみるね」
大和「今から!?」
大和(とにかく行動力がすごすぎる・・・)
〇飛行機内
玲子「弥生さんの歌すごかったね」
大和「はい・・・」
玲子「伊代ちゃん、かわいかったなあ」
大和「・・・」
玲子「大和くん?」
大和「・・・」
玲子「寝ちゃった?」
大和「・・・」
大和「玲子さんは、卑弥呼以上に美しい・・・」
玲子「えっ!」
玲子「寝ぼけてる。もう・・・」
玲子「・・・」
玲子「大和くん」
玲子「私、大和くんのことが・・・」
玲子「好きだよ」
2人で協力して取り組んできたミス卑弥呼コンテストは終わった。
しかし、2人の物語はこれからも続く・・・
〇先住民の村
玲子「私は邪馬台国の女王・卑弥呼様になる!」
完
コンテストは残念でしたが、今から第2回の開催に燃える参加者の皆、爽やかで素敵ですね😆👍
悔しくともお互いを認め合い、そして卑弥呼の偉大さを共有しあう……彼らはライバルであり、邪馬台国に想いを馳せる仲間なんだなぁと、その関係性にほっこりです☺️
そして、あの「付き合って」がどちらの意味なのか……
もどかしい二人の関係はまだ続きそうですね🤭
楽しかったです。素敵な物語をありがとうございました!
13話完結、お疲れ様でした。
優勝こそ逃しましたが、玲子さんと大和くんにとっては、それ以上に価値あるものを掴んだようですね。ラストの情感のこもった飛行機シーンはイイ感じでしたね。今回ばかりはCAさんの邪魔が入らずw また2人に会える機会を楽しみにしていますね。
完結お疲れ様です!
相手が悪かったですが、恋愛関係になり、今以上に強い絆で結ばれるであろう2人なら、第二回の優勝も勝ち取れるかもしれませんね。横恋慕が心配ですが笑 そこは、大和にしっかりしてほしい!