APAS討伐部~パートナーになったのは、最凶最悪の怪異でした~

菜鳥オウル

3.開始早々不穏な空気です。②(脚本)

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菜鳥オウル

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〇オフィスのフロア
八田島「でもそれ、僕からすればキミ達人間の方がそうなんだけど」

〇オフィスのフロア
玲奈「八田島さん、聞いてたの」
八田島「うん、僕って意外と耳が良いんだよ?」
八田島「──人間はさ、自分たちと違うものを理解しようとしないよね」
八田島「一方的に自分たちのルールを押しつけて、都合の良いものは祀りあげ、都合の悪いものは排除するんだ」
八田島「それで相手の言い分は聞き入れない。 昔っからずっとそうさ。だから人間って嫌いなんだよ」
玲奈「・・・」
酒巻「八田島さん、それ以上は・・・」
八田島「いーや、この際だから言わせてもらう。正直、この組織のやり方にはうんざりしてたんだ」
八田島「ほら、ここってアレでしょ? 英語って言葉だとえーじぇんしー・・・」
茨木「「Agency to Prevent Attacks by Specter」ですよ」
八田島「そうそれ! さっすが施設一の勉強家! 発音もバッチリ!」
茨木「ありがとうございます」
八田島「それって「怪異の襲撃を防ぐ機関」って意味なんだよね?」
八田島「で、キミたちはその名前の通り人を襲った怪異を調伏して回ってる訳だ」
八田島「でもさ、そもそもなんで怪異が襲ってくるのか考えたことある?」
玲奈「それは・・・ 怪異がそういう存在だからじゃないの」
八田島「キミって馬鹿? んな訳ないでしょ」
八田島「例えば──ほら」

〇池のほとり
アナウンサー「──次に、1ヶ月前郊外にオープンした森林公園のニュースです」
アナウンサー「相次いでいた問題も解決し、現在は多くの客で賑わいを見せており──」

〇オフィスのフロア
八田島「ここ、キミたちは見覚えあるんじゃない?」
酒巻「ああ、少し前に河童を討伐しに行ったところだ」
酒巻「確か最初は原因不明の事故で怪我人が数人出てたから調査依頼が来たんだっけ」
八田島「うん、報告書にはそうあったね」
八田島「でも河童ってそんなに気性が荒い怪異じゃないからさ。気になってちょっと調べてみたんだ」
玲奈「調べたって、何で?」
八田島「もちろんインターネットってやつで」
玲奈「いつの間にそんな文明の利器を・・・」
八田島「それで分かったのは、あそこを公園にするために池を埋め立てたり木を切ったり色々したってこと」
八田島「そりゃ怒って当然だよね。だって河童にしたら家を半分壊されたようなものだもの」
玲奈「でも・・・それじゃあ前に会った白狼の群れはどう説明するの」
八田島「あの子達・・・というか、ここ最近会ったほとんどの怪異はこの公園ができて住処をなくした子達だろうね」
八田島「山に住んでる怪異は人の多い場所に慣れてない子が多いから。身の隠し方を知らなくて、キミに見つかっちゃったんだ」
八田島「まあ怪異は実力主義的なところがあるし、僕的には喧嘩するなら勝手にどうぞって感じなんだけど・・・」
八田島「それはそれとして悪意はないのに怪異が人間から悪者にされてるのはムカつくから、ちょっと細工した訳」
玲奈(そういえば・・・)

〇公園のベンチ
  あの時も・・・

〇線路沿いの道
  この時も・・・

〇オフィスのフロア
玲奈(八田島さんは結局怪異を逃がしてた)
八田島「要するに怪異は別に好き好んで人を襲ってる訳じゃないの」
玲奈「でも、そういう怪異だって──」
八田島「もちろん、どこぞの女狐みたいに理由無く人間を支配しようなんて考える怪異もいるよ」
八田島「けどその手のやつはレア中のレアさ」
八田島「ほとんどの怪異は怪異なりに感情があるし、理由があって行動してる」
八田島「僕が外に出るために、茨木は人捜しのために、須佐川の提案に乗ったのと同じようにね」
酒巻「えっ、そうだったんですか? 茨木さん」
茨木「「茨木」とお呼びくださいと申し上げたでしょう。それに敬語もいりません」
茨木「始めは確かに人捜しでしたが、今は良いのです」
茨木「先に確かめたいこともありますし」
茨木「・・・」
酒巻「あ・・・」
八田島「なのに人間ってば、自分達の都合で僕らのやることなすことひとまとめに「悪」だなんて決めつけて。ほんっとひどいよね」
八田島「まあこんなこと言っても、キミたちは僕の言うことなんて信じてはくれないんだろうけど」
玲奈「・・・」
玲奈(そう。八田島さんの言うことは信用できない)
玲奈(だって八田島さんは、7人の娘を食べて神に討伐されたヤマタノオロチなんだもの)
玲奈(それに私も人が死んでるところを笑いながら見てた怪異を知ってる。あれを見て、怪異が善だと思える訳がない)
玲奈(でも万が一八田島さんの言葉の通りだとしたら・・・)
  ピリリリリ・・・
玲奈「──!!」
玲奈「はい、討伐部の狐守です」
須佐川(電話)「おう狐守。そこ、他に誰がいる?」
玲奈「酒巻くんと八田島さん、茨木さんですけど」
須佐川(電話)「そうか、なら他のやつにも伝えろ」
須佐川(電話)「××町で怪異関連の事件が発生した。犯人は恐らく野狐、推定危険度はAだ」
須佐川(電話)「事態は一刻を争う。転位陣の使用も許可しよう。急ぎ現場に向かい、怪異を「処理」してこい」
玲奈「・・・」

次のエピソード:4.4人での初任務のようです。①

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