ここが俺(私)の蔵杏大学

萩野 須郷

エピソード15〜傷だらけの記憶 鎖に繋がれた10年〜(脚本)

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萩野 須郷

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〇お嬢様学校
レイ「・・・10年前・・・」
レイ「私とセリーナ様とレイは、仲良し3人組でしたわ」
レイ「セリーナ様は王様の孫、リオは王族に仕える一族、私はただの平民でしたけど・・・」
レイ「当時は、身分の差など関係なく、仲良しでしたわ」
レイ「私の魔法は、粘土で作った魔物を操るというものでした。しかし、私は手先が不器用で、魔物を上手く作れませんでしたの」
レイ「不出来な魔物が出来上がるので、恥ずかしくて恥ずかしくて、とても他人に見せたくありませんでしたわ」
レイ「だから私は、自分の魔法が何なのか、仲良しだったセリーナ様とリオにも秘密にしていた・・・」
レイ「そういえば、セリーナ様も自分の魔法について話していませんでしたね。彼女の意図はわかりませんけど」
レイ「・・・そして、運命のあの日。私は一人でデパートに遊びに来ていました」
レイ「途中でセリーナ様とリオに会い、一緒にデパート内を歩き回ることになりました。その矢先でしたわ、デパートの崩壊が起きたのは」
レイ「ミシミシという音・・・降り注ぐ天井・・・。怯える私とセリーナ様に、リオはこう言ったんですの」
レイ「『大丈夫だよ。私のテレポートで、みんな助けてあげるからね』」
レイ「私とセリーナ様は愚かにもその言葉を信じ、そして・・・。私たち2人は、リオにデパート内に置き去りにされたのです」
リオ「・・・違う・・・私は・・・好きで置き去りにした訳じゃ・・・」
レイ「言い訳は聞きたくありませんわ。そして私とセリーナ様は崩壊に巻き込まれ・・・次に目を覚ました時・・・」
レイ「私は、初めて見たのです。セリーナ様の魔法を」
レイ「セリーナ様が、私に向けて手のひらをかざしていたのですわ。そうすると、私の傷がどんどん塞いでいったのです」
リオ「・・・も、もしかして・・・回復魔法・・・!」
レイ「しかし、セリーナ様も重傷を負っていたので、少し魔法を使った後、すぐに気絶してしまいました」
レイ「私も、全身の痛みに耐えきれず、再び目を閉じたのです」
レイ「・・・次、私が目を覚ました時。私は病院にいました」
レイ「私の側には、王様がいましたわ」
レイ「『目を覚ましたか。良かった・・・』と、王様は言いました。どうやら私は助かったようでした」
レイ「私は王様に聞きました。『セリーナ様はどこにいるんですか?』と。すると、王様は・・・」
レイ「俯いて・・・唇を噛みながら・・・言ったのです」
レイ「『目を覚まさないんだ』・・・と」
レイ「『懸命に治療したが、君よりも傷がひどくてね。医者から言われたよ。セリーナは、もうこのまま目を・・・』」
レイ「・・・そしてその後、私は、二度とセリーナ様を見ることはありませんでした」
リオ「・・・そんな・・・」
レイ「しかし・・・生き残った私も、無事では済まなかった・・・」
レイ「初めて自分の全身を包んだ包帯を外した日・・・。私は、怒りと悲しみで泣き叫びましたわ」
レイ「全身痣だらけ・・・顔も・・・まるでお化けのようでしたの」
レイ「そんな私を見て、私の両親は私に愛想をつきました。友達も、親戚も、知り合いも全員、私を忌避し始めたのです」
レイ「「まるで悪魔の子」・・・そう言われ、私は誰からも見捨てられた。・・・そう、王様を除いて、ね」
レイ「王様は、一人ぼっちの私に、言ってくれたんですの」
レイ「『俺がお前の側にいる。セリーナの分まで、生きてくれ』・・・と」
レイ「絶望の淵から、王様が拾い上げてくれた・・・。だから私は、一生この人についていこうと思ったのですわ」
レイ「この仮面も、王様が私にくれたんですの。『それをつけると、魔法使いらしくて良いな』って言ってくれたんですのよ」
レイ「王様は、私にたくさんのものをくれた・・・。だから、私は王様を裏切ることはできませんの」
レイ「そうして、2人でこの国に来ましたのよ。・・・蔵杏大学へ復讐するために、ね」
レイ「・・・そうそう、蔵杏大学魔界同好会について調べていくうちに、リオが自分以外は飛ばせないという事実を知りました」
レイ「何でも、当時は、自分なら他の人も飛ばせるだろうと思いこんでいたとか」
レイ「・・・一度も他人を飛ばしたことなんてなかったくせに」
リオ「・・・・・・!!」
レイ「・・・私が許せないのは、2つ」
レイ「一つは、リオがバルバロッサ一族である自分の力を過信し、中途半端な気持ちで護衛についていたこと」
レイ「王族を守る者が、自分の魔法について深く調べもせずに護衛についてどうするんですの?」
レイ「結果、セリーナ様は死んだ。・・・あなたのせいですわ」
リオ「・・・返す言葉も無いわ・・・。本当・・・当時の私は、大馬鹿者だった・・・!」
レイ「そしてもう一つ。・・・セリーナ様の、余計な優しさが、私は許せないのですわ」
リオ「余計な、優しさ?それは一体、どういう・・・」
レイ「あの子が、私に回復魔法をかけなければ。私は、みんなに見捨てられる悲しみを知らずに、そのまま死ぬことができた!」
レイ「中途半端にかけたせいで!私は!こんな歪んだ顔のまま、無様に生きることになったんですのよ!!」
レイ「・・・医者から言われたのですわ。私の顔は、治せない・・・と」
レイ「セリーナ様が余計なことをしたせいで、私は苦労する羽目になったんですの!」
レイ「魔法をかけるなら、ちゃんとかけてほしかったのに!どうして、こんな・・・」
レイ「こんなことなら、死んだ方がマシでしたわ!!」
リオ「・・・それ・・・本気で言ってるの?」
レイ「本気ですわ。私は生き延びたせいで、両親含め、周りから冷たい扱いを受ける羽目になった!」
レイ「私の唯一の味方である王様に逆らえず、あなたたちへの復讐に付き合わされる羽目になった!」
レイ「私はもう忘れたい・・・10年前のことも・・・全て・・・。忘れて、静かにひっそりと暮らしたかったのに・・・」
レイ「私は王様に助けていただいたお礼として、王様の奴隷になった!これが、「生きてた方が良かった」なんて、言えますの!?」
「・・・やっと・・・」
「やっと本音が出ましたわね・・・。レイさん、と言ったかしら」
シキブ「やはりあなたは・・・。ずっと王様に逆らいたかった。王様のしていることに、加担したくなかった!」
レイ「当然でしょう!?大学の破壊なんて・・・犯罪ですわ!!」
レイ「でも、王様は「やれ」と・・・。やらないと、私が王様から殴られますの・・・」
レイ「私がちょっとでも反発しようとすると、シキブさんを閉じ込めた部屋に私を入れて「おしおき」するんですのよ・・・」
シキブ「・・・・・・!!なんと・・・ひどい・・・」
レイ「だったら、やるしかないじゃない。やって王様から褒められるんだったら、その方が良いに決まってる!!」
レイ「私は奴隷なんだから、何も考えずにただ王様の言う通りにしていれば良いの!今までもずっと、そうしてきたんだから!!」
「奴隷じゃないですよ、レイさん」
上子「奴隷なんて・・・居て良いはずがない!!」
レイ「うるさい!!新入りのくせに・・・。私の苦しみなんて、これっぽっちもわからないくせに!」
上子「そりゃあ、わかりませんよ。俺、奴隷になった経験ないですし」
レイ「・・・ッ!!このッ・・・!!」
上子「でも・・・レイさんが誰かに助けを求めていることはわかります」
レイ「!!・・・何ですって・・・。私が、助けを・・・?」
上子「自分ではどうにもできない。だから、誰かに蜘蛛の糸を垂らしてもらって、自分を救い上げてほしい。そうですよね?」
レイ「・・・こいつッ・・・私のことを、舐めてますの・・・!?」
上子「だって!あなたは自分が置かれた状況に対して、諦めてしまっている!!」
上子「きっと、あの王様のせいで感覚が麻痺してしまったのかもしれないですけど・・・。自分ではこの状況を変えられないと思っている!」
上子「そんなはずはないんです!あなたが蔵杏大学を襲うフリをして、バルバロッサ学長に相談することだってできたはずです!」
上子「事情を話して、自分の身を保護してもらうことだってできた!でも、それをしなかった!!」
上子「俺はてっきり、あなたが自分から嬉々として蔵杏大学に危害を加えていたと思っていましたよ・・・」
上子「一言、「助けて」。・・・それを言ってもらえたら、俺はもっと早く、あなたを救うことができた!」
レイ「!!」
上子「あなたをこんなに追い詰めなくて良かった!俺は許せないんです!あなたにきつい言葉しかかけられない自分に!!」
上子「でも・・・この位言わないと・・・あなたにはわかってもらえないと思ったから・・・」
上子「おそらく、気を悪くされたと思います。俺のこと、嫌いになったと思います。でも、俺はそう思われたとしても・・・」
上子「あなたを王様の呪縛から救いたい。だから、あなたの力を貸してほしい。一緒に王様に・・・立ち向かってほしいんです・・・」
上子「きっと、リオ先輩やセリーナ様のことはまだ恨んでいるとは思います。でも、それよりもまずは・・・」
上子「あの王様を何とかすることが先・・・だと思います」
レイ「・・・・・・・・・・・・」
上子「リオ先輩は、10年前のことをずっと悔やんでいる。でも、そんな自分を変えるために、今、少しずつ変わってきています」
リオ「・・・上田・・・」
上子「自分でもできることを増やそうと努力しています。前を向き始めています。だから・・・レイさん。あなたも・・・」
レイ「・・・・・・本当に・・・お人好しですわよね・・・」
レイ「あなたも、リオも・・・蔵杏大学魔界同好会も・・・。そして・・・、セリーナ様も」
レイ「・・・・・・・・・・・・私、わかっていましたわ」
レイ「あの友達思いのリオが、私たちを見捨てるはずなんてない、って」
レイ「きっと、何か事情があったんじゃないか、って」
レイ「でも、顔の傷を見るたびに、自分が受けてきた仕打ちを思い出して・・・。どうしても、リオとセリーナ様を恨んでしまう・・・」
レイ「あの日・・・あの出来事がなければ・・・私はこんなに苦しまなくて済んだのに・・・と」
レイ「おまけに私は・・・学長に対して、私を絶望から救い上げてくれた「恩」がある・・・」
レイ「だから・・・恩を返さなくてはという思いと、もう学長の言うことは聞きたくないという思いがずっと均衡してて・・・」
レイ「ずっと・・・ずっと・・・自分はどうしたら良いかって・・・。悩んでた・・・苦しんでた・・・」
レイ「その苦しみを口に出せなかった・・・。今更、誰に言えば良いのか・・・わからなかったから・・・」
レイ「誰かに言ったとしても・・・私を受け入れてくれるか・・・不安だったから・・・!」
レイ「私・・・自分のことしか考えてない。ごめん、リオ・・・。あなたのこと、信じきれなくて」
リオ「ううん、レイは悪くない!私が悪いの!!」
リオ「自分がバルバロッサ一族であることを鼻にかけて、軽い気持ちで護衛なんかついちゃって・・・。結局、あなたたちを守れなかった!」
リオ「・・・ずっと・・・ずっと辛い思いさせて・・・ごめんね・・・」
レイ「・・・蔵杏大学のみなさん。あなたたちには、負けましたわ」
レイ「私、王様に歯向かうことにします。あなたたちの味方につくことにしますわ」
レイ「王様は、大学の学長室にいますの。・・・急いで。あなたの魔法の、タイムリミットが来ないうちに」
上子「そ、そうか。夜の12時になると、俺・・・魔法が使えなくなるんだ!」
「・・・行かせないぞ」
魔法使い「ミス・レイ・・・。やはりあなたは、学長の言う通り、出来損ないでしたね」
レイ「が、学長の言う通り、ですって・・・?」
魔法使い「言われたことすらこなせられない失敗作だ、と。これまでも、そう言っていましたよ、あなたのこと」
レイ「・・・・・・ッ!!」
上子「・・・レイさん、ショックを受ける必要はありません」
上子「あの王様の望む通りに行動する方が、愚かなんです。今のあなたなら・・・わかりますよね?」
レイ「・・・そう、ですわね。ありがとうございます、上田さん」
魔法使い「とにかく、ここから先は行かせません」
魔法使い「我々が相手です。あなたたち全員引っ捕えて、恐ろしい目に遭わせてやりますよ・・・」
学長バルバロッコ(・・・上田。わしの影に隠れて、こっそりテレポートするんじゃ)
上子(が、学長。良いんですか?でも、俺もここで戦った方が・・・)
学長バルバロッコ(・・・あの学長との戦いは、精神、体力、時間との戦いじゃ。こんなところで消費されては困る)
学長バルバロッコ(わしがド派手に炎を出す。それに紛れてテレポートしろ。目的地は大学の最上階・・・ここから見て、一番左の角部屋じゃ)
学長バルバロッコ(今こそ、テレポートの使い時じゃ。わしらもこいつらを倒して、すぐに上田の後を追う)
学長バルバロッコ(・・・頼んだぞ、上田)
上子(・・・わかりました。俺、待ってますから。無事にみんなで来てくださいね!)
学長バルバロッコ(・・・ふっ。わしらの心配より、自分の心配をせえ。あの学長は強いぞ)
学長バルバロッコ(・・・では、ゆくぞ)
学長バルバロッコ「しょうがないのう。では全面戦争といこうか。貴様らなど、朝飯前じゃよ」
魔法使い「・・・何だと。このおいぼれじじいが・・・」
学長バルバロッコ「なんじゃ、こんなかわいい女に対しておいぼれ呼ばわりとは」
学長バルバロッコ「・・・許せんのう。そんな奴らは・・・こうじゃ」
上子(・・・よし、今だ。テレポート!!)
魔法使い「ぐああああ〜〜!!このッ・・・三流魔法使いがァァァァァアアアアア!!」
学長バルバロッコ「ハハッ、わしの力はこんなモンじゃないぞ!ほれほれ、どんどん行くぞい!!」
学長バルバロッコ(・・・上田・・・どうか・・・)
学長バルバロッコ(わしらが行くまで、死なないでくれ・・・!!)

次のエピソード:エピソード16〜最後の戦い〜

コメント

  • 本格的なバトル+ヒューマンドラマの展開に胸アツです!レイさんの苦悩が胸を打ちます。そして、上田くんが格好良く見えてしまいます、、、女装してるのにw

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