3.ダッシュで捜査(脚本)
〇高層ビル
功刀絢花「ここが被害者の勤めてた会社か」
吉良誠一郎「そうみたいだね」
功刀絢花「あっ!」
吉良誠一郎「この花・・・」
吉良誠一郎「ってことは・・・ 被害者はここに落ちたのかな?」
功刀絢花「だろうな・・・」
功刀絢花「単なる事故か、それとも自殺か・・・ または・・・」
功刀絢花「とにかく、調べてみるしかねぇな」
吉良誠一郎「調べるって何をだい?」
功刀絢花「現場検証!!」
功刀絢花「どんな事件も現場百遍が解決への近道だ」
吉良誠一郎「絢花ちゃんにしてはマトモだな」
功刀絢花「聞こえてるぞ!!」
吉良誠一郎「・・・」
功刀絢花「面倒な依頼は受けないってだけで 私は優秀な探偵なんだ」
功刀絢花「問題があるのは性格だけだぜ!」
吉良誠一郎(自分で言うことじゃないよ・・・)
功刀絢花「もたもたするなよ 行くぞ!」
吉良誠一郎「へっ、どこへ?」
功刀絢花「現場だよ、現場!!」
吉良誠一郎「ここだろ?」
功刀絢花「ここは、ただの落ちた場所だ 事が起こった場所は?」
吉良誠一郎「あっ、屋上か!」
功刀絢花「そういうこった 分かったなら早く行こうぜ!」
〇大企業のエントランス
功刀絢花「こんにちは!」
受付「いらっしゃいませ」
受付「どちら様でしょうか?」
功刀絢花「あれっ、聞いてませんか?」
受付「ええ、すみませんが・・・」
功刀絢花「連絡が行ってるはずなんだけどな」
受付「すみません お調べするのでお名前を頂戴できますか?」
功刀絢花「吉良誠子です」
吉良誠一郎「偽名!!」
吉良誠一郎「って言うか、ほぼ僕の名前だし!!」
受付「今日は誰と会われる予定ですか?」
功刀絢花「営業課の松村さんです!」
受付「営業の松村ですね」
受付(あれっ、そんな人いたっけ?)
受付(とにかく電話してみないと 営業課の内線番号は・・・)
功刀絢花「今だ!」
吉良誠一郎「へっ?」
功刀絢花「走るぞ!!」
受付「やっぱり、営業に松村なんていません!」
受付「誰なんですか、あなたたち!」
吉良誠一郎「す、すみません!」
吉良誠一郎「怪しい物じゃないんです!!」
受付「こ、こら!!」
受付「待ちなさい!」
〇屋上の入口
功刀絢花「ほ、ほら、あと少しだぞ」
功刀絢花「はぁはぁ・・・」
吉良誠一郎「はぁはぁ・・・」
吉良誠一郎「まさか、屋上まで階段を駆け上がることになるなんて・・・」
吉良誠一郎「ちゃんとアポくらい取っといてよ」
吉良誠一郎「はぁはぁ・・・」
功刀絢花「はぁはぁ・・・」
功刀絢花「仕方ねぇだろ」
功刀絢花「私たちは、片付いた事件を ほじくり返そうとしてるんだ・・・」
功刀絢花「前もって連絡したところで 嫌がられるに決まってる」
吉良誠一郎「そうかもしれないけどさぁ」
吉良誠一郎「これは不法侵入だよね」
吉良誠一郎「捕まったらヤバいんじゃ?」
功刀絢花「足の速さには自信があるぜ!」
功刀絢花「それにさ」
功刀絢花「いざとなったら 依頼者に説明してもらえば大丈夫だろ」
功刀絢花「ふぅ、やっと着いた」
功刀絢花「よいせっ、と!」
功刀絢花「・・・」
〇体育館の屋上
功刀絢花「いやー、見晴らしが良いな!」
吉良誠一郎「それにしても何もない屋上だね」
功刀絢花「えっと・・・ 被害者はこの辺りから落ちたのか」
吉良誠一郎「落ちないように気をつけなよ」
吉良誠一郎「柵もないんだし・・・」
功刀絢花「ああ、わーってるって」
〇未来の都会
功刀絢花「花が供えてあったのは ちょうどこの真下か・・・」
功刀絢花「高さはざっと40mってとこかな」
功刀絢花「落ちたら、間違いなく即死だな・・・」
〇体育館の屋上
功刀絢花「うーん」
吉良誠一郎「何かわかりそうかい?」
功刀絢花「自殺の線がより濃くなったな」
吉良誠一郎「どうしてそう思うの?」
功刀絢花「事故の可能性もあるけどな」
功刀絢花「やっぱり自殺が濃厚だぜ」
吉良誠一郎「・・・」
功刀絢花「普通さ、こんな何もない屋上に 来る用なんてあるか?」
吉良誠一郎「ないね あるとすれば・・・」
功刀絢花「自殺くらいだろ?」
吉良誠一郎「犯人がここに呼び出して突き落としたって可能性は?」
功刀絢花「無くもないけどよ」
功刀絢花「私だったらこんな柵もない屋上で もみ合うなんてゾッとするな」
功刀絢花「下手すりゃ自分も一緒に落ちちまう」
吉良誠一郎「たしかに」
功刀絢花「どこかに隠れておいて背後から 突き落とそうにも」
功刀絢花「身を隠せそうな場所がないだろ?」
吉良誠一郎「そうだね・・・」
功刀絢花「まぁ、今日はこの辺で引き上げるか」
吉良誠一郎「・・・」