第2話『銀二郎の場合①』(脚本)
〇黒背景
大学院に進むことが決まった夏
僕は古代エジプトへ飛んだ
〇古い大学
東京タップ大学──
〇講義室
タカヤ「銀二郎〜〜〜っ」
銀二郎「どうした?」
タカヤ「助けてくれよぉ〜」
タカヤ「就職決まらないんだよぉ〜」
銀二郎「・・・」
銀二郎「・・・そうだな」
銀二郎「わかった 美味いメシでも食いに行こう」
銀二郎「おごってやる」
タカヤ「銀二郎〜〜〜ッ」
銀二郎「図書館に寄ってくるから あとで合流な」
タカヤ「うんッ!」
〇中央図書館(看板無し)
周りの人間が就活に苦しんでいる中
院に進むことを決めた僕は
その夏、かなり暇を持て余していて
だから──
だから
一目惚れなんて愚かなことを
してしまったんだと思う
〇綺麗な図書館
銀二郎(教授の言ってた本って確か・・・)
銀二郎(ここじゃないな、もっと奥・・・)
銀二郎(『歴史』の棚の・・・)
銀二郎「──!」
〇黒背景
カビ臭い本棚が並ぶ中で
彼女だけがきらめいて見えた
〇綺麗な図書館
和葉(かずは)「何か?」
銀二郎「あ・・・いや・・・」
和葉(かずは)「もしかして、この本?」
銀二郎「あ・・・えと・・・」
和葉(かずは)「遠慮しないで」
銀二郎「ど、どうも・・・」
和葉(かずは)「嬉しいな」
銀二郎「え?」
和葉(かずは)「古代エジプトに興味がある人なんて周りにいないから」
和葉(かずは)「読み終わったら感想聞かせて?」
銀二郎「あ・・・はい・・・」
〇整頓された部屋(ハット、靴無し)
銀二郎「・・・『ミイラの作り方』」
銀二郎「『その1、鼻の中から金属の鉤を使って脳を引き出す』・・・」
銀二郎「『その2、体に切れ目を入れて肝臓、肺、胃、腸を』・・・」
銀二郎「・・・・・・」
彼女が渡してくれた本には
古代エジプトのミイラの作り方が書いてあって
軟弱な僕には少々、刺激が強いものだった
銀二郎「・・・き、気分転換が必要だ!」
銀二郎「散歩に行こう!」
〇広い公園
銀二郎「ふぅ・・・」
銀二郎(公園に来るなんて何年ぶりだろう)
銀二郎(童心に帰るのもたまにはいいもんだな)
銀二郎「ん?」
銀二郎「何だこれ・・・砂時計?」
砂場で拾った砂時計を
何気なくひっくり返してみた
すると──
〇黒背景
銀二郎「な、何だよこれ・・・!」
〇神殿の広間
銀二郎「いってェ・・・・・・」
銀二郎「どこだよ、ここ・・・」
落ちた衝撃で痛めた腰をさすりながら
僕は外へ出た
〇王宮の入口
銀二郎「ここは・・・・・・」
銀二郎「まさか・・・」