ズッテン、ズズテン♪

パズズスター

第2話「アイドル誕生祭」(脚本)

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〇幻想
  ロケット弾にやられて死んじまった俺は・・・
  この世界に魂だけ連れてこられて、ある少女と契約することになった

〇英国風の部屋
リキト「俺の魂を勝手にこの世界に運んだのが・・・」

〇英国風の部屋
リキト「このおっさん、ムルヂ」
ムルヂ「リキト様、目が覚めましたか!」
ムルヂ「おはようございます!朝ごはんを召し上がりますか?」
リキト「ムルヂさんおはよう」
リキト「いや、ご飯はいいや、ありがとう」
ムルヂ「具合が悪いので・・・?」
リキト「ううん違うよ、なんか昨日写真で見たあの女の子のことが気になっちゃってね」
リキト「いまからあの子に会えるかい」
ムルヂ「は、はい、もちろんです!すぐに出発しますか?」
リキト「できればそうしたいんだけど」
ムルヂ「かしこまりました!では参りましょう」

〇空
ムルヂ「リキト様、私嬉しいです」
リキト「うん?」
ムルヂ「リキト様がやる気まんまんなので!」
リキト「イヤイヤ、そういう訳じゃなくて・・・」
リキト「なんか夢の中にもあの子が出てきて、早く俺に会いたいとか言うんだよ・・・」
ムルヂ「そうでしたか・・・なにか、運命的なものを強く感じますな!」
リキト「うーん、なんか怖いね、そんなふうに言われると・・・」
ムルヂ「しかし、良いですなぁ~」
リキト「何が?」
ムルヂ「だって天才が異世界にやって来て、歌姫を育てるだなんて」
ムルヂ「まるで有名なマンガやアニメの設定じゃないですか!ワクワクしますな」
リキト「マンガやアニメって・・・」
リキト「この世界には、マンガもテレビもないんでしょ?」
ムルヂ「はい。でもリキト様の世界の文化は、た~っぷりと覗いておりましたので」
ムルヂ「詳しいんですよ、私」
リキト「そうなんだ・・・」
ムルヂ「ささ、もうすぐ着きますぞ」

〇児童養護施設
ムルヂ「着きました。ここです。この施設に彼女がいます。さあ、中に入りましょう」

〇部屋の扉
ムルヂ「おーいお嬢ちゃん、リキト様を連れて来たよ。入ってもいいかい?」
  あ!ムルヂさん・・・いま開けます

〇暖炉のある小屋
少女「お、おはようございます!ご主人様」
リキト「おはよう」
リキト「いや、ご主人様って呼ぶのは勘弁してくれないか・・・」
少女「す、すみません!」
少女「で、では、リキト様・・・ お会いできて光栄です」
リキト「君、本当にいいのかい?」
少女「え?」
リキト「俺との契約さ」
リキト「俺は、この世界の王様にケンカを売ろうとしてる」
リキト「俺と契約するということは、君もそれをするってことだ、わかるかい?」
少女「はい」
リキト「本当に?」
少女「私はこれまで、歌姫たちの歌に救われてきました」
リキト「・・・」
少女「つらいとき、悲しいとき、たくさん・・・」
少女「だから今度は、私が彼女たちのように歌で人を笑顔にしたいんです」
リキト「今度は君が みんなを幸せにする・・・」
少女「そうなりたいです!」
リキト「有名になるってことは、いいことばかりじゃないんだぜ」
少女「覚悟はできています!」
リキト「・・・」
リキト「そうか、わかった」
リキト「じゃあ 一緒にやろう」
少女「は、はい!お願いします!」
リキト「今日は突然来てすまなかったな。また来るよ!これからよろしくな」
少女「は、はい。よろしくお願いします!」

〇西洋の市場
リキト「ムルヂさん、あそこは施設と言っていたけど・・・あの子は親がいないのかい?」
ムルヂ「はい、元々は名家の出なのですが・・・ 色々とあったようで」
リキト「もう長いことあそこで暮らしているの?」
ムルヂ「いえ、施設にやって来たのは最近です。でも、長くは居られないでしょう・・・」
リキト「それはどういうこと?」
ムルヂ「実は、あの施設にいる娘たちは、みな売られます」

〇西洋の街並み
リキト「なんだって!本当かよ?」
ムルヂ「はい。金持ちがあそこで暮らしている娘の姿を自由に覗き、気に入れば買う」
ムルヂ「いわばあの施設そのものが、少女市場のような存在なのです」
リキト「・・・」
ムルヂ「娘が売れれば、その金があの町の支配者のものとなります」
リキト「支配者?」
ムルヂ「そうです!あの町の支配者も、やはりゲームによって今の地位を得ました」
リキト「買われた少女たちは、その後どうなるんだ?」
ムルヂ「優しい夫婦に買われた者は、幸せな人生を・・・でもそんなのは少数ですな」
リキト「・・・」
リキト「買い手がつかなければ・・・?」
ムルヂ「奴隷商に売られます」
ムルヂ「あの町の支配者は、金にならない者にただ飯を食わせることはしません」
リキト「クソが!」
ムルヂ「あのお嬢ちゃんも、もうすぐ奴隷商に売られるところでした」
リキト「そうだったのか・・・」

〇ヨーロッパの街並み
リキト「ムルヂさん、あの町の支配者もゲームでその地位を手に入れたと言ったな」
ムルヂ「はい」
リキト「俺がそいつと勝負することは可能か?」
ムルヂ「はい、もちろん可能ですが・・・まさか!?️」
リキト「よし、王の前にまずそいつだ!」
リキト「ぶっ倒す!」
リキト「早速、楽器店へ連れていってくれ!」
ムルヂ「楽器店・・・でございますか?」
リキト「だってそうだろ?そいつと勝負するには、あの子に曲を作らなくちゃ」
ムルヂ「それは必要ありません」
リキト「へ?必要ない?」
ムルヂ「はい。それぞれが歌姫を育て、その優劣にて勝敗を決すると言っても・・・」
ムルヂ「リキト様が曲を作る必要はありません」
ムルヂ「ではこれから、実際にゲームをやってみせましょう」
ムルヂ「それが一番理解しやすいですから」
ムルヂ「適当な場所へ移動しますよ!」

〇古い競技場
ムルヂ「ここなら良いでしょう! リキト様、よく見ていてください」
ムルヂ「試しのゲーム開放!」
リキト「試しのゲーム?」
ムルヂ「スタート!!!」

〇古い競技場

〇古い競技場

〇古い競技場
リキト「おおー!狐火か!?」

〇古い競技場
リキト「なんだ?星がでてきた!!️」
ムルヂ「リキト様、あのグルグル回っている星を見ていてください!」
ムルヂ「あの星たちが、次から次へと真ん中で燃えている太陽に飛び込んでいきます!」
ムルヂ「見えますね?」
リキト「あ、ああ・・・真ん中で燃えている太陽とその周りをグルグル回る星だろ」
ムルヂ「そうです!回っている星が真ん中の太陽に飛び込んだその瞬間!!!」
ムルヂ「タンッ♪」
ムルヂ「そして次の星もタイミングを逃さずに・・・太陽に飛び込んだ瞬間に」
ムルヂ「トンッ♪と」
リキト「・・・?」
ムルヂ「このように、タンッ、トンッ、タンッ、トトン・・・とですな」
ムルヂ「リキト様、回っている星の中を見てください」
リキト「うん?」
ムルヂ「真ん中に文字が書いてあるでしょう?」
リキト「あっ!ホントだ、“タン”とか“トン”とか文字が見える!!!」
ムルヂ「そう、文字はリキト様が読めるようにカタカナに変換してあります!」
ムルヂ「それぞれの星に書いてあるカタカナを、その星が太陽に入ったタイミングに合わせて」
ムルヂ「このように!」
ムルヂ「タンッ、トンッ、タンッ!!!」
ムルヂ「と、声に出して言うのです!」
リキト「さ、叫ぶのかよ!」

〇空
ムルヂ「まあ、こんな感じですな」
ムルヂ「リキト様の世界にも、リズムゲームってありますでしょう?」
ムルヂ「アレと同じですな!」
ムルヂ「どうです、やり方わかっていただけましたか?」
リキト「え、うんまぁ・・・でもびっくりだよ」
リキト「飛んでくるリズムの玉にタイミングを合わせて太鼓をバチで叩いたり・・・」
リキト「画面を指でタップしたりするんじゃなくて・・・」
リキト「書いてある文字を・・・」
ムルヂ「そう!タイミングを逃さずに言えば良いのです」
リキト「・・・」
ムルヂ「良いですかリキト様。タイミングが早すぎても遅すぎてもいけません!」
ムルヂ「星が真ん中の太陽にちょうど入った瞬間に言わなければダメですよ!」
リキト「う、うん・・・」

〇古い競技場
ムルヂ「ちなみに本番のゲームは、こんなに簡単なリズムではありません」
ムルヂ「真ん中の太陽に飛び込む星たちの動きも、複雑でもっと不規則です!」
ムルヂ「ゲームのレベルは、1から10まであり、数字が増えるほど難しくなります!」
リキト「で、このゲームが一体、アイドルの育成とどんな関係があるんだよ?」
ムルヂ「はい。ゲームをクリアしたプレイヤーには、褒美として王が曲を授けます」
リキト「王が!?」
ムルヂ「そうです!」
ムルヂ「その曲は、プレイヤーと契約した者が歌うことが許されます」
リキト「ああ、なるほど・・・そうか!ということは、俺がゲームをクリアした瞬間に」
ムルヂ「そうです。あの娘のデビューが決まるのです!」
リキト「そういうゲームね・・・」
リキト「で、俺は曲を作らなくていいと・・・」
ムルヂ「はい、ですがリキト様がゲームをクリアすることで、曲が誕生するのです」
ムルヂ「それがなければ、少女は歌うことができません!」
リキト「・・・」
ムルヂ「ちなみにあの町の支配者は、レベル4のゲームをクリアしました」
ムルヂ「その結果、あの町の支配者と契約した少女は一晩でスターとなりました」
リキト「ほえ~、一晩で!?」
ムルヂ「そうです、クリアしたゲームのレベルに合わせて王が曲を作ります」
ムルヂ「レベル4だとかなりの名曲が贈られます」
リキト「ふうん、才能あるんだな、あんたんとこの王様」
リキト「よし、やってやんよ!」
リキト「バンドには曲を作れるやつがいなかったから、俺が作っていただけだしな」
リキト「もともと演奏したり歌う方が好きなんだよ、俺は!」
ムルヂ「ではリキト様、まずは試しのゲームで腕ならしをなさってください」
リキト「いや、いらん!」
ムルヂ「へ?」
リキト「始めるぞムルヂさん!」
ムルヂ「え、もう!?」
ムルヂ「いきなり本番ですか!?」
リキト「うん!はやくやろう」
ムルヂ「は、はい・・・では」
ムルヂ「ちなみに説明しておきますと、ゲームは全体の90パーセントをクリアすれば成功です」
リキト「了解!例えば星が100あったなら、90の星にタイミング合わせられりゃいいんだろ?」
リキト「その場合、10回もミスしていいんかよ・・・ ぬるいな!」
ムルヂ「ではリキト様、レベルはどうしますか?」
リキト「そうだな・・・7だ!」
ムルヂ「えっ、7!いきなり7でございますか?」
リキト「そうだ、あの町の支配者に確実に勝つ!奴はレベル4だったんだろ?」
リキト「なら俺は7だ!」
ムルヂ「レベル7は、これまでクリアしたものは10人しかおりません・・・」
リキト「ふーんそうか、ところで失敗した場合どうなる?」
ムルヂ「はい。リキト様と契約したあの娘は、奴隷商に売られることになります・・・」
ムルヂ「ですが、リキト様はまた新しい少女と契約すれば、何度でもゲームに参加できます」
リキト「まったく、ふざけた世界だぜ・・・許せねえ」
リキト「さあ始めようか、ムルヂさん」
ムルヂ「は、はい、ではリキト様これを!」

〇白

〇空
リキト「お、これ、マイクじゃないか!」
ムルヂ「はい!形だけで音は出ませんが・・・リキト様には、やはりマイクが似合います!」
リキト「いいね、気合いが入るぜ!じゃあいこうか、ムルヂさん!」
ムルヂ「かしこまりました。では」

〇古い競技場
ムルヂ「これよりゲームを始める!」
ムルヂ「我、新参ものなり!」
ムルヂ「すなわちこれ、“アイドル誕生祭”となる」
ムルヂ「我が王よ・・・祭が成功か失敗か見届けよ!」
ムルヂ「レベルは7」
ムルヂ「ではリキト様、いきますよ!」
リキト「おう!」
ムルヂ「スタートオオオッ!!!」

〇古い競技場

〇古い競技場
リキト「げっ!」
リキト「う、うおおおおー!」

〇古い競技場
リキト「星の数がハンパねーーー!!! しかもはえーーー・・・」
リキト「タハハ、こいつはヤベーかもな・・・」

〇白
  次回第3話
  「ポコ」

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