第九話 JKだけど、大切な友だちがいてもいいですか?(脚本)
〇一戸建ての庭先
ライターを持った幸男が、真奈央と対峙している。
二人の足元にはエロ漫画が散らばっている。
花木真奈央「やめて、お父様!」
花木幸男「これはなんだ?」
花木真奈央「その漫画は私が師匠からお借りした、大切な、初版の、編集ミスで修正の薄い」
花木幸男「なぜこんなものを持っているのかと聞いているんだ!」
花木真奈央「・・・・・・」
花木幸男「母さんはいまも意識を失ったままだぞ」
〇豪華なベッドルーム
花木知佳「ああ、ピンク。ピングが迫ってくるわ。うう、やめて、うう・・・」
〇一戸建ての庭先
花木幸男「母さんは、泣きながら私の会社に飛び込んできた。 そして私に会った途端、意識を失った」
花木真奈央「申し訳ありません。全て私の責任ですわ・・・」
花木幸男「謝罪などいらん! 答えろ。お前はこんな低俗なものが好きなのか!」
花木真奈央「わ、私は、えっと・・・」
花木幸男「話にならんな」
花木真奈央「待って、答えます!」
花木真奈央「ええ、そうです。私はエロ漫画が大好きなんです! 読むことだけでなく、描くことも!」
花木幸男「なっ、描くこともだと・・・!」
花木真奈央「この間、雑誌の賞もいただいたの。私のエロ漫画への溢れる情熱が、隠しきれない下心が、プロに認められたのよ!」
花木真奈央「きっと私もプロとして──」
花木幸男「もういい。わかった」
花木真奈央「きゃああ!」
花木幸男「離れなさい、火傷する」
花木真奈央「そんな、ひどい・・・。ひどいわ、お父様!」
泣きじゃくる真奈央を幸男がビンタした。
花木真奈央「あ、痛っ」
花木幸男「目を覚ましなさい。お前は間違ったことをしているんだ」
花木真奈央「そんな・・・」
花木幸男「ゆっくり反省しろ。しばらくは外出禁止だ。学校も行かなくていい」
花木真奈央「うう、ううう・・・」
〇綺麗な一戸建て
ピンポーン!
花木知佳「はい・・・」
一ノ瀬綾「どうも、一ノ瀬綾です。おばさん、お久しぶりです。覚えてますか。昔、何度かお邪魔したことあるんですけど」
花木知佳「綾・・・。ああ、あの品の無い子・・・」
一ノ瀬綾「えっ、何か言いました?」
花木知佳「いえ、別に。それで、何かご用ですか?」
一ノ瀬綾「そうだそうだ。これ、学校で配られたプリント」
一ノ瀬綾「真奈央、風邪って聞きましたけど、大丈夫ですか?」
花木知佳「今は会える状態じゃないの。お引き取りいただけるかしら・・・」
一ノ瀬綾「そうなんだ・・・」
一ノ瀬綾「昨日、会った時も元気なさそうだったし、心配だな」
花木知佳「えっ、昨日、会ったの・・・?」
一ノ瀬綾「はい。公園でいろいろ話したり。懐かしかったな、へへへ」
花木知佳「そう、そうなのね。あの漫画も、あなたの・・・」
一ノ瀬綾「あのー、すみません、さっきからちょっと声が聞き取れなくて」
花木知佳「きええええいっ!」
一ノ瀬綾「えっ、何、何!?」
花木知佳「あんたのせいで、真奈央がおかしくなったのよ!」
一ノ瀬綾「どういうことですか。全然わかんない」
花木知佳「あんな下品な、低俗なものを・・・」
一ノ瀬綾「真奈央は、風邪じゃないんですか?」
花木知佳「あの子は、頭が変になっちゃったの。まともに話も通じない」
一ノ瀬綾「なんで・・・。おばさん、真奈央に会わせてください。あたし、力になりたいんです!」
花木知佳「そういう、余計なお節介があの子を追いつめたってわからないの!」
ドン!
一ノ瀬綾「痛いっ!」
花木知佳「真奈央も迷惑しているの」
一ノ瀬綾「・・・それ、真奈央が言ったんですか?」
花木知佳「・・・そうよ」
一ノ瀬綾「本当に?」
花木知佳「本当よ! 勝手に友達面して、頼んでもいないのにお節介やかれてウザいって!」
一ノ瀬綾「そんな・・・」
花木知佳「二度とあの子に近づかないで!」
一ノ瀬綾「あたしのせいで、真奈央が変に・・・?」
〇綺麗な一人部屋
花木真奈央「エロが欲しい。エロが欲しい。ほんのスプーン一掬いでいい、エロが欲しい」
???「・・・央。真・・・央!」
花木真奈央「誰か呼んでる?」
花木真奈央「庭の方から・・・?」
〇一戸建ての庭先
一ノ瀬綾「あー、真奈央。やっと出てくれた~」
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