この世の女は俺のママ!

危機綺羅

4.無力なママではいられない。その3(脚本)

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〇山の中
クロシカ(酷い臭い・・・ それに降物しかない・・・)
クロシカ(遠目には見たことがあったけど、 これが”スポット”・・・!)
クロシカ(降物は怖い──けど、 使い方さえわかれば、きっと・・・!)
クロシカ(待ってて、みんな・・・リシマ!)
「──できたてのスポットには、 きみのような”荒らし”がいるものだ」
ソウガ「監視していて正解だったな」
クロシカ「・・・荒らし?  えっと、どなたですか?」
ソウガ「自覚がないのか? まったく、手間のかかる・・・」
ソウガ「降物を取りに来たんだろう? ”シェルター”の一員でもないのに」
クロシカ(”シェルター”・・・ 聞いたことがあるような・・・?)
ソウガ「きみのようなのを、 ”スポット荒らし”っていうんだよ」
クロシカ「──あ、思い出した!」
クロシカ「シェルターって、噂に聞く ロリコン集団じゃないですか!」
ソウガ「・・・な、なんてこと言うんだ!? 名誉棄損もいいとこだぞ!」
ソウガ「我々は聖女親衛隊シェルターだ! ロリコン集団なんてものじゃない!」
クロシカ「親のいない子供をさらうと聞きましたよ!」
ソウガ「それは保護しているだけだ! 悪意ある認識はやめてくれないか!?」
クロシカ「・・・そうなんですか?」
ソウガ「孤児の保護は聖女様の望みだ 我々の数ある活動の一環なんだよ」
クロシカ(孤児の保護・・・ 誘拐よりは、確かに納得できる・・・)
クロシカ(聖女様というのは気になるけど、 聞いたほど悪いものじゃないのかも?)
クロシカ「す、すみません そうとは知らず失礼な態度を・・・」
ソウガ「いや、かまわない 僕も少々高圧的だった・・・」
ソウガ「改めて、僕はソウガという きみは?」
クロシカ「クロシカと呼んでください」
クロシカ「それで、その・・・ 私のことを”荒らし”というのは?」
ソウガ「ここがスポットになった時から、 我々は管理を始めている」
ソウガ「そこにきみは、無断で立ち入った さらに恐らく降物を持ち出そうとしている」
ソウガ「これは立派な荒らし行為だよ」

〇山の中
クロシカ「スポットの管理を・・・? 聞いたこともありませんが・・・」
クロシカ「それに、降物は危険なものです! 管理なんて、できるはずが──」
ソウガ「確かに、知らない者が扱えば 降物は甚大な被害をもたらすものだ」
ソウガ「しかし我々は、聖女様から降物の使用法を 日々教授していただいている」
クロシカ「あなたたちは、 降物の使い方がわかるんですか!?」
ソウガ「その通り。正しい知識があれば、 危害はなく、安全に管理することができる」
ソウガ「我々がスポットの管理をするのは、 合理的で自然なことだと思わないかな?」
クロシカ「・・・いや、待ってください 管理ができる理由はわかりました」
クロシカ「けど、その管理というのは、 どこから任されているんですか?」
ソウガ「まだ任されてはいないね」
クロシカ「はい・・・?」
ソウガ「もちろん、いずれは周辺の村や町に 許可を得て、委託してもらうつもりさ」
ソウガ「ここはスポットになって日も浅いから、 まだ交渉が進んでいないけどね」
クロシカ(・・・途端に怪しくなってきた)
クロシカ(けど、言ってることが本当なら、 彼らが管理してくれたほうが・・・)
ソウガ「──まあ、きみの言う通り、 今は自称管理者でしかない」
ソウガ「それでも、いずれ管理する場所を 荒してほしくはないんだ」
ソウガ「今日のところは帰ってくれるかな? また、きみの村へ隊員が交渉に──」
クロシカ「すみませんが、それはできません」
ソウガ「・・・どうしてかな?」
クロシカ「スポットができたからには、 あなたの言う”荒らし”が増えるでしょう」
クロシカ「私の村にも、 降物を持った者が訪れるはずです」
クロシカ「私はそんなろくでなし共から、 村の人々を守らなきゃいけない!」
クロシカ「そのために力が──降物が必要なんです!」
ソウガ「・・・なるほど、事情はわかったよ」
クロシカ「なら・・・!」
ソウガ「ああ、きみの熱意に負けたよ 足元に気を付けて探索するといい」
クロシカ「ありがとうございます!」

〇黒背景
「そういう事情がある者は、 口で言ってもやめないだろうからな」

〇山の中
クロシカ「──え?」

〇山の中
クロシカ「──な、なんですか!?」
部下「申し訳ありません」
ソウガ「かまわん。見つかったばかりの戦降物だ 引火の心配もない。ここで慣れておけ」
ソウガ「だが、可能な限り怯えさせてやるな 脅しではなく、排除が目的だ」
クロシカ「ま、また!?」

〇黒背景
クロシカ「──ハァ、ハァ」
クロシカ(山の陰に隠れれば、 きっと大丈夫・・・!)
クロシカ(でも、このままじゃいずれは・・・)

〇荒廃した街
クロシカ「──お、重いよ! お父さん!」
クロシカ「お父さん? どうしたの?」
クロシカ「ねえ、起きてよ! お母さんは? どこ?」
クロシカ「お母さん! どこなの!? お父さんがケガしてるの!」
クロシカ「誰か、誰か助けて──」

〇黒背景
クロシカ(──違う! 助けなんて呼ばない!)
クロシカ(私はもう無力な子供じゃないんだ! もう二度と、大事な人を失ったりしない!)
クロシカ(そのためなら呪いだって使う! そうしたらきっと、リシマもまた──)

〇山の中
クロシカ「──けほっ、けほっ!」
クロシカ(早く、別のところに・・・)
クロシカ「あっ──」

〇山の中
ソウガ「終わったか?」
部下「はい。恐らくは──」

〇山の中
クロシカ(痛く・・・ない・・・?)
クロシカ「──な、なんで?」
クロシカ「なんで、こんなところにいるんですか?」
「変なこと聞くなよ、ママ」
アルバス「ママが心配だったんだよ」
アルバス「──な? リシマ!?」

〇山の中
ヤラリシマ「──クロシカさん!」
クロシカ「リシマ!? どうしてあなたまで・・・」
ヤラリシマ「心配だからに決まってるだろ!? クロシカさんは──」
ヤラリシマ「クロシカさんは・・・ 俺の母さんなんだから・・・!」
クロシカ「リシマ・・・今、母さんって・・・」
ヤラリシマ「なんだよ、呼んでいいだろ? 母さんなんだから・・・!」
クロシカ「だって私、またそう呼ばれたくて・・・」
クロシカ「私が、頼りないから・・・ 呼ばれないのかもって・・・」
ヤラリシマ「ちげえよ!  いつまでも甘えたくなかったんだ!」
ヤラリシマ「もっと頼ってほしかったから、 大人っぽく呼び方も変えたんだ!」
クロシカ「そっか・・・ そうだったんだ・・・」
クロシカ「ごめんね・・・リシマ・・・!」
クロシカ「危ないっ!」

〇山の中
アルバス「あっちぃいいいい!」
アルバス「──ふぅ、大丈夫か? 二人とも?」
ヤラリシマ「あ、アル兄ちゃん、すげぇ・・・! ピンピンしてる!?」
クロシカ「もしかして、さっきもそうして・・・? ど、どこかケガとかは!?」
アルバス「平気、平気! これぐらいなんてことないぜ!」
クロシカ「・・・」
クロシカ「──アルさん、聞いてくれますか?」
アルバス「どうした、ママ?」
クロシカ「私はリシマたちを守るため── いえ、自分のために懸命になってました」
クロシカ「なんでもすると言いながら、 一人で無茶をしているだけだったんです」
クロシカ「──今までの非礼、後で必ずお詫びします」
クロシカ「私にできることなら、なんだってします」
クロシカ「だから、力を貸してくれませんか?」
アルバス「ママ・・・」
アルバス「非礼とかお詫びとか、 なんのことか分かんねえよ!」
アルバス「力を貸してなんて水臭いぜ! 俺たち親子だろ!?」
クロシカ「アルさん・・・!」
アルバス「それに、頼れる息子は一人じゃないしな」
クロシカ「え?」
アルバス「親孝行の時間だ、リシマ!」
ヤラリシマ「お、俺!?」
アルバス「ママを安全なところに連れてけ! しっかり守ってやれよ!」
ヤラリシマ「アル兄ちゃん・・・!」
ヤラリシマ「──うん、任せて!」
アルバス「そんで俺は──」

〇山の中
部下「隊長・・・」
ソウガ「見ればわかる」
アルバス「あのロリコン共をぶっ倒す!」

次のエピソード:5.無力なママではいられない。その4

コメント

  • いきなりバンとインパクトのあるスチルから入るの斬新ですごく印象に残りました!凄いです!勉強になりました!

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