ここが俺(私)の蔵杏大学

萩野 須郷

エピソード13〜出陣〜(脚本)

ここが俺(私)の蔵杏大学

萩野 須郷

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〇校長室
  〜19:40 蔵杏大学 学長室〜
学長バルバロッサ「・・・ついに夜を迎えたな。ではわしらもそろそろ動き出そう」
学長バルバロッサ「ではまず、聖裁大学への侵入についてだが・・・」
上田「こ、この鳴き声・・・どこかで聞いたことのあるような・・・」
魔物「キュゥゥゥゥゥイ!!」
上田「こ、こいつはまさか・・・聖裁大学の魔法使いが操っている魔物・・・!?」
学長バルバロッサ「な、何なんじゃ急に・・・この魔物は一体何を・・・ん?」
「ワンワン!」
学長バルバロッサ「い・・・犬?」
学長バルバロッサ「この犬はどうやら・・・本物の犬のようじゃが・・・」
学長バルバロッサ「なぜ聖裁大学の魔物が、本物の犬をここに連れてくるんじゃ?」
上田「・・・あ!学長、その犬の口のところ・・・見てください!」
上田「手紙だ・・・。これはきっと、俺たち宛の手紙ですよ!」
学長バルバロッサ「なんと・・・聖裁大学の果たし状かの・・・?」
学長バルバロッサ「・・・・・・・・・・・・!」
上田「が、学長、差出人は誰ですか!やっぱり聖裁大学ですか!?」
学長バルバロッサ「・・・違う。これは・・・」
学長バルバロッサ「シキブからの手紙・・・じゃ」
リオ「・・・!!シキブ先輩、無事なの!?」
学長バルバロッサ「まあ待て、今手紙を読み上げる」
学長バルバロッサ「・・・学長へ・・・」
  学長へ
  私シキブは今、聖裁大学のとある地下室に閉じ込められていますわ。
  とりあえず私は今のところは無事ですわ。あの魔物を操る魔法使いが気を効かせて、私に危害が加わらないようにしてくれてますの。
  まあ、それもいつまで持つかわからないですけど・・・。でも、一応無事なので安心していただきたいですわ。
  さて、申し訳ありませんが、聖裁大学に、上田さんの魔法について洗いざらい話してしまいました。
  手紙と共にそちらへ送り届けたわんちゃんを救うため・・・って、そんなの、言い訳に過ぎませんけど。
  なので、聖裁大学は上田さん対策をしてくるはず。聖裁大学に乗り込む際はどうかお気を付けください。
  しかし、私個人としては、上田さんの魔法には、まだ隠された秘密があると思っていますわ。
  その秘密こそが、聖裁大学に打ち勝つ要素になってくると思いますの。上田さん、自分の魔法を色々試してみてくださいな。
  魔法の力を浴びたらその魔法が使える・・・どうも、それだけじゃない気がしますわ。なんせ、あなたは魔力が強いですからね。
  もしかしたら、元の魔法使いより高いレベルの魔法が出せるようになるかもしれませんわね。あくまで私の予想ですけど。
  さて・・・ここからは、私の推測と、お願いを書くことにしますわ。
  聖裁大学の学長の孫・・・もしかしたら、生きている可能性があります。
リオ「!!」
  彼女が生きていること。それこそが、聖裁大学とのケリをつける重要な鍵になるかもしれません。
  そしてここからは私のお願い。聖裁大学との戦いが終わったら、聖裁大学の魔物を操る魔法使いを、蔵杏大学に編入させたいのです。
  彼女は本当は優しい子です。でも聖裁大学の学長に、身も心も蝕まれてしまっている・・・。私は、彼女を救いたいのです。
  バルバロッサ学長。どうか、彼女の面倒を見てくれませんか?あなたと一緒なら、彼女はきっと幸せになれますわ。
  私のわがままですみませんが、何卒よろしくお願いしますね。
  どうか、今回の戦いで・・・。
  蔵杏大学も、聖裁大学も、笑って過ごせる未来になりますよう・・・。
  よろしくお願いいたしますわ・・・魔界同好会の皆さん。
  シキブ
学長バルバロッサ「・・・以上、じゃ」
学長バルバロッサ「とりあえず、シキブは無事・・・。じゃが、早いところ救出せねばならんな」
学長バルバロッサ「なので、シキブを救出する者、聖裁大学の学長に立ち向かう者の二手に分かれるとしよう」
学長バルバロッサ「きっと聖裁大学の魔法使いがわしらを足止めしてくるじゃろうが・・・。上田の魔法があれば、軽くあしらえるはずじゃ」
学長バルバロッサ「じゃから、本命の元まで真っ直ぐ突き進む。・・・それで良いな?」
上田「・・・わかりました」
学長バルバロッサ「リオ、シキブの救出を頼む。シキブを救出したら、聖裁大学の学長室にシキブと共に来るんじゃ」
学長バルバロッサ「わしと上田は、先に学長室に行って、聖裁大学の学長と対峙する」
リオ「・・・気を付けてね。聖裁大学の学長が使う魔法は、確か・・・」
学長バルバロッサ「・・・そうじゃな。あの力は、何かとやっかいじゃからのう」
上田「聖裁大学の学長の力・・・ですか。一体どんな魔法なんですか?」
学長バルバロッサ「うむ。・・・時を戻す能力じゃ」
上田「・・・え・・・そんな力・・・チートじゃないですか!」
学長バルバロッサ(上田の魔法も中々チートだと思うがのう・・・)
学長バルバロッサ「まあ、時を戻すと言っても、1時間とか1日とかそんな長い時間ではない。せいぜい15秒程度じゃ」
上田「15秒ですか。・・・長いような短いような・・・」
学長バルバロッサ「まあ、攻撃を避けるには十分な時間じゃろうな」
学長バルバロッサ「じゃから、聖裁大学の学長との対決は、精神面でやられないようにするのが大事じゃ」
学長バルバロッサ「攻撃しても攻撃しても時を戻されて、攻撃をなかったことにされてしまうんじゃからの」
学長バルバロッサ「ちなみに、1回時を戻したら15秒のインターバルが必要のようじゃな」
上田「・・・なるほど。戻した時間よりも、さらに前には戻れないんですね」
学長バルバロッサ「そういうことじゃ。そこに勝機があるはずじゃ」
学長バルバロッサ「・・・それに、あの学長ももう年じゃからの」
学長バルバロッサ「永遠に魔法を使い続けることはできない。どこかで隙が生まれるはずじゃ。そこをうまくつけるかが重要じゃな」
上田「・・・わかりました。それまではひたすら耐えれば良いんですね」
学長バルバロッサ「ああ。じゃが、あの学長は魔法だけには頼らず、普通に武器も使ってくる」
学長バルバロッサ「くれぐれも、ナイフや銃には気をつけるように。魔法だけに気を囚われていてはダメじゃぞ」
上田「ま、まじすか・・・何だか自信がなくなってきたな・・・」
上田「誰か、バリアー魔法使える人がいたらコピーしたい・・・」
学長バルバロッサ「そんな都合の良い魔法使いはおらん。さあ、行くぞ。聖裁大学へ」
学長バルバロッサ「各々、戦いに備えた準備があるじゃろう。20分後、蔵杏大学の校門前で落ち合おう」
リオ「・・・わかったわ。私も何か武器になりそうなものを用意してくる」
上田「俺は女装を・・・あ、学長、防弾チョッキとかないですか?」
学長バルバロッサ「ある訳ないじゃろ」
上田「ぐぐぅ・・・」

〇華やかな寮
  〜20:20 蔵杏大学 校門前〜
学長バルバロッコ「・・・リオ、上田。準備は万端かの?」
リオ「ええ、ばっちりよ」
上子「いえ、全然万端ではないです」
学長バルバロッコ「何じゃ上田、急に怖気付きおって」
上子「そりゃあ怖気付きますよ!なんてったって相手は魔法を使う上に、ナイフやら銃やら現代武器も使う相手なんですよ!?」
上子「一方の俺!最近大学生になったばかり!最近魔法を使えるようになったばかり!Oh!経験値の差よ!!」
学長バルバロッコ「そこは貴様のセンスでどうにかしろ」
上子「Oh、学長冷たいyeah・・・」
学長バルバロッコ「下らんことを言うな。はあ、戦い前だと言うのに、緊張感がないのう」
上子「そういう訳じゃないですけど・・・。もう色々切羽詰まっちゃって、気分がハイになってるだけですよ」
上子「・・・でも。前みたいに、油断して敵をみすみす逃すような真似はしませんから」
学長バルバロッコ「・・・!!」
学長バルバロッコ「ふん、若造がかっこつけやがって。まあ、期待しとるぞい」
学長バルバロッコ「それでは出発じゃ。電車で行くぞい」
上子(・・・そこは普通の公共交通機関使うんだ・・・)

〇駅前ロータリー(駅名無し)
  〜20:40 駅前〜
学長バルバロッコ「・・・ここじゃ。この駅から電車に乗って、聖裁大学に行くぞい」
上子「わかりました。・・・しっかし急に雨が降るなんて・・・せっかくばっちりメイクしたのに・・・」
学長バルバロッコ「ふふん。わしはウォータープルーフじゃから問題ないがの」
上子「くそう・・・俺もウォータープルーフにしときゃ良かったなあ・・・」
リオ「・・・はいはい。二人の女子力が高いのはわかったから、さっさと電車に乗るわよ」
学長バルバロッコ「わかったわかった。・・・ん?」
学長バルバロッコ「何じゃ・・・?駅前がやけに騒がしいのう・・・」
上子「・・・あ!学長、あれ!!」
魔物「ウウウウウ・・・」
「キャー!狼だわ、こんな街中に、狼が!!」
「それだけじゃない。ゴリラに、クマまで・・・どうなってんだよ!!」
「怖いよー、ママー!!」
  ・・・ピンポンパンポーン。
  お知らせします、お知らせします。
  ただいま、駅周辺に動物が大量発生しております。
  皆さんは、くれぐれも動物に近寄らないようにしてください。
  なお、動物大量発生により、全線において列車の運行を停止しております。
  繰り返します・・・。
学長バルバロッコ「・・・こ・・・これはまさか・・・」
学長バルバロッコ「聖裁大学め・・・まさかこんな方法でわしらを足止めするとは・・・!」
上子「どうしますか、タクシーでも使いますか!?」
リオ「いえ、それも難しいわね。・・・道路中にも魔物がうようよいて、車の進行を妨げているわ・・・」
学長バルバロッコ「・・・仕方ない。聖裁大学まで歩いて行くぞい」
上子「あ、歩きですか。ちなみに歩くとどのくらいかかるんですか?」
学長バルバロッコ「・・・一時間くらいじゃ」
上子「うげえ・・・」
リオ「おじいちゃん。私だけ先に、テレポートで聖裁大学に行くこともできるけど・・・」
学長バルバロッコ「いや、ここで単独行動するのは危険じゃ。まだ他にも何か仕掛けているかもしれんからな」
学長バルバロッコ「複数人でいた方が、何かと対応できるからのう」
学長バルバロッコ「じゃから、なるべくギリギリまで固まって行動するんじゃ」
リオ「・・・わかったわ」
上子「しっかしこの足止めは・・・完全に俺たち対策していますね」
学長バルバロッコ「ああ、敵ながらお見事・・・としか言いようがないな」
学長バルバロッコ「なるべくわしらが時間をかけて聖裁大学に着くようにしたんじゃな。上田の魔法のタイムリミット狙いか」
学長バルバロッコ「しかもまだ人が出歩いている時間帯じゃから、魔法も思うように使えん・・・この短時間でよくここまで策を練ったもんじゃ」
リオ「相手の方が一枚上手のようね、悔しいけど」
学長バルバロッコ「ああ。じゃが、だからと言ってわしらのやることは何ら変わらん」
学長バルバロッコ「目的地までただひたすら突き進むのみ。・・・行くぞ、二人とも!時間と精神と体力との戦いじゃ!!」
リオ「・・・うん!」
上子「何とか・・・頑張ります!」

次のエピソード:エピソード14〜いざ、聖裁大学へ〜

コメント

  • シリアス展開が続き、ついに突入準備に!
    ……準備って女装ですか、、、この脱力感ww
    学長のウォータープルーフには吹いてしまいました。。。

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