エピソード11(脚本)
〇岩の洞窟
「村長!!!」
〇小さい滝
川の水で顔を洗う山田村長。
山田「はあー、良い朝だ」
佐々木「さわやかに言ってみても駄目です」
山田「・・・締め出されちゃってね。 浮気が、バレました」
佐々木「またですか?」
桃井太郎「また?!」
佐々木「まさか、その度にここへ・・・」
山田「はっはっはっ」
「・・・・・・」
桃井太郎「前回の祭りの時も?」
山田「違うよ、あの時はさー、驚かそうと思って。 だけど中々人が来ないから——」
〇洞窟の入口(看板無し)
ちょこーっとお供えのお酒飲んだら、止まんなくなっちゃってね
〇小さい滝
山田「外が騒がしいなと思って出てったら、桃井君が雪男だー、なんて叫ぶから」
桃井太郎「だからって逃げなくても」
奥谷百合「イエティの隠れ家・・・」
〇田舎の役場
〇役所のオフィス
桃井がパソコンを操作している。
画面に映っているのは龍神村のHPだ。
『緊急告知、龍神様祠祭り開催決定』
桃井、HPに沢山の灯篭が並んでいる写真を貼り付ける。
桃井太郎「おっと、『写真はイメージです』っと・・・」
佐々木「桃井君、大丈夫? なんかイメージ違うーとか言われない?」
桃井太郎「あくまでもイメージですから」
グーと親指を立てる桃井。
桃井太郎「滝の方から中まで灯篭を並べるのは、やってみても良いんではないかとリリーさんが」
佐々木「灯篭の灯りの道かー。 ロマンチックだね」
桃井太郎「これは絵になるんじゃないかと」
佐々木「絵になる?」
桃井太郎「ふぉとじぇにっくです。 SNS映えする風景を作れるかが、来場者を左右するんです」
佐々木「よく分かんないけど、成る程ねー。 ところでリリーさんは?」
桃井太郎「もう一つの、絵になる、写真に撮りたくなる物を作成中です」
〇備品倉庫
ハンカチにマスクをして、汚れた着ぐるみを掃除している百合。
奥谷百合「こんなもんかな」
〇役場の会議室
ホワイトボードに『雪男』『イエティ』『イエティー君』『山田君』『村長』『イエティ村長』『山田イエティ』『イエティ山田君』と書かれている。
百合、その中で『イエティ山田君』にぐるぐると丸をつける。
桃井太郎「そういえば、着ぐるみの中に何で村長が入ってるって分かったんですか?」
奥谷百合「あーあれ。村長とは思わなかったんだけど、誰かは入ってるんだろうなーと」
奥谷百合「まあいいじゃない。さあ、着てみて」
桃井太郎「僕が?」
奥谷百合「はい、覗く! 離れる! 寝転がる!」
次々に指示を出す百合に、桃井があたふたとポーズを取る。
桃井太郎「ちょ、早い、早いですって」
桃井がポーズを取るたびに、百合は写真を撮っていく。
写真を見ながら、桃井と百合が笑い合う。
〇広い畳部屋
桃井太郎「ただいま」
桃井繁蔵「どうじゃ、落ちたか?」
桃井太郎「何が?」
桃井繁蔵「何がってお前、リリーしゃんに決まっとるだろ!」
桃井太郎「・・・だからリリーさんはルミト君のことが好きで——」
桃井繁蔵「関係ないじゃろ。ルミトが好きでも、それ以上に太郎の事を好きになって貰えばいい」
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