リリウム〜罠に嵌まった天使〜

久望 蜜

第五話 登場する保護者(脚本)

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久望 蜜

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〇黒
  現在

〇大きな木のある校舎
ユリナ(ヒクイの学校についてきたけど、悪魔のせいで思ったより大ごとになっちゃったなぁ)
ユリナ(まぁ、わたしとしては悪魔を捕まえられて、ありがたかったけど・・・・・・)
鳶坂「君たち! どこのクラスだ?」
ユリナ「え、え? 誰?」
ヒクイ「教師の鳶坂だ。俺が適当に相手するから、お前は余計なことをいうんじゃねぇぞ」
ユリナ「何よ、余計なことって──」
鳶坂「無事でよかった! 校内に不審者が出たらしいんだ。クラスごとに点呼をとっているから、君たちも早く──」
ヒクイ「んじゃ、どうせ今日は休校だな」
ヒクイ「『安全に気をつけて、皆んなで仲よく帰りましょう』とか性に合わないし、俺たちは先に帰らせてもらう」
ユリナ「ち、ちょっと、ヒクイ! いいの!?」
ヒクイ「お前、クラスもないのに、どうするつもりだよ?」
ユリナ「う・・・・・・」
ヒクイ「先生、それじゃ」
鳶坂「あ! ちょっと・・・・・・」

〇広い和室
ユリナ「本当に帰ってきちゃって、よかったの?」
ヒクイ「うるせぇ。それより、状況の整理だ」
ヒクイ「悪魔はとりあえず五匹程度、捕獲または始末ができたのか」
ユリナ「うん。他の部下たちにも伝えたいし、向こうでも捕獲できたみたいだから、一度落ちあって──」
???「ただいまー」
ユリナ「ん? 誰!?」
ヒクイ「あの声は・・・・・・。おいおい、まだ帰ってくるはずじゃねぇのに・・・・・・」
アサギ「おう、ヒクイ。客か? かわいい子を二人も連れこむなんて、やるじゃねぇか」
ユリナ「そんな、かわいいだなんて・・・・・・」
ヨモギ「先輩、そこじゃないっすよ!」
ヒクイ「アサギさん、そんなんじゃねぇよ。 けど、しばらくこの二人を居候させるから」
アサギ「何だ、ワケありか?」
ヒクイ「そんなとこ。あと、マンションの部屋も勝手に使わせてもらっている」
アサギ「まぁ、かまわねぇけどよ。 本命はきちんと一人に絞れよ?」
ヒクイ「だから、違うって・・・・・・。 それより、アサギさん一人?」
アサギ「あぁ、あいつはまだ帰ってきていねぇ。 俺だけ急な仕事が入って、戻ってきたんだ」
アサギ「ったく、せっかく夫婦水いらずで旅行だったのによ・・・・・・」
ユリナ「あの、ヒクイのご家族の方?」
ヒクイ「俺の保護者だ。ただ、血の繋がりはねぇ」
ユリナ「え? てっきり保護者って、お父さんか何かかと・・・・・・」
ヨモギ「どういう関係っすか? 保護司?」
ヒクイ「何で、俺が犯罪か非行をしている前提なんだよ・・・・・・」
ユリナ「えーと、花崎ユリナです。 いつもヒクイ君にはお世話になっています」
ユリナ「こっちは部下――じゃない、学校の後輩のヨモギです」
ヨモギ「どうもっす!」
アサギ「鳥羽アサギだ、よろしく。 まぁ出張が入ったんで、明日にはまた家を留守にするが・・・・・・」
ヨモギ「忙しいんすね」
ヨモギ「あ、夕飯は昨日ウチがつくったカレーがたっぷり残っているんで、安心してくださいっす!」
アサギ「ほう。そいつは楽しみだな」
アサギ「しっかし、まさかヒクイが友だちを家に連れてくるなんてなぁ」
ヨモギ「そういえば、ヒクイは何で周りからあんなに怯えられているんすか?」
ユリナ(ちょっと、ヨモギ! それ今、保護者に直接、訊くこと!?)
ヨモギ(だって、ずっと興味があったんすよ。 先輩だって、気になっているっすよね?)
ユリナ(それは・・・・・・)

〇繁華な通り
アサギ「あぁ、あれは数年前のことだ」
アサギ「隣り町に俺とヒクイで一緒に出かけていたら、不良に絡まれてな」
不良「おぅおぅ、そこのおやじ!」
不良「オレたち、ちょっと遊ぶ金がなくてさぁ!」
不良「すこーし、貸してもらえない?」
「ぐはっ!」
ヒクイ「うるせぇぞ、てめぇら!」
不良「問答無用で殴ってきやがって! お、お前には人の心がないのか!?」
ヒクイ「人の連れにケンカ売ってきて、それか?」
不良「くそっ! アニキたちに、いいつけてやるからな!」
ヒクイ「んじゃ、そいつらのところに連れていってくれよ」
ヒクイ「グループ全滅させてやるからさ」
アサギ「どうも俺にケンカを売ってきたのが許せなかったらしく、その不良グループを全滅させちまったんだ」

〇広い和室
アサギ「そしたら、その噂が広まってな。 今じゃ、誰もこいつに近寄らなくなっちまったというわけだ」
ヨモギ「へぇー・・・・・・」
アサギ「加えて、こいつは人見知りだからな。 なかなか人を自分の中に踏みこませねぇ」
ヨモギ「あー、わかるっす。 いつも上から目線だし・・・・・・」
アサギ「ちげぇねぇ。まぁ俺としちゃ、もう少し他人と関わってもいいと思っているんだけどな」
ユリナ「アサギさんって、ぶっきらぼうに見えるけど、優しそうな人ね」
ヒクイ「そうか?」
ユリナ「だって、ヒクイの口調って、アサギさんの影響でしょ? 彼を慕っているのね」
ヒクイ「なっ・・・・・・! そんなことねぇよ!!」
ヒクイ「それより、他の天使に会ってくるんだろ!? 俺は家にいるから、早く行ってこい!」
ヨモギ「照れているっすね!」
ユリナ「ふふ、じゃあ行ってくるね」
ヒクイ「ったく・・・・・・」
アサギ「彼女たちには、どこまで話したんだ?」
ヒクイ「何も。だから、余計なことはいわないでくれ」
アサギ「わかっているさ。 お前の秘密は、黙っておいてやるよ」

次のエピソード:第六話 勝負する天使

コメント

  • アニキルートが急浮上!?

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