エピソード8(脚本)
〇古いアパート
小走駿太郎「おい、あれ。お前の母ちゃんだよな?」
武井早希「・・・うん」
小走駿太郎「あそこでずっと待ってたのか?」
武井早希「あの人ならありえるわ。 変わった人だから・・・」
小走駿太郎「ほんとに一人で大丈夫か?」
武井早希「・・・うん」
〇古いアパート
吉永麻衣「お婆ちゃんのお葬式以来ね。 よく来てくれたわ」
武井早希「・・・・・・」
吉永麻衣「お腹減ってない? 一緒にご飯でもどうかしら?」
武井早希「減ってない」
吉永麻衣「じゃあ、お茶にしましょう」
吉永麻衣「ほら、いらっしゃい」
武井早希「喉乾いてない」
吉永麻衣「そう。なら、ずっとここで立ち話?」
武井早希「・・・・・・」
吉永麻衣「どうするの?」
武井早希「・・・・・・」
「ちょっとたんま!」
小走駿太郎「全然感動の再会じゃないじゃん」
小走駿太郎「イメージと違うなー」
吉永麻衣「あなた誰?」
小走駿太郎「ども!」
小走駿太郎「大掃除から赤子の世話まで、便利屋パシリーの小走駿太郎っす!」
吉永麻衣「そう」
小走駿太郎「え? それだけ?」
小走駿太郎「早希が母ちゃんに会いたいっていうから、はるばる東京から連れてきてやったんですよ?」
吉永麻衣「あら、ありがとう」
武井早希「会いたいなんて言ってない!」
小走駿太郎「ここは素直に合わせろよ」
吉永麻衣「私は会いたかったわよ」
武井早希「嘘よ」
吉永麻衣「嘘じゃないわよ」
武井早希「いいえ、嘘よ」
麻衣を睨みつける早希。
小走駿太郎「あのさ。久しぶりなんだからもっと」
武井早希「黙ってて」
小走駿太郎「・・・・・・」
武井早希「私、あなたのこと許してないから」
吉永麻衣「なんのこと?」
武井早希「とぼけないでよ」
武井早希「あなたが父と私を捨てたことよ」
吉永麻衣「捨ててないわよ」
吉永麻衣「早希がついてこなかったんじゃない」
武井早希「だって、転校したくなかったんだもん」
小走駿太郎「え? そんな理由?」
吉永麻衣「そうなのよ」
吉永麻衣「この子、同じクラスに好きな男の子がいて、その子と離れたくないからって」
吉永麻衣「確か、畠山君だったっけ?」
武井早希「名前まで言わなくていいでしょ!」
武井早希「それに、それだけじゃない。 こんな田舎に行くのが嫌だったの」
小走駿太郎「理由、ちっちゃ!」
小走を睨みつける早希。
吉永麻衣「今からでもいいのよ。 ちょっと狭い家だけどなかなかいい暮らしよ」
武井早希「ばっかみたい。家だってあんなにボロいところで」
吉永麻衣「あら、私は今とっても幸せよ」
原田大悟「早希ちゃん。久しぶりだね」
武井早希「気安く呼ばないで」
原田大悟「・・・・・・」
原田由美「初めまして」
武井早希「・・・・・・」
吉永麻衣「由美よ。会うのは初めてよね」
吉永麻衣「莉子よ」
武井早希「・・・・・・」
小走駿太郎「おばちゃん、頑張ったねー」
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