マジョクル

胡林

エピソード2 「開宴」(脚本)

マジョクル

胡林

今すぐ読む

マジョクル
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇黒
  夜の帳が下りたら
  それが合図だ

〇広い公園
紫苑「はぁ・・・はぁ・・・!! 私・・・やっつけちゃった・・・」
???「・・・」

〇黒
  『酒池肉林』
  僕らはそう呼んでる
  魔女同士の狩り合う様を
  狂乱の宴に例えてさ

〇広い公園
???「おい」
紫苑「えっ!?」

〇殺風景な部屋
  1日前
トリガー博士「魔女を辞めたい・・・?」
魔女「はい・・・」
トリガー博士「ウケるね〜 キミ笑わせにくるタイプだっけ? 意外だよ〜」
魔女「お願いします!! 私・・・もうこれ以上戦いたくないんです・・・」
魔女「怖いのも、痛いのも・・・ もう・・・」
トリガー博士「ふふ・・・」
トリガー博士「あははは!!」
トリガー博士「あーーー。 キミさ、なんか勘違いしてない?」
トリガー博士「僕の一存で決められるわけないじゃないか〜」
魔女「!?」
トリガー博士「いやいや、 知ってるだろー?」

〇銀座
  神格者特区(ノーマンズランド)
  この街はそう呼ばれている

〇渋谷のスクランブル交差点
  キミたちみたいな魔女のために、
  わざわざ拵えた舞台なんだよ?
  何が不満なのさ?

〇殺風景な部屋
魔女「それが・・・!! それが嫌だって言ってるんです!!」
魔女「私はギフトなんて欲しくなかった!! こんな能力なんて・・・」
魔女「そのせいで、こんなところに連れてこられて・・・ 戦わされて・・・」
魔女「もうたくさんなんです!! 私を・・・」
トリガー博士「なるほど〜」
トリガー博士「つまりあれでしょ? 逃げ出したいってことだよね? いいと思うよー」
魔女「えっ!?」
トリガー博士「持ってるでしょ、これ。 打てばそれでオッケーだよ〜 キミの願い叶っちゃう〜」
魔女「なっ!?」
魔女「それじゃあ・・・ 私に死ねってことじゃないですか!?」
トリガー博士「あっはは!! 死にはしないよ〜」
トリガー博士「ただ自我が消えて・・・」

〇黒
  化け物になるだけだ

〇殺風景な部屋
トリガー博士「化け物・・・ 僕のカラダも同じ細胞でできてる訳だし、 自虐っぽい表現だなぁ」
トリガー博士「まあいっか、僕だって化け物だ。 あははは!!」
魔女「それじゃあ私・・・ どうすれば・・・」
トリガー博士「どうすればって」
トリガー博士「自分で決めなよ」
トリガー博士「言ったろ? この街は・・・」

〇荒廃したセンター街
  神格者特区(ノーマンズランド)
  キミたち神格者(ギフテッド)の・・・
  魔女たちの舞台だ
  互いの全戦力をもって
トリガー博士「狩り合うためのね」

〇殺風景な部屋
トリガー博士「だからさ」
トリガー博士「キミに言えることは一つだけだ」
魔女「・・・」
トリガー博士「自分の価値は自分で決めろ」
トリガー博士「他人に値踏みさせるなよ」
トリガー博士「生きる価値も死ぬ価値も、 見出すには覚悟がいるさ」
トリガー博士「けれど、 願わくば・・・」

〇黒
  キミに与えられたギフトが
  呪いではなく
  祝福だったのだと
  そう思える日がくることを

〇駅のホーム
アナウンス「3番線、電車が参ります。 ご注意ください」
魔女「私もいつか、このギフトが・・・」
魔女「っ!?」
魔女「キャハハッ バーカ」

〇黒
「人が飛び込んだぞ!!」

〇駅のホーム
紫苑「ッ!!」

〇黒
  僕は願っているよ
  だから
  目一杯生きてごらんよ

〇広い公園
???「お前さ、わかってるよな?」
???「酒池肉林の真っ最中なんだよ今は」
???「そんな時に、一般人に能力使ってどうすんだよ。 アホなのか?」
紫苑「しゅちにくりん? あの・・・何を・・・」
???「ただ動きは良かった。 いいコードだ。 けど・・・」
???「もしもギフトの能力使ってたら・・・ あのおっさんら死んでるぞ?」
紫苑「ギフト・・・? コード・・・?」
???「・・・?」
???「まあいいや。 とりあえず、お前のコード見せてみな」
紫苑「いや、あの。 さっきから何を言ってるのか・・・」
???「いいから見せろって!」
紫苑「ッ!?」
???「ひゃっ!?」
???「あっぶねぇな!! 変な声出ちまったじゃねえか!!」
紫苑「ち、ちがっ・・・ カラダが勝手に動いて・・・」
???「・・・・・・ちっ」
???「しゃーねえな」
???「ちったあ痛くても我慢しろよ?」

〇黒

〇広い公園
紫苑「ぐっ・・・!!」
???「ふぅ」
???「また無駄なモノを蹴ってしまった」
???「なんてね」
???「・・・さて、 それじゃコードを拝見しましょうかね」
???「・・・・・・」
???「!!」
???「アマクギ・・・ 甘釘・・・!!」
???「まさか・・・ この子・・・・・・」

〇荒れた倉庫
  1年前
???「ごめん・・・っ!!」
化け物「ウア・・・アァ・・・」
化け物「アアァ──!!」
化け物「シ・・・シ、オ・・・シオン・・・」
???「・・・」
???「!?」
???「・・・・・・」

〇黒
  甘釘一紫

〇荒れた倉庫
???「アマクギ・・・ 甘釘一紫(あまくぎ かずし)」
???「写真か・・・」

〇黒
  紫苑、10歳の誕生日

〇荒れた倉庫
???「この子・・・ この人の娘・・・?」
???「・・・・・・ッ」
???「・・・あぁ・・・・・・」
???「こんなの・・・間違ってる・・・」
???「『フリム』・・・ お前は間違ってるよ・・・!」
???「正しいわけがないだろうッ!! こんなことが・・・!!」
???「あたしは・・・ あたしは・・・ッ!!」

〇広い公園
???「・・・」
???「・・・」

〇教会の中
???「・・・・・・」
  くもりさーんッ!!
トリガー博士「ごめーんっ 待った?」
トリガー博士「って、一度言ってみたかったんだよね〜」
くもり「はいはい。 待った待った」
トリガー博士「いやー、嬉しいなぁ!! キミに会えるなんて〜。 随分久しぶりじゃないかー」
くもり「そりゃ嬉しいだろうよ。 あたしみたいな美少女に呼び出し食らうってのは、男の夢だもんな?」
トリガー博士「美少女? 見当たらんなぁ(キョロキョロ)」
くもり「あ?」
トリガー博士「(殺されるッ!!) 間違いなく美少女です!! 540度、どこから見ても美少女ですー!!」
くもり「一周半するほど魅力的ってことかよ」
トリガー博士「へぇ・・・ そ、そうすね・・・」
トリガー博士「しかし、嬉しいのは本心だよ。 最強格の魔女である、『くもり』が会いに来てくれるなんてさ」
くもり「何が最強だよ、くだらねえ」
トリガー博士「しょうがないだろー。 『くもり』と『フリム』 と言えば、最強のふたり・・・」
くもり「黙れッ!!」

〇黒

〇荒廃した教会
トリガー博士「ひぃや〜。 綺麗な教会だったのに・・・」
くもり「アイツの名前を出すんじゃねえ・・・」
トリガー博士「・・・ふぅん。 なるほどねぇ」
くもり「・・・」
トリガー博士「それで、僕に話ってのは? 恋のお悩み相談かな〜?」
くもり「茶化すな。 この子のことだよ」
紫苑「・・・・・・」
トリガー博士「ありゃ。 甘釘さんじゃないかー。 早くも狩られちゃったんだねぇ」
くもり「ちょっとシメただけだよ」
トリガー博士「(こ、殺したんじゃ・・・?)」
くもり「コードの負荷で体力の消耗がヤバイ。 怪我もしてるから、治療してほしい。 金は惜しまないよ」
くもり「それと・・・ 目を覚ましたら、あたしに連絡してくれ」
トリガー博士「んー? いいけど、どうするの? じっくりヤるの?」
くもり「ヤらねぇよ!! 何考えてんだ、このトリ頭!!」
くもり「とりあえず預かるんだよ。 この子、ほっとくとすぐ死ぬやつだわ」
トリガー博士「へぇ・・・ 贖罪のためかい? 案外しおらしいところあるんだね」
くもり「ッ! ・・・お前、知ってんのか!?」
トリガー博士「ふふ・・・ いいよ。楽しそうだ」
トリガー博士「僕から伝えておくよ。 お父さんがどんな目に遭ったのかを・・・さ」
くもり「お前ッ!!」
トリガー博士「甘釘さんにだって戦う理由が必要だろ? でも安心していいよ」
くもり「!?」
トリガー博士「全ては伝えないさ。キミのことも。 真実はキミの口から、いずれね。 ふふ・・・」
くもり「・・・・・・。 逃げんじゃねえってことかよ」
トリガー博士「さすがだね。 キミも舞台に戻る時なんだよ。 『あの子』が待つ舞台にさ」
くもり「・・・」
トリガー博士「(ふふ・・・楽しくなりそうだ)」

〇銀座
フリム「くもり・・・」
フリム「待っててね」
フリム「もうすぐだよ。 もうすぐ・・・」
フリム「全部、ぜーんぶ。 ぐっちゃぐちゃにしてあげるから」
フリム「そうしたら」
フリム「今度こそ・・・ ずっと一緒にいようね」
フリム「二人きり・・・永遠に・・・」

〇黒
  甘釘紫苑さま
  ようこそ
  『マジョクル』へ
  マジョクルは、
  モバイルアプリケーションを介して提供されるオンライン決闘サービスです。
  ノーマンズランドにおける魔女同士のマッチングをサポートいたします
  気になる魔女を見つけたら、勇気を出してメッセージを送ってみましょう。
  ※階級によってメッセージがブロックされる可能性あり
  正々堂々、二人きりの決闘を楽しむもよし
  共闘するもよし。
  仇討ち、騙し討ち、返り討ち。
  本能の赴くままに楽しみましょう
  交戦規定はただ一つ
  『生き残れ』
  以上です
  それでは、
  凄絶な酒池肉林をご堪能ください。

成分キーワード

ページTOPへ