3枠 キラキラ映画みたいな恋愛がしたい!!(脚本)
〇映画館の入場口
都内のシネコン──
足立絵里奈「映画面白かった~」
橋本真由「クライマックスの告白シーン、胸がキュンキュンしたね~」
中西あかね「あんな映画みたいな恋愛してみたいな~」
中西あかね「ねえねえ、みんなクラスの男子の中では誰がタイプ?」
中西あかね「私は衛藤君かな?」
中西あかね「イケメンで、背が高くて」
中西あかね「モデルの仕事もしているんだよ」
橋本真由「あかね、イケメン好きだもんね(笑)」
橋本真由「私は佐々木君かな」
橋本真由「スポーツマンでバレー部のキャプテンで・・・」
橋本真由「クラス一秀才の緑川君もいいな♪」
橋本真由「ねえ、絵里奈は?」
中西あかね「誰がタイプなのか、言ってよ~」
足立絵里奈「いや・・・ 突然そんなこと言われても・・・」
足立絵里奈「恋愛方面は疎くて・・・」
橋本真由「三浦君とかは?」
足立絵里奈「三浦君はただの幼馴染だよ」
中西あかね「本当に好きな人いないの?」
中西あかね「このままだと彼氏も作らないまま高校卒業しちゃうよ・・・」
足立絵里奈「私のことは放っておいてよ!!」
橋本真由「そういえば、絵里奈、前髪伸びたよね?」
足立絵里奈「うん。今度の日曜切りに行こうかな」
中西あかね「いっそのこと、イメチェンしてみれば??」
中西あかね「髪を染めてみれば?」
橋本真由「ダメダメ!」
橋本真由「絵里奈はソバージュが似合うと思うよ!!」
中西あかね「金髪だって!!」
橋本真由「ソバージュだって!!」
中西あかね「ねえ、絵里奈はどっちにするの?」
足立絵里奈「ええ~ どっちと言われても・・・」
〇女の子の一人部屋
その夜──
足立絵里奈「髪型どうしようかなあ・・・」
足立絵里奈「そうだ!?」
〇公園のベンチ
鵜久森源蔵「で・・・」
鵜久森源蔵「そんなつまらない理由でワシを呼んだのか?」
足立絵里奈「つまらないとは何よ。 人が真剣に悩んでるのよ」
鵜久森源蔵「わかった。 予想してやるよ」
足立絵里奈「本当? ありがとう!!」
足立絵里奈「可愛いねってみんなから言われるく らいの!!」
足立絵里奈「それから・・・・・・」
鵜久森源蔵「それから?」
足立絵里奈「キラキラ映画みたいに男の子が私に言い寄って来てほしい・・・」
鵜久森源蔵「ほいよ」
鵜久森源蔵「こう見えてもワシ、普段は政財界の大物と取引してるんじゃぞ・・・」
鵜久森源蔵「何、やっているんだワシ・・・」
足立絵里奈「本命は?」
鵜久森源蔵「⑧のモヒカン」
足立絵里奈「モ、モヒカン!?」
鵜久森源蔵「嘘だよ!!」
足立絵里奈「真面目にやってよ」
鵜久森源蔵「本命は①黒髪ロングだ」
足立絵里奈「それじゃ、イメチェンにならないわね・・・」
足立絵里奈「大穴は?」
絵里奈、源蔵に100円手渡す。
鵜久森源蔵「まいどあり!!」
鵜久森源蔵「じゃあな」
〇美容院
日曜日──
美容師「今日は髪型どうなさいますか?」
足立絵里奈「えーっと・・・」
〇ラーメン屋
その夜──
〇ラーメン屋のカウンター
安藤加奈子「どうしちゃったの? 突然・・・」
足立絵里奈「いやあ・・・ ちょっとイメチェンしたくて・・・」
足立絵里奈「どうですか?」
安藤加奈子「凄く似合っているわよ」
足立絵里奈「本当ですか? よかったです」
須藤浩太郎「おばちゃん、いつもの」
足立絵里奈「須藤さん、いらっしゃいませ」
須藤浩太郎「あれ? 絵里奈ちゃん、髪を切ったんだ!?」
足立絵里奈「どうですかね?」
須藤浩太郎「凄くいい!!」
足立絵里奈「本当ですか!?」
須藤浩太郎「絵里奈ちゃんに似合っているよ」
須藤浩太郎「あっ、そうだ」
須藤浩太郎「絵里奈ちゃん、バンドやっているんだっけ?」
須藤浩太郎「今度さ、曲を聴かせてよ」
足立絵里奈「やったー!!」
足立絵里奈(やったー!)
足立絵里奈(憧れの須藤さんに私の曲を聴いてもらえる♪)
〇学校の校舎
翌日──
〇教室
足立絵里奈「須藤さんに『凄くいい!!』って言われたんだよ!!」
橋本真由「そのセリフ3回は聞いたから・・・」
橋本真由「でも、意外。絵里奈がこんなにボブが似合うんだなんて・・・」
橋本真由「私が男だったら放っておかないなあ・・・」
足立絵里奈「またまた、そんな事言ってくれるのは真由だけだよ」
足立絵里奈「いっそのこと真由が男だったらいいのに・・・」
衛藤漣「足立さん!!」
足立絵里奈「衛藤君、何?」
衛藤漣「ちょっと来てくれないか?」
〇階段の踊り場
足立絵里奈「どうしたの? こんなところに呼び出して・・・」
衛藤漣「足立さんって、彼氏いるの?」
足立絵里奈「いや、いないけど・・・」
衛藤漣「じゃあ、俺と付き合わない?」
足立絵里奈「へっ?」
衛藤漣「好きなんだ・・・。足立さんのことが・・・」
足立絵里奈「そ、そんなこと突然言われても・・・」
衛藤漣「俺じゃ、ダメかな?」
衛藤、絵里奈に壁ドン
足立絵里奈「だ、ダメじゃないけど・・・」
足立絵里奈(こ、これが噂の壁ドン・・・)
足立絵里奈(ダメだ・・・。突然のことでパニクッている・・・)
〇まっすぐの廊下
橋本真由「えー、何で即答しないの?」
橋本真由「つきあっちゃえばいいじゃん」
足立絵里奈「でも、衛藤君じゃ私と釣り合うかなって考えたら不安になってきて・・・」
橋本真由「何、躊躇しているの? 人生最大のチャンスだよ!!」
橋本真由「これ逃がしちゃうと、もう二度とないかもよ。あんなイケメンと付き合えるなんて」
足立絵里奈「もう、他人事だと思って!!」
佐々木佑太「よう、足立」
足立絵里奈「何? 佐々木君・・・」
佐々木佑太「ちょっと、体育館の裏に来てくれないか?」
〇体育館裏
足立絵里奈「何ですか?」
佐々木佑太「俺、ずっと前から足立のことが好きだったんだ・・・」
足立絵里奈「へっ!?」
佐々木佑太「俺と付き合ってほしい」
足立絵里奈「ええええええええええっ!?」
〇学校の昇降口
橋本真由「んで、答えを引き延ばしたの?」
足立絵里奈「だって、突然告白されても・・・」
橋本真由「で、どっちにするの?」
足立絵里奈「ちょっと、プレッシャーかけないでよ・・・」
橋本真由「いや、かける。どっち?」
足立絵里奈「う~ん・・・」
緑川要「足立君」
足立絵里奈「緑川君? どうしたの??」
緑川要「これ読んでくれないか?」
足立絵里奈「これは・・・」
緑川要「読んだら返事を聞かせてよ・・・」
緑川要「いつまでも待っているから・・・」
橋本真由「これってまさか・・・」
足立絵里奈「いや、あるわけないって!! そんなこと3度も・・・」
足立絵里奈「『拝啓、足立絵里奈様。初めて手紙を出させていただきます。』」
足立絵里奈「『あなたのことを考えると、胸が苦しくなり、とても夜寝付けられません・・・』」
足立絵里奈「これって、やっぱり・・・」
橋本真由「ラブレターだよねえ・・・」
〇団地
足立絵里奈「今日は疲れちゃったなあ・・・」
三浦慎太郎「絵里奈ちゃん」
足立絵里奈「あれ? 三浦君? どうしたの?」
三浦慎太郎「ずっと前から君に伝えたいことがあるんだ・・・」
足立絵里奈「何?」
三浦慎太郎「絵里奈ちゃんは僕のことどう思っている??」
足立絵里奈「『どう?』って・・・ ただの幼馴染だけど・・・」
三浦慎太郎「僕は・・・ ずっと前から、絵里奈ちゃんのことが・・・」
足立絵里奈「ダメ!」
足立絵里奈「それ以上言わないで!!」
足立絵里奈「これ以上私をパニくらせないで!!」
三浦慎太郎「え、絵里奈ちゃん!!」
三浦慎太郎「僕、まだ告白し終わってないよ・・・」
急にモテモテになった絵里奈
どうする?
どうなる??
可哀想な三浦君…せめて言わせてあげてよw