入れ替わり作品を作ろう

げしょこ

入れ替わりを書こう!(脚本)

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げしょこ

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〇幻想空間
  ・・・・・・ますか・・・
  ──聞こえてますか?
きよし「・・・ここは?」
きよし「それに、誰なんだ・・・ 俺に話しかけてくるのは・・・」
  入れ替わり小説を作りなさい
きよし「はぁ?」
  入れ替わり小説を、
  あなたの手で作るのです
きよし「なんで俺がそんなものを作らないといけないんだよ!」
  ──「入れ替わり」はこの世界で、
  流行り始めています。
  入れ替わりを作るということは、
  このビッグウェーブに乗れるということなのです。
きよし「やだよ! それになんで「入れ替わり」なんだよ! 意味わかんねーし!」
  入れ替わりはすばらしい。
  例えば男女が入れ替わることで、
  お互いに新たな発見をし、
  お互いのことを理解したり、
  相手の身体を動かすことで自分の欲求を満たしたりすることができます。
きよし「・・・」
  それに同性同士の入れ替わりも素晴らしいモノです。
  男女入れ替わりと異なり、性別の差による描写がないものの、それがかえって個体差や立場などが目立ちやすい作品に──
きよし「知るかよ! 俺には関係ねぇ!」
  ・・・
きよし「何が入れ替わりだ! たかがフィクションの一種じゃねぇか!」
きよし「それに、なんで俺が書くんだよ! 俺、入れ替わった事なんかねーし、書けるわけないだろ!」
  ──なるほど確かに執筆には
  経験が必要ですね
きよし「だろ? だから俺は書かな・・・」
  ならば経験を積んでもらうまで!
  さぁ目覚めなさい、
  ──新しい朝が始まりますよ!!
きよし「はぁ? ちょっと待て・・・!! それはどういう・・・」
「うわあああああああああ!!」

〇黒

〇可愛い部屋
「んん・・・」
「ひどい夢だった・・・」
のどか「ん・・・?」
のどか「あ??????」
のどか「うわあああああああああああああ!!!」
のどか「鏡、鏡・・・!! ってここ俺の部屋じゃねぇ!」
「・・・」
のどか「夢なのか、これは。 そうだ、そうに違いない」
  むに!
のどか「いてェ!!!」
のどか「く・・・これはまごうことなき 本物の女子のカラダ・・・」
のどか「しかも・・・クラスの女子と 入れ替わるなんて・・・」
のどか「・・・」
  むにむにむにむに!
  むにゅるむにゅる!
  むにょむにょるむにょにょにょにょーん!
のどか「なかなか悪くない」

〇おしゃれなリビングダイニング
のどかの母「おはよう」
のどか(知らない母親だ・・・!!)
のどか「お、おはよう」
のどかの母「早く朝ごはん食べて、 学校に行く支度しなさいよね」
のどか「は、はーい」
のどか(できるだけ会話は控えめにしよう。 下手に怪しまれるのはよくないだろうし)
のどか「・・・」
のどか(朝ご飯が食卓に並んでいる。 これを食べれば良さそうだ)
のどか「よいしょっと」
のどか(人の家で朝食をとることなんて滅多になかったないから新鮮だな)
のどか(用意されているのは卵焼きにソーセージ、 そしてバタートースト。 一般的な家庭のラインナップだ)
のどか「いただきまーす」
のどかの母「──え?」
のどか「え?」
のどか「な、なんですか? 何かまずかったですか?」
のどかの母「いや、いただきますってアンタ普段言わないから・・・」
のどか「あっ」
のどかの母「うーん・・・それになんか敬語っぽいし」
のどか「ご、ごめん、なんでも、ない、 大丈夫、だから」
のどかの母「そう・・・何かあったら相談しなよ あなたはうちの大事な娘なんだから」
のどか「・・・はい」
のどか((ぬおお・・・ そんな娘さんの身体を汚して申し訳ない))
のどか(自分の娘の中身が他人とすり替わっていたら嫌だろうなぁ・・・)
のどか(娘が婚約者を家に連れてきた父親の気持ちが何となくわかるぜ・・・)
のどか「・・・」
のどか「とりあえず食うか」
のどか「・・・(ぱくっ)」
のどか(知らない味のはずなのに この舌が、母親の味だって覚えている)
のどか(そりゃこの身体はずっとこの味で育ってきたから慣れているんだろうな)
のどか「普通にうまい」
のどかの母「「普通に」って何よ」
のどか「お、おいしい!よ!!」
のどかの母「そう」
のどか(口は禍の元だ・・・ さっさと食べてこの場から離れよう)

〇可愛い部屋
のどか「井上のどか、脱衣!いっきまーす!」
のどか「うふ、えふ、うふふ・・・」
のどか「ふぅーん・・・」
のどか「こうなってるんだー」
のどか「あは♡」
のどか「・・・で、夢の中の声は 「入れ替わり」って言ってたな」
のどか「つまり、俺の身体には・・・ コイツ、「井上のどか」が入ってることになる」
のどか「まぁいいか、学校に行こう」

〇通学路
のどか「うわーっ、スカートってマジで スース―すんだな」
のどか「変態になった気分で落ち着かないぜ」
えみ「のどかちゃん!おはよう!」
のどか(こいつはクラスメイトの・・・ 園田えみ!)
のどか「おはよう、えーと・・・ えみちゃん!」
えみ「──え? いつも「エイミール」って呼ぶのに・・・」
のどか(また間違えたー!!)
のどか(ってかエイミールってなんだよ! ・・・アレなのか?)
のどか「ごめんごめん、ちょっと記憶が曖昧でさ」
えみ「えぇーっ!! もしかして私のこと忘れちゃったの!?」
のどか「忘れるわけないじゃない! 私たち友達でしょ!」
えみ「え・・・」
のどか「え?」
えみ「うれしい・・・ のどかちゃんに・・・ 友達なんて言ってもらったの初めて・・・」
えみ「う、うう・・・」
えみ「嬉しすぎて涙が・・・」
のどか「泣く程かぁー!?」
のどか「ね、ねぇ、私たち、 今まで友達じゃなかったの?」
えみ「友達になるには千年早いって言われてたから・・・」
えみ「「私とあなたじゃ釣り合わない」って言われて、それから──」
のどか「なんてやつだ・・・」
えみ「の、のどかちゃん!? なんで自分の頬を殴って・・・!?」
のどか「罰を与えねばならぬ」
えみ「・・・?」
のどか「この女には罰が必要だと思った次第」
えみ「やめて!のどかちゃん! のどかちゃんが死んじゃう!」
のどか「・・・」
のどか「今から非礼を詫びるビデオレターを撮ろう」
えみ「そ、そこまでしなくていいって!」
のどか「「私、井上のどかは──」
えみ「いらない!いらない! 普通に友達になってくれただけで すごくうれしいから!」
のどか「なんていい子なんだ・・・」
えみ「とにかく、一緒に学校いこっ!」
のどか「うん!」

〇教室
きよし「おい、お前」
のどか「・・・俺がいる」
きよし「ちょっと来い」
のどか「えみちゃん、ちょっと行ってくるね」
えみ「うん!」

〇まっすぐの廊下
きよし「なんで私たち入れ替わってんのよ!!」
のどか「知らねーよ! 朝起きたらこうなってたんだよ!」
きよし「男子になるなんか嫌なんですけど! それに、なんでよりによってアンタみたいなガキっぽい奴と・・・!!」
のどか「うっせぇよ! 俺だって嫌に決まってんだろ!!」
「・・・」
のどか「・・・仕方ない、 戻るまでお互いのふりをしてやり過ごそう」
きよし「・・・ふん、そうね。 せいぜい変なことだけはしないでよね」
のどか「それはお互い様だ」
きよし「あと、園田えみと仲良くするの やめてくれない?」
のどか「はぁ? なんでだよ!」
きよし「私、あの子苦手だから。 無理なのよね、あぁいうタイプ。 うざいっていうか・・・」
のどか「あいつはお前と仲良くしたかったそうだ。 それも泣く程だ」
きよし「うざいのよ。一人じゃ何もできないから 色んな女子に取り入ろうとするあの態度」
きよし「気に入らない、気に入らないわ」
のどか「・・・」
きよし「女子はみんなあいつを相手にしていない。 あいつを相手にしたら私まであいつと同じになるかもしれない」
のどか「・・・どういうこと?」
きよし「私まで女子からはぶられる危険があるってこと。男子にはわからないかな? お願いだからあいつに関わるのはやめて」
のどか「・・・」
のどか(こうなってくると、黒幕が井上のどかとは言い切れないな。 女子全体が悪い習慣を作り上げている気がする)
きよし「お願いだから余計なことはしないでよね」
のどか「・・・」

〇教室
かえで「のどかー! 一限目体育だし、着替え行こ―!」
のどか「いいぜー・・・ じゃない、わかったワー!」
「・・・」
のどか(やはりのどかの言っていた通り。 園田えみを避ける空気があるようだ)
のどか(女子って怖いな・・・)

〇更衣室
「ちょ、なにすんのよ!」
「いいじゃん、減るもんじゃないし!」
「男子だったら通報してるからね!」
「・・・」
のどか「女子っていいなぁ」
えみ「・・・あの、私の体操服知りませんか」
かえで「私、知らない」
ゆかり「私も知らなーい」
はるか「誰~? エーミールの体操服隠したの」
「いつものことよね」
「あはっ、かわいそー」
のどか「・・・」
のどか(えみちゃんを助けてあげたい気持ちもあるが、下手に出るとのどかまで被害を食らってしまうかもしれない)
のどか(悔しいが俺には、何も、できない)
えみ「・・・」
かえで「昨日のテレビ見たー?」
ゆかり「見たー!面白かったよね!」
のどか「すまない」

〇田舎の学校
えみ「・・・」

〇教室
のどか「体育疲れたぁ・・・」
のどか「女子のカラダだからか、 体の動かし方が違ってやりにくかったな」
のどか「だがいいもんは見れたぜ・・・」
きよし「体育の時、何もしてないでしょうね?」
のどか「別に何もしてないよ」
のどか(変なことは何一つしていない。 違和感を全身で感じていただけだからな)
きよし「園田えみと喋った?」
のどか「喋ったらダメなんだろ。 言いつけ通りにしたよ」
きよし「ならいいの。 今日一日その調子で乗り切ろうね」
のどか「お、おう・・・」
のどか(隙を見てトイレに行くか・・・)

〇女子トイレ
のどか「うおおおおおおおおおお!! 女子トイレだ!」
「んふ・・・・・・」
「・・・ふぅ」
「座ってやるとは聞いていたけど なるほどな・・・ここから出るのか」
「・・・へへ」
のどか「入れ替わりっていいな!」

〇教室
えみ「のどかちゃん・・・!!」
のどか「・・・」
えみ「ねぇ、のどかちゃん、今日はお昼を一緒に食べ・・・」
「・・・」
えみ「ごめんね、やっぱ大丈夫・・・」
のどか「・・・」
高野先生「お前ら授業を始めるぞー 席につけ―」
高野先生「じゃあ教科書30ページを──」
のどか(・・・なんだか眠くなってきた)
のどか(ちょっとだけ・・・)

〇幻想空間
  ──どうでしたか、入れ替わりは
きよし「もう終わりかよ!?」
  まだ物足りなかったですか?
きよし「そりゃまぁ・・・ 女の身体でもっとやりたいことは あったけど・・・」
きよし「さすがにずっと女の世界で生きていける気はしないな。 怖かったし!」
  そう、それも相互理解の一つ。
  異性の見えないところまでもが見えてしまうのが男女入れ替わりなのです。
きよし「そうだな」
  入れ替わりは恐ろしいモノです。
  相手の立場を丸ごと手に入れることだってできるのですから。
  もし今回、あなたがエーミールと呼ばれていた娘と入れ替わっていたら、また違った結果になっていたでしょう。
きよし「むしろその方が、俺も加害者の立場にならなくてすんでよかったかもしれない」
きよし「俺はあんな女同士のドロドロした同調圧力なんかに加担したくなかった」
  ふふ、良い刺激になったようで
  私も嬉しいです。
きよし「あのままほっとけるわけがない! 俺は元に戻ったら・・・あいつを助けるぞ!」
  ふふ・・・
  では起きるといいでしょう。
  あなたが起きた時、
  何かが変わっているかもしれませんね
きよし「なっ・・・!?」
  ふふふ・・・・・・

〇教室
きよし「俺の身体・・・! 元に戻ったんだ!」
高野先生「──次に、 教科書34ページを開けてください」
きよし「女子とは関係のない、俺ならば、 あの状況を変えられるかもしれない」
えみ「ちょっと!これどういうことよ!」
のどか「・・・」
きよし「なんだ?様子がおかしいな」
えみ「ちょっと来て!」
きよし「ちょっと後をつけるか・・・」

〇高い屋上
えみ「これ、どういうことよ!! あなた、エーミールね?」
きよし(まさか、 今度はあの二人が入れ替わったのか!?)
のどか「そうです。 どうやら私とのどかちゃんの身体が入れ替わってしまったようですね」
えみ「嫌よこんなの! 私の身体を早く返しなさいよ!」
のどか「そんなこと言われても・・・ 私も突然こうなったので、どうやって戻れるのかもわかりませんし」
のどか「でも、お友達になってくれたのどかちゃんと入れ替われてよかったです♪」
えみ「はぁ?! 私はアンタと友達になった 覚えなんかないわよ!」
のどか「そうですか・・・じゃあ今朝のあなたは あなたじゃなかったと」
えみ「・・・」
のどか「なら、あなたと私は 友達じゃ、ないですよね」
えみ「え、えぇ!そうよ! アンタと友達になった覚えなんかない!」
のどか「わかりました。 友達なら、助けなきゃとは思いますが、 友達じゃないなら助けなくていいですよね」
  エーミールさん。
えみ「は、はぁ・・・? エーミールはアンタでしょ!」
のどか「どこからどう見てもあなたがエーミールこと「園田えみ」で、私が「井上のどか」じゃないですか」
えみ「あ、アンタねぇ・・・ いい加減にしないと・・・」
のどか「皆さんは・・・、 私の言葉とあなたの言葉、 どっちを信じますかねぇ」
えみ「う・・・」
のどか「じゃあ、さよならエーミールさん。 私は教室に戻って皆さんとお弁当を食べてきます♡」
えみ「待って!!」
えみ「あ、あぁ・・・」
えみ「そんな・・・ わたしの身体が・・・」
「いや、いやああああああああ!!!」
きよし(自業自得と言うべきなのか・・・ いやしかし・・・)
きよし「そうか・・・ 入れ替わると身体だけでなく立場まで変わるもんな・・・」
きよし「場合によっては人生そのものを奪われる危険性もあるわけか・・・ 今まで積み上げてきたものとは一体・・・」
えみ「アンタ!見てたんでしょ!」
えみ「みんなに何とか言って! アレは私じゃないって! 私たちが入れ替わってるって伝えて!」
きよし「これは女子同士の問題だし・・・ 俺が関わるべき問題じゃない気もする」
えみ「なによそれ! お願い!助けて!!」
きよし「俺も元に戻れたし、 君もいつかは元に戻れるんじゃない?」
えみ「一生このままだったらどうするの!? 責任取ってくれるの!?」
きよし「そ、それは・・・」
えみ「お願い”だがら”・・・ たすげて・・・!!」
きよし「・・・」

〇教室
ゆかり「エーミールに何言われたの?」
かえで「あれでしょ、体操服盗んだのはのどかなんじゃないかって疑われてたんじゃない?」
のどか「あは、そんな感じ―!」
ゆかり「ほんと、エーミールってないよね。 のどかは何もしてないのに疑うなんてさー!」
かえで「最低よねー」
えみ「・・・」
かえで「あら、エーミールちゃん。 よく教室に戻ってこれたね」
ゆかり「のどかのせいにするなんてひっどーい!」
えみ「違うの! 私はエーミールじゃない! エーミールはそこに座ってるそいつ!」
かえで「はぁ?アンタ何言ってんの?」
ゆかり「とうとうイカれちゃった?」
えみ「私とそいつの身体が入れ替わってるの! お願い!信じて!!」
えみ「ゆかりのお姉ちゃんの名前は「みどり」、かえでの弟の名前は「まさき」でしょ! これはエーミールは知らないはず!」
えみ「だから信じて! 私が本物の「井上のどか」なの!」
「・・・」
「で?」
かえで「どうやって調べたか知らないけど、そんなこと言って私たちが騙されるとでも?」
ゆかり「入れ替わりとかありえないし、絶対にないんだわ」
えみ「・・・うぅ」
えみ「うぅううううううううう」
きよし「おい、お前ら、いい加減にしろよ」
ゆかり「はぁ? アンタには関係ないでしょ」
きよし「俺は今朝、井上のどかと入れ替わっていた。 お前らの着替えも全部見た」
ゆかり「はぁ?意味わかんないし変態なんだけど。 アンタまでその女の肩を持つわけ?」
かえで「ないわー」
のどか「入れ替わりなんかあるわけないじゃない 私は入れ替わってないんだから」
ゆかり「だよねー」
きよし「お前ら、俺は本気だぞ。 友達だったら入れ替わってることにいい加減気づけよ!」
かえで「そうやって私たちの関係壊そうとするの やめてくんない?」
ゆかり「その女に何言われたか知らないけど、 関わらない方がいいよ」
のどか「あなたには関係ないじゃん」
きよし「お前ら・・・!!」
えみ「もういい・・・」
きよし「でも・・・」
えみ「明日朝起きたら戻ってるかもしれないから」
えみ「もういいよ・・・」
きよし「・・・わかった」
ゆかり「変な奴ら」

〇通学路
きよし「・・・」
えみ「・・・つけが回ってきたのかもね」
きよし「お前、もしずっとこのままだったら どうするんだ」
えみ「どうもしないわよ。 名前と経歴は変わるかもしれないけど、 私は私の人生を行く」
きよし「・・・そうか」
きよし「元に戻れるといいな」
えみ「・・・うん」
きよし(そうか・・・入れ替わりは こうなることもあるわけだ)
きよし(普通の人は入れ替わりを信じない。 だから実際に入れ替わっても、嘘だというだけだ)
きよし「──なら、俺が筆を執り、入れ替わりがどういったことを引き起こすのかを作品として残していかなければ」
きよし「少しでも多くの人に入れ替わりのことを知ってもらうために・・・」

〇黒
  それ以来、
  俺はあの夢を見ることはなかった。
  のどかとえみの身体は
  結局現在に至るまで元に戻らず、
  のどかの肉体はえみに奪われたままだ。
  それ以降、俺は人々に入れ替わりを知ってもらおうと、入れ替わり作品を作り続けた。
  瞬く間に入れ替わり作品は人気になり、俺は作家デビューを果たすことになった。
  ──今の俺は、幸せ者だ。

〇明るいリビング
きよし「あれからもう10年か・・・」
えみ「そうね・・・ あれが私たちが 関わり始めたきっかけだものね」
きよし「俺と君が入れ替わって・・・、 それから色々あったけど」
きよし「こうして君と一緒に暮らしている今が奇跡みたいだよ」
えみ「そうね・・・私もまさか、あなたみたいな人を好きになるなんか思ってもいなかった」
きよし「・・・その身体はもう慣れたかい?」
えみ「何年やってると思ってるのよ。 もう、園田えみ歴10年なんだから」
きよし「ははっ、そうだな。 のどか」
えみ「・・・その名前で今も読んでくれるのはあなただけ。 あなただけが本当の私を知ってくれている」
えみ「あなたがいてくれて本当によかった」
きよし「あいつと入れ替わったこと、後悔してるか?」
えみ「いいえ。 今はとっても幸せなんだもの」
きよし「そうか・・・なら、いいのかな」

〇幻想空間
  お久しぶりですね
きよし「な、なんだいきなり!? ってここって・・・」
えみ「ここってまさか・・・ 入れ替わる前に来たことがある」
  井上のどかさん、
  いえ、今は「園田えみ」さんでしたか
  元の身体に戻りたくはないですか?
えみ「・・・」
えみ「元の身体に未練がないわけじゃない。 本当なら、元の身体でこの人との子供を作りたかった」
えみ「でも、この十年間で私が積み上げてきた時間も、かけがえのないもの。 私は、今のままでも全然かまわないわ」
きよし「い、いいのか?」
えみ「えぇ。だってこの顔じゃなきゃ、 あれ以降作った友達とは、 友達じゃなくなってしまうもの」
  わかりました。
  ではそのままにしておきましょう。
  ──それと、きよし。
きよし「はい」
  あなたは、この10年間、たくさんの入れ替わり作品を世に送り出してくれました。
きよし「あぁ、そうだな。 最初はなんとなく俺がやらなきゃいけない気がしてたからやっていたけど」
きよし「次第に楽しくなってきたのは事実だ。 こちらこそ礼を言うぜ」
  ではその功績をたたえ、あなたが好きな人と身体を入れ替えて差し上げましょう
「!?」
きよし「おい待てっ、それって・・・」
「!?!?」
  ──それでは目を覚ましなさい
えみ「おい待て、──っておい、コラ──!」

〇明るいリビング
「うわああああああああああああああ!!!」
えみ「ま、また女になっちまった・・・!!」
きよし「う・・・こんなことって・・・」
えみ「だけど、好きな人と入れ替わるって、なんかよくね?」
えみ「お互いのこと、全部知れるし・・・ のどかが今までどういう風に感じていたのかもわかるしさ」
きよし「・・・久々、この身体」
えみ「せっかくだし、お互いこの身体で・・・」
えみ「楽しもうぜ!」
  おわり。

コメント

  • 最後いらないような気が

  • 初コメントです❣️
    令和版
    「俺がアイツでアイツが俺で」
    でしたね❣️
    ラストは‥

    これで良かったんですかねw😅

  • 入れ替わるとたくさん見えることがありましたね。読みながら、私だったら誰と入れ替わってみたいだろうと考えてワクワクしました。最後の展開はふたりだからこそのハッピーエンドでよかったです。

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