第十八話「春斗の狙い」(脚本)
〇地下室
地下室に閉じ込められた俺の元に
やってきたのは、柊と春斗だった。
柊ノボル「さっさと向かえよ。戦いが終わっちまう」
城井奏太「柊・・・お前、セナの命令で 俺をここに閉じ込めたんだろ?」
柊ノボル「ああ。だから素直に従った。 ・・・でもお前をここから出すな っていう命令は受けてねえ」
柊はイタズラそうに舌を出した。
柊ノボル「ほんとのこと言うとな、俺はお前のほうが 第一部隊の連中より強いと思ってんだよ。 奴らよりセナさんの役に立つって」
城井奏太「柊・・・」
高島春斗「奏太。道案内は僕がする。行こう」
〇荒廃した国会議事堂
かつて国会議事堂と呼ばれた場所は、
異様な雰囲気に包まれていた。
まるで何十年も経過したかのように、
建物は朽ち果て、辺りには瓦礫の残骸が
山のように重なっていた。
臆せず先へと進んでいく春斗を
呼び止める。
高島春斗「どうした? 怖気づいたのかい?」
城井奏太「・・・なあ、 なぜ急に俺にこんなに協力してくれる?」
高島春斗「・・・協力、じゃない」
城井奏太「?」
高島春斗「僕は彩音を殺したアイツらに復讐を してやるんだ。君の力を利用してな」
城井奏太「春斗・・・」
高島春斗「行くぞ。敵は目の前だ」
〇荒廃した国会議事堂の広間
中に入ると、
天井の高い広間に辿り着いた。
そこは激しい戦闘の爪痕が残っていた。
たくさんの兵士が倒れ、
あちこちから異臭が漂っている。
兵士の一人が俺たちに気づいて
唸り声を上げた。
城井奏太「おい! 大丈夫か!?」
兵士「・・・逃げ・・・ろ」
城井奏太「?」
兵士「作戦は・・・失敗だ。勝ち目はない・・・」
城井奏太「!? セナは・・・!? セナはどこに行った?」
兵士「奥に・・・向かったが・・・ あいつが・・・」
城井奏太「あいつ?」
そう言うと兵士は目を閉じた。
春斗がその手を取る。
高島春斗「大丈夫・・・気を失ってるだけだ。 先に進もう」
城井奏太「でも・・・この人本当に大丈夫なのか?」
高島春斗「大丈夫だって。 俺、これでも神の手って言われてんだぞ。 医療班のエリート兵士だからな」
春斗は笑いながら、兵士を抱きかかえると
ゆっくりと隅に置いた。
その瞬間――
突然兵士の身体が四方に弾け飛んだ!
高島春斗「ぐわぁぁぁ!!!」
城井奏太「春斗―――!?」
高島春斗「目がぁ! 目が・・・!!!」
春斗の右目からは
大量の血が流れ落ちてくる。
城井奏太「春斗、お前目が──」
高島春斗「ぼ、僕のことはいい、周りを見ろ!」
辺りには、人間の血に交じり
緑の粘液が飛び散っていた。
城井奏太「こ、これは・・・! デフィジョンの!」
爆発を合図に、
四方から無数のアビオが集まってきた。
城井奏太「これは・・・罠か! に、人間を・・・囮にしやがった!」
高島春斗「それだけじゃ・・・ない。 あのアビオたちを見ろ・・・!」
同じ兵士服を着た十数体のアビオを見て、
背筋が凍る。
城井奏太「まさか・・・まさか・・・!」
高島春斗「・・・全員、後方支援組だった連中だ」
高い唸り声が辺りに響く。
アビオたちは怯えるようにして後ろに
下がると、奥へ続く暗闇を見つめた。
すると、そこからかつて見たことがない
ほど巨大なデフィジョンが姿を現した。
城井奏太「な、なんてデカさだ・・・! 軽く5mは超えてる!」
高島春斗「上級のさらに上・・・ 最上級のデフィジョンだ!」
デフィジョンは慌てることなく、
獲物である俺たちとの距離を縮めてくる。
後方にはアビオたちが並び、
逃げ場所はどこにもなかった。
城井奏太「くそっ・・・! いったいどうしたらいいんだ!」
高島春斗「・・・僕がなんとかする」
城井奏太「春斗?」
春斗が上着のボタンを開けると、
身体中に無数の爆弾が仕掛けられていた。
城井奏太「お前・・・!」
高島春斗「最初からこうするつもりだったんだ。 残念ながら俺の力ではあいつらは 殺せないからな」
城井奏太「死ぬ気なのか!?」
高島春斗「君のために道は作る。 爆発に巻き込まれないように気を付けろ」
城井奏太「バカなことはやめろ!」
高島春斗「二人で死ぬよりはマシだろ?」
城井奏太「頼む! やめてくれ!」
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どうして…そんな…💦
しかも、最後に現れた人の正体が気になる💦