第六話 不思議なゾンビ(脚本)
〇古い倉庫
松岡力「誰かー!助けてくれー!」
ビー「うぅ・・・」
高橋美奈「はぁはぁ」
松岡力「美奈!」
高橋美奈「力君に手を出すな!」
松岡力「美奈、ありがとう!」
高橋美奈「早くいこ!」
ビー「痛ってぇ・・・」
ゾン「大丈夫か?」
ビー「ゾン・・・」
ビー「お前、見てたのか?」
ゾン「うん」
〇汚い一人部屋
ゾン「大丈夫?」
ビー「あぁ、まぁなんとか・・・」
ビー「それよりもさ・・・」
ビー「どっから見てた?」
ゾン「・・・あの子が助けたところ」
ビー「そうか・・・」
ゾン「やっぱ、あの子には彼が必要なんだよ」
ビー「・・・ごめんな」
ゾン「なんで謝るの。もういいよ」
〇古い倉庫
犬「くぅぅぅん〜」
高橋美奈「どうしたの?お腹がすいてるの?」
犬「くぅぅぅん〜」
高橋美奈「何か食べものは・・・」
高橋美奈「ちょっと待っててね」
ゾン「はぁ〜」
犬「くぅぅぅん〜」
ゾン「ん?」
犬「くぅぅぅん〜」
ゾン「犬か・・・」
ゾン「腹減ってるのか?」
ゾン「って、通じないか」
犬「くぅぅん」
ゾン「ん?あれ」
ゾン「さっき、落としたやつか」
ゾン「なんか入れるものあるかな?」
高橋美奈「あ!」
ゾン「お!いい感じのお皿があるじゃん」
ゾン「ほれ、牛乳だぞ!」
犬「わんわんわん!」
ゾン「美味いか?」
犬「わんわんわん!」
ゾン「そうかー!それはよかった!」
犬「わんわん!」
高橋美奈「あ、あのゾンビは」
〇古い倉庫
高橋美奈「は!ゾンビ!」
ゾン「あ、うぅぅぅ」
〇古い倉庫
高橋美奈「たしか、お花持ってた・・・」
犬「わんわんわん!」
ゾン「ハハハ!」
犬「わんわんわん!」
高橋美奈「どういうこと?」
〇散らかった職員室
松岡力「痛ぇな」
高木重美「情けないね!」
松岡力「くそ!あのクソゾンビ野郎が」
高木重美「大丈夫なのかぃ?」
松岡力「これが大丈夫に見えるか?」
高木重美「だからってどうするのよ?」
松岡力「やってやるよ!」
高木重美「でも相手はゾンビなのよ」
松岡力「心配すんな」
松岡力「こいつをお見舞いしてやるよ」
高木重美「け、拳銃!?」
〇コンビニの店内
ゾン「これとこれと」
ゾン「これもいけそう」
ビー「どうしたの?それ?」
ゾン「うん、ちょっとね」
ゾン「これでよし!っと」
ビー「袋にどんどん入れてるけど」
ゾン「これもまだ食えるかな?」
ビー「なんだ?お菓子とか缶詰とかソーセージとか」
ゾン「ペットボトルも結構あるじゃん」
ビー「いったいこれ、どうすんの?」
〇古い倉庫
「わんわんわん!」
ゾン「おー!いたいた!」
ゾン「ほれ、今日はソーセージがあったぞー」
犬「わんわんわん!」
ゾン「カワイイな、お前」
ビー「なるほどな」
犬「わんわんわんー」
ゾン「まだまだあるからな!」
ビー「なぁ?」
ゾン「ん?どうした?」
ビー「犬には俺らのこと、どう見えてんのかな?」
松岡力「いたいた、あのクソゾンビが!」
松岡力「やってやるよ!」
ゾン「さぁ?普通の人に見えてるのかな?」
ビー「うん」
ゾン「俺さ、やっぱこんな争い、やりたくない・・・」
犬「!?」
犬「わんわんわん!!!」
ビー「ん?どうした?」
松岡力「くそ!見つかったか!」
松岡力「知ってんだぞ!お前らの弱点が頭だってこと!」
ゾン「うぅぅぅー」
松岡力「くそが!死にやがれ!」
松岡力「くそ!頭だ!頭だ!」
ゾン「うぅぅぅー」
松岡力「くそ!くそ!」
犬「うーー!わんわんわん!」
松岡力「だいたいお前のせいだぞ!このくそ犬が!」
犬「キャイン!」
ゾン「う!?」
ゾン「うぅぅぅー!うぅぅぅー!」
松岡力「おい!来んじゃねぇ!来んじゃねぇ!」
松岡力「くそ!来るな!来るなって!」
ゾン「うぅぅぅぅー!」
「力君!力君!」
ゾン「あ!・・・」
松岡力「美奈!こっちだ!助けてくれ!」
ゾン「うぅ・・・」
高橋美奈「力君!?大丈夫!?」
松岡力「あ、あぁ。なんとかな。死ぬかと思ったよ」
松岡力「あいつらは?」
高橋美奈「いなくなったわ」
松岡力「そうか」
高橋美奈「とにかく無事でよかった!」
高橋美奈「・・・ん?」
犬「キュウウン〜」
高橋美奈「大丈夫!?すぐに手当てしないと!」
松岡力「・・・あ、あぁそうだな」
〇汚い一人部屋
ビー「大丈夫か?」
ゾン「え?」
ゾン「・・・うん」
ビー「そっか」
ゾン「あのさ?」
ビー「なに?」
ゾン「犬も食うものすらない世の中なんだな」
ビー「だな・・・」
ゾン「なんか、俺がやってることって」
ビー「いいことじゃない、そんなことわかってるよ」
ビー「でも、仕方ないんだ」
ゾン「そうだけど・・・」
〇コンビニの店内
ゾン「ここはまだあるかな?」
ビー「もう無駄だって ここ襲ったのかなり前だよ」
ビー「食べられるものなんて」
ゾン「これもダメか」
ビー「この野菜なんかもう腐ってるよ」
ゾン「でも、なんかあるだろ」
ビー「・・・」
〇古いアパート
高橋美奈「ごめんね、この牛乳ちょっと期限切れてるんだけど・・・」
犬「わんわんわん!」
高橋美奈「元気になってよかった!」
松岡力「なぁ、大事な食糧をなんでそんなヤツにあげんだよ」
高橋美奈「犬も生きてるんだから、当然でしょ!」
松岡力「犬なんてほっておいても生きていけるよ」
犬「うぅぅー!」
松岡力「おぅおぅ、なんか俺は好かれてないみたいだな」
松岡力「先に戻ってるわ」
犬「わんわんわん!」
高橋美奈「え!?あ!!」
犬「わんわんわん!」
ゾン「うぅぅ〜うぅぅ〜」
犬「わんわん〜」
ゾン「うぅぅ〜うぅぅ〜」
犬「わんわん!」
高橋美奈「・・・」
高橋美奈「あ、あれ!」
ゾン「うぅぅぅ〜」
高橋美奈「え!?」