読切(脚本)
〇実験ルーム
五条 翔「ついに完成した!幾度も実験を繰り返し、完全なるモデルを創る事に成功した!ようやく恨みを晴らせるぞ!」
〇諜報機関
マーカー「フレア数値が異常だ!はやく抑えろ!」
芳賀 良夫「今必死で抑えていますが、どんどん数値が上がってる状態で手に負えません!」
八潮 瞳「危険な状況です!このままではフレアの力ですべて吹っ飛んでしまうわ!」
〇諜報機関
マーカー「実験室に向かうぞ!ついて来い!芳賀!!」
芳賀 良夫「はい!すぐに向かいましょう!」
八潮 瞳「わ、私は皆にこの事知らせて来るわ! (こんな場所さっさと逃げよう)」
〇実験ルーム
マーカー「五条君!実験を中止したまえ!」
芳賀 良夫「はやく中止しないと研究所のすべてが消し飛んでしまうぞ!」
五条 翔「中止?笑わせるな!貴様らに復讐出来れば俺はそれで満足さ!」
マーカー「奥さんの事を恨んでいるのか?」
芳賀 良夫「逆恨みじゃないか!」
五条 翔「うるさい!この研究所はあと2分で木っ端微塵に吹き飛ぶ!ここに居ていいのか?」
芳賀 良夫「マーカーさん!逃げましょう!」
マーカー「ぐぬぬ、に、逃げるぞ芳賀!」
五条 翔「せいぜいもがくといい!このモデル以外は皆吹き飛ぶのだからな!」
〇基地の広場(瓦礫あり)
八潮 瞳(ハァハァ、危なかった!逃げて正解ね。(さすがに生存者はいなさそうね))
八潮 瞳「ん!?(今、何か動いたような?)」
八潮 瞳「ヒェェ!な、なんなのよアンタ!」
フレアン model 3「・・ぼ・・僕は・・」
八潮 瞳「えっ?(まさか、実験されてたモデル!?)」
〇基地の広場(瓦礫あり)
フレアン モデル 3「・・うっ・頭が・・・・」
八潮 瞳「子供よね?」
フレアン モデル 3「・・・・・・・・・」
八潮 瞳「ちょと、大丈夫、返事しなさいよ!」
フレアン モデル 3「・・・・・・・・・・・・」
八潮 瞳「ちょ、ちょと倒れないでよ!ねぇ!・・起きないわね・・・(放置出来ないし、連れて帰りましょうか)」
〇高級マンションの一室
研究所の爆発が起きてから11年後・・・・・・
八潮 瞳「透!朝ご飯出来たわよ!」
八潮 透「おはよ!姉さん、すぐ食べるよ!」
八潮 瞳「透ってば今日彼女の誕生日プレゼント買いに行くんだって?何買うのよ?」
八潮 透「教えないよーだ!」
八潮 瞳「教えなさいよ!透センスなさそうだからお姉ちゃんがアドバイスしてあげる!」
八潮 透「大丈夫だよ!」
八潮 瞳「フフッ」
八潮 透「あっ!もうこんな時間!急がないと電車乗り遅れる!もう出るね。ご馳走様!」
八潮 瞳「行ってらっしゃい!気をつけるのよ!」
〇マンションのエントランス
八潮 透「うわっ!」
高林 嗣人「・・・・・・」
八潮 透「すいません!」
高林 嗣人「・・・ふんっ」
八潮 透「──(大丈夫だったかな?)」
八潮 透「・・・っといけない!急がないと!」
〇渋谷駅前
山下 早苗「透のヤツ遅いわね!何してるのよ!」
八潮 透「ごめーん!待った?・・・よね」
山下 早苗「当たり前でしょ!20分遅刻よ!」
八潮 透「本当ごめんって!お詫びにお昼奢るから!機嫌直してよ。ね?」
山下 早苗「しょうがないなぁ〜許してやろう。じゃあ気分直して行こっ!」
八潮 透((可愛いなぁ💕))
「誰か!助けて!」
山下 早苗「何?」
八潮 透「何だ?騒々しいな」
西崎 美佳「あっちで、お、お父さんが!」
八潮 透「落ち着いて!何があったの?」
西崎 美佳「へ、変な怪人みたいなのに襲われて!」
八潮 透「分かった!行ってみるよ!」
八潮 透「早苗悪いけど、この子と安全な場所に避難しといて!」
山下 早苗「あっ、えっ?ま、待ってよ透! ねぇ!」
〇渋谷のスクランブル交差点
逃げ回る人の奥で、ゆっくりと歩いて来る怪人がいる。
フレアン model 6「ハハハッ!逃げやがれ、弱者ども!」
西崎 啓介「ひっ!命だけはどうか!助けて!」
フレアン model 6「ダメだ!逃さん!」
八潮 透「まて!やめるんだ!」
フレアン model 6「ん?お前は確か?」
八潮 透「人をこんなに傷つけて!許さないぞ!」
フレアン model 6「フハハハッお前に何が出来るんだ? 黙って見てろよ! それっ!」
西崎 啓介「うあぁぁぁあー!熱い!死にたく・・・な..い 美・佳ぁ・・」
フレアン model 6「フフッ目の前の人も助けれないとは無様だな!ハハッ」
八潮 透「やめろぉぉぉぉー!」
フレアン model 6「ん?何だ様子がおかしいぞ!」
フレアン model 3「ハァハァハァハァ・・・・・・・」
フレアン model 6「同じモデルだと? (そういえば生き残りがいたな)」
フレアン model 6「おい!こっちを見やがれ!今から俺の元の姿見せてやるよ!」
高林 嗣人「よぉ、確か朝ぶつかったヤツだよなお前!」
フレアン model 3「お、お前は!?」
高林 嗣人「周囲をみてみろ!さっきお前が変化した時の爆風で周りの人を吹き飛ばしてるぜ!」
辺りには大勢の人が倒れている。
その中には小さな子供たちの姿もあった。
フレアン model 3「こ、これは・・・俺がしたのか?」
通行人 A「ひっ!ち近寄るな!」
西崎 美佳「お父さん・・どこにいるの!・・・・えっ!?」
西崎 美佳「嘘・・・死んでる!?・・・」
高林 嗣人「すべて目の前の怪人がやったんだぜ!」
フレアン model 3「嘘だ!俺はやってない、違うんだ!」
通行人 A「ソイツが全部やったのをワシは見たぞ!」
山下 早苗「美佳ちゃん!だ大丈夫だった?・・・一体何が起こったの!?」
西崎 美佳「あの怪人に父さんが、父さんが!」
フレアン model 3「誤解なんだ!早苗!」
山下 早苗「何で私の名前知って・・・その声・・・まさか、透なの?」
フレアン model 3「そう!俺だよ早苗!」
山下 早苗「い、嫌、来ないで!」
高林 嗣人「離れるんだ!何されるかわからないぞ!」
八潮 透「くっ!」
その場から走り去る透
高林 嗣人「俺はアイツを追う君たちはこの場から離れるんだ! (バカめ騙されてやがる)」
山下 早苗「い、行きましょう美佳ちゃん!」
〇森の中
八潮 透「クソッどうなってんだよ!俺の体!」
八潮 透(・・・・・・・(俺って徐々にあんな怪人になって人を襲って行くのかな)・・・んっ?)
高林 嗣人「ずいぶんと走ったな!探したぞ。こんな寂しい森がお前にはお似合いだな!」
八潮 透「お前!何が目的だよ!」
高林 嗣人「すべて破壊する事さ!それよりお前自分の生い立ち知らないだろ?」
八潮 透「生い立ちって何だよ!母さんは俺が幼い時に亡くなって、年が離れるてる姉さんが俺の面談をみてくれているんだ」
高林 嗣人「違うな!俺達は昔とある研究室にいた。そこは身寄りの無い子供を集め、超人類開発と称し様々な人体実験をしていた」
〇実験ルーム
五条 翔「太陽の核エネルギーと人のDNAを融合させる事に成功しました!適応する子供が2名いてその内の一人が私の息子です」
マーカー「素晴らしいな五条君!」
五条 翔「それで・・・あの妻の容体はどうですか?」
マーカー「心配するな!もう少しで完治する」
五条 翔「ありがとうございます!」
2年後・・・・・・
〇実験ルーム
五条 翔((結局妻は死んだ・・このモデルの力でアイツ等に復讐してやる!))
〇森の中
高林 嗣人「こうやって完成したモデルが俺達だ。その後研究所は爆発し、運良くお前は拾われたんだ」
八潮 透「・・・じゃあ姉さんは本当の家族じゃない?・・し、信じるものか!」
高林 嗣人「すべて本当さ。薄々気づいていただろう?俺達は復讐のために創られた望まれないモデルという名の怪人なんだよ!」
八潮 透「くっ・・・・・」
高林 嗣人「さぁもう楽になろぜ!」
フレアン model 6「終わりにしよう!」
八潮 透「・・・俺は誰も望まない変な力を持つ怪人だもんな・・・人を傷つける前に楽になった方がいいのかもな」
フレアン model 6「観念したか?すぐに終わせてやる! じゃあな!」
誰かに背中を押される透
八潮 瞳「ハァハァ間に合ってよかったわ透」
八潮 透「姉さんどうしてここに?は・・・はやく止血しないと!」
八潮 瞳「いいのよ、・・怪人が暴れてるって報道があって、それを見てもしかしたら透かも知れないと思って探したの」
八潮 透「・・姉さんは知ってたんだね、僕が怪人になる事・・・」
八潮 瞳「ええ、知っていたわ、研究所が爆発した時に透が同じ姿をしていたから・・・黙っててごめんなさい」
八潮 透「全然!姉さんは悪くないよ!」
八潮 瞳「子供達が人体実験されていたのも見て見ぬふりしてた。最悪よね・・・」
八潮 透「喋らないで!くそっ、血が全然止まらない!」
八潮 瞳「目が霞んできたわ・・透。血は繋がっていないけど本当の弟のように愛していたわよ」
八潮 透「俺もだよ、帰ってまた一緒にご飯たべて話しようよ、だから目を閉じちゃだめだよ姉さん」
八潮 瞳「フフッあんたのその優しいところ大好きだよ、だからメソメソして無いで、笑顔でいなさいよ」
八潮 透「姉さん・・・おれ・・・」
八潮 瞳「安心しな、怪人ってのはね・・・ハァハァ ・・・心がないものよ・・・透・は・違う・強く生きな・ね・・・」
八潮 透「姉さん?姉さん!起きてよ!姉さん!」
八潮 瞳「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
八潮 透「嫌だぁうぁぁぁぁぁぁぁー””」
フレアン model 3「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉー””」
フレアン核 model3「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
フレアン model 6「な、な、もう一段階、変化しただと?」
フレアン核 model3「お前を抹殺する!」
フレアン model 6「や、やれるもんならやってみろクソが! おら!おら!」
フレアン核 model3「ふんっ!その程度か?」
フレアン model 6「くっ、こ、これならどうだ!」
フレアン model 6「ハァハァハァくたばったか?」
フレアン核 model3「それがお前の全力か?」
フレアン model 6「な、何だと!効いてないのか!」
フレアン核 model3「次はこっちの番だ!」
フレアン model 6「ぐはっ!ば、馬鹿な、弱いくせに!生意気な!」
フレアン核 model3「次の攻撃で仕留める!覚悟!」
高林 嗣人「ぐはっ・・はぁはぁはぁ・・・た、たのむ助けてくれ」
高林 嗣人「グヘッ、や、やめ、」
高林 嗣人「ゲホッ、ヒュー、ヒュー、た・・・の・・・む・・・」
フレアン核 model3「しぶといヤツめ!だがこれで最後だ!・・フンッ!」
降り下ろそうとする右手に何者かが全力でしがみつく
山下 早苗「やめてよ!透!」
フレアン核 model3「・・だ・れだ・?」
山下 早苗「お願い!優しい透に戻ってよ!こんな事お姉さんは喜ばないわ!」
フレアン核 model3「・・・姉さん?・・・くっ!」
山下 早苗「人を殺してはダメよ透!心まで怪人に飲み込まれないで!」
フレアン核 model3「・・・・そうだ・・・俺は・・・・・・」
山下 早苗「戻ってくれたのね!透!」
八潮 透「ご、ごめん意識が怪人に飲み込まれて・・・怖かったよね・・・」
山下 早苗「怖くなんかないよ!いつもの透だもの!」
八潮 透「もう二度とあんな怪人にはならないと誓うよ!」
〇森の中
救急車で運ばれる2人を見送る透と早苗
八潮 透「・・・」
山下 早苗「・・・雨上がったね!」
八潮 透「うん」
山下 早苗「行きましょう、透!」
八潮 透「あ、これ誕生日プレゼント!」
山下 早苗「ありがとう!今日遅れたのプレゼント選んでたから?」
八潮 透「ヘヘッ内緒!」
〇大きい病院の廊下
〇病室
八潮 透「姉さん体調どう?」
八潮 瞳「順調に回復してるわよ」
八潮 透「良かった!本当にダメだと思ったから」
八潮 瞳「失礼ね!ちゃんと生きてるわよ! フフッ」
〇病室
八潮 透「もうこんな時間だ!俺、帰るね!」
八潮 瞳「来てくれてありがとう・・実はね・・彼もここに入院してるの・・・透が嫌じゃなかったら会ってみたら?」
八潮 透「そうなんだ・・・少しだけ会ってみるよ・・・」
姉の病室を出て高林の所へ向かう透
〇綺麗な病室
高林 嗣人「・・お前か・・・・まぁ座れよ・・・」
八潮 透「・・・体調は・・・どう?」
高林 嗣人「・・・動ける程度には回復したよ。・・何故か怪人に変化する力も失った・・でも少しホッとしてる」
八潮 透「・・・その気持ち分かるよ・・・」
高林 嗣人「お前と違って俺は怪人になっても自分の意識があったが・・・何も満たされなかったよ」
八潮 透「そう・・・」
高林 嗣人「特別な力よりも自分を受け入れてもらえる場所が欲しかっただけかもな。・・・お前が羨ましいよ」
八潮 透「そんな考えがあるなら、怪人じゃないよ・・根っからの怪人なんていないと思うし」
高林 嗣人「・・・ハハッ怪人なんていないか。確かにそうかもしれないな。でも、どっかに潜んでるかも知れないぜ?」
八潮 透「・・・・・・・」
高林 嗣人「・・・退院したら、どんな罪も償うよ。 もしかしたらお前と会うのは今日で最後かもな」
八潮 透「・・・・・・・・・・・・・・・」
高林 嗣人「さぁもう行けよ・・・何か疲れたぜ。 ・・・・・────最後になこんな俺に会いに来てくれてありがとよ」
八潮 透「ああ・・・・」
病室を出て行く透
〇高級マンションの一室
1年後
速報です!高林嗣人被告(18)に懲役15年の判決が下りました繰り返します──
八潮 透(・・罪を償ったらいつか会おうな!・・)
八潮 瞳「透!朝食出来たわよ!」
八潮 透「いつも、ありがとう!いただきまーす!」
八潮 瞳「フフッ」
〇基地の広場(瓦礫あり)
〇地下実験室
国防隊員 佐野 「こちら佐野、五条と記された装置発見!B班応答せよ!」
〇地下実験室
国防隊員 佐野 「んっ?」
〇地下実験室
どうした!佐野!応答せよ!佐野ォォォ!
〇地下実験室
〇黒
〇血まみれの部屋
〇黒
Unwantedという単語は悲しい言葉ですね。存在すること自体が最初から否定されているなんて。でも透は二人の女性によってwanted に生まれ変わることができた。命拾いした嗣人も、罪を償ったら受け入れてもらえる場所を見つけて誰かのwantedになれたらいいなあ。
最後の場面に移された部屋ってもしかして透たちの部屋…?襲われたの?もしかして透がモデルに変身し暴走したの?教えて〜!(笑)
肉体を改造されながらも、魂までは奪われなかったという点が何より読んでいて嬉しくなりました。元研究員でありながらも、トオルを本当の弟のように面倒をみた彼女にも、全うな人間性があったようで好感もてます。