第3話『ソースアンド・オンライス』(脚本)
〇古いアパートの一室
滝澤海斗(たきざわ かいと)「篠崎さんが崎篠さん!?」
神道七海(しんどう ななみ)「そうなの!」
〇車内
今日の夕方、篠崎さんを見かけて
思わず話しかけに行っちゃったの──
神道七海(しんどう ななみ)「あれは・・・シスター・タスシー・・・」
神道七海(しんどう ななみ)「シゲちゃん停めて!」
運転手のシゲちゃん「へいっ!」
運転手のシゲちゃん「お嬢様、殴り込みですかい?」
神道七海(しんどう ななみ)「違うわよ~」
〇オフィスビル
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「・・・」
「シスター・タスシー?」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「えっ?」
神道七海(しんどう ななみ)「それ、シスター・タスシーですよね?」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「はい」
神道七海(しんどう ななみ)「やっぱり!嬉しいなぁ~♪」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「嬉しい・・・?」
神道七海(しんどう ななみ)「彼氏が描いた漫画だから、 その服見て嬉しくなっちゃって──」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「もしかして、滝澤先生の彼女さん・・・?」
神道七海(しんどう ななみ)「先生? ・・・もしかして海斗の担当の?」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「はい。担当編集の篠崎夏蓮です。 よろしくお願い致します」
神道七海(しんどう ななみ)「あっ、神道七海です──」
神道七海(しんどう ななみ)(篠崎・・・かれん?)
〇古いアパートの一室
神道七海(しんどう ななみ)「そのあと一緒にご飯行ったんだけどさ」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「えっ?いきなりご飯!?」
神道七海(しんどう ななみ)「だって、名前を聞いたらすぐに崎篠カレーを思い出しちゃってさ──」
神道七海(しんどう ななみ)「海斗の為にも探りを入れとかないといけないな~って思うじゃん」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「探りを入れるって(笑)」
神道七海(しんどう ななみ)「もしかしたら担当編集になって、大賞取れなかった恨みを晴らそうとしてるかもしれないじゃん?」
神道七海(しんどう ななみ)「あれ読んだらそう思うのが普通でしょ?!」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「まぁ、確かに・・・」
神道七海(しんどう ななみ)「それで、本当にアイ食べのファンなのか確かめようと思って──」
〇レストランの個室
アイ食べが好きなら絶対ココでしょ?
シスター・タスシーが通うお店の
モデルとなった、Bar風飲食店──
『婆(ばばあ)のBar-バラ肉-』
神道七海(しんどう ななみ)「さぁ、座って」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「ありがとう」
私はここで篠崎さんを試した
店員「いらっしゃいませ」
店員「ご注文はお決まりでしょうか?」
シスター・タスシーが好きなら
絶対に注文しなければならない物がある
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「婆(ばばあ)のバラ肉を、 ソースアンド・オンライスで」
神道七海(しんどう ななみ)「完璧・・・」
店員「かしこまりました」
店員「オンライスするコックの指名はございますか?」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「オバタリアンさんでお願いします」
店員「かしこまりました」
神道七海(しんどう ななみ)「やるわね・・・」
でもまだあるかもしれない──
大賞を獲った海斗への復讐という
可能性を潰すまでは安心できない
だから私は確認した
神道七海(しんどう ななみ)「ねぇねぇ、アイ食べクイズしない?」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「えぇ、喜んで」
漫画家の道を諦めてでも
担当したいくらい
本当にアイ食べが好きなのかどうか
〇古いアパートの一室
神道七海(しんどう ななみ)「結果から言うと篠崎さんは──」
神道七海(しんどう ななみ)「本当にアイ食べの大ファンだったわ」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「そうだったんだ」
神道七海(しんどう ななみ)「でも1つ気になる事があって・・・」
〇レストランの個室
私の考えたクイズは全て正解──
神道七海(しんどう ななみ)「シスター・タスシーが任務中に食べる食料は──」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「切り刻まれた小籠包」
神道七海(しんどう ななみ)「ですが、任務外でもちょこちょこ 食べてるおやつのような──」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「4等分の小籠包」
神道七海(しんどう ななみ)「正解!」
神道七海(しんどう ななみ)(さすがね・・・)
私、意地になっちゃって
海斗が途中まで描いてボツにしたシーンの
問題を出したのよ
神道七海(しんどう ななみ)「じゃあ最後の問題ね」
神道七海(しんどう ななみ)「たくわんタクローが貸してくれたマンションの名前は?」
神道七海(しんどう ななみ)(たくわんタクローが、小籠包店のオーナーになる前の設定は──)
神道七海(しんどう ななみ)(マンションの管理人だった。 それを知ってるのは私だけ・・・)
神道七海(しんどう ななみ)(この問題に答えられるのは私だけなのよ)
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)(たくタクがマンションを貸す・・・?)
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「それって・・・」
神道七海(しんどう ななみ)「さぁ、答えて!」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)(たくタクは小籠包店のオーナー・・・)
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)(たくタクがマンションを貸すっていう話はどこにもない)
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)(まさか、小籠包店のオーナーになる前の設定が管理人って事なのかしら・・・)
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)(非常に興味深いお話だわ・・・ やはりアイ食べは奥が深い──)
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)(って、それよりも今は── 答えを考えましょう)
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)(小籠包店の名前は、 『ポーポーショーロン』)
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)(シスター・タスシー、たくわんタクロー、ポーポーショーロン、パンツのツンパ君・・・)
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)(滝澤先生が考えそうな名前・・・)
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「マンションの名前は・・・」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「ション・ションマン!」
神道七海(しんどう ななみ)「・・・」
神道七海(しんどう ななみ)「不正解・・・」
神道七海(しんどう ななみ)「正解はマンション・ションション」
神道七海(しんどう ななみ)「でも・・・」
神道七海(しんどう ななみ)(ここまで近い答えを推測だけで出すなんてね・・・)
神道七海(しんどう ななみ)「ション・ションマン・・・ほぼ正解よ!」
神道七海(しんどう ななみ)(篠崎さんは本物ね・・・)
〇古いアパートの一室
神道七海(しんどう ななみ)「──・・・って事で、篠崎さんは真のアイ食べファンだったんだよ~」
神道七海(しんどう ななみ)「さっきも言ったけど(笑)」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「そうなんだね! それで気になる事って?」
神道七海(しんどう ななみ)「ん?」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「気になる事って・・・?」
神道七海(しんどう ななみ)「アイ食べを大好きって事は──」
神道七海(しんどう ななみ)「もしかしたら篠崎さんは海斗自身の事も好きなのかもしれないって思って──」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「え?」
神道七海(しんどう ななみ)「だって大好きな漫画を描いてる人がこんなに素敵なんだよ?」
神道七海(しんどう ななみ)「海斗の事好きでもおかしくないよ!」
神道七海(しんどう ななみ)「担当になったのも海斗に近付く為なんじゃないかって・・・思っちゃったりして・・・」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「ななちゃんそんな事気にしてたの!?」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「僕が好きなのはななちゃんだけだよ」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「それに篠崎さんは、本当にアイ食べが大好きなだけで僕には興味ないし──」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「そんな事心配しなくていいんだよ」
神道七海(しんどう ななみ)「うーん・・・」
神道七海(しんどう ななみ)「でも気になっちゃう!」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「大丈夫だよ。ななちゃん!」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「もし何かあったらななちゃんに一番に言う!だから安心して?──ね?」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「僕はいつだってななちゃんが一番だから」
神道七海(しんどう ななみ)「海斗・・・」
神道七海(しんどう ななみ)「分かった!」
〇空
〇古いアパート
「じゃあそろそろ帰るね!」
「ほんとに送らなくて大丈夫?!」
神道七海(しんどう ななみ)「大丈夫だよ」
神道七海(しんどう ななみ)「じゃあ、また明日ね」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「うん!気を付けてね」
〇通学路
神道七海(しんどう ななみ)(何か安心したらお腹空いてきちゃった)
神道七海(しんどう ななみ)(それにしても──)
神道七海(しんどう ななみ)(準大賞を獲るくらい実力のあるファンが担当編集って心強過ぎだよね・・・)
神道七海(しんどう ななみ)「パパにメールしとこ~」
海斗の連載いい感じになるかも~
な、な、なんと!崎篠カレーが担当編集になってて──
???「ちょっといいかな、お嬢ちゃん」
???「抵抗しなければ何もしないから」
神道七海(しんどう ななみ)「えっ?!何!?」
神道七海(しんどう ななみ)「ぐっ」
何かで口を塞がれた
神道七海(しんどう ななみ)(助けて・・・──)
???「よしっ、運べ」
〇車内
運転手のシゲちゃん(お嬢様を送らない日は── ソワソワして落ち着かねぇ)
運転手のシゲちゃん(そんな日はドライブするんだ)
運転手のシゲちゃん(お嬢様に見つからねぇようにな──)
〇古いアパート
〇車内
運転手のシゲちゃん(電気がついてない)
運転手のシゲちゃん(明日も学校だ。泊まるわけねぇよな)
運転手のシゲちゃん(すれ違っちまったか)
〇通学路
〇車内
運転手のシゲちゃん「何か落ちてんな」
〇通学路
運転手のシゲちゃん「これは」
運転手のシゲちゃん「お嬢様のスマホじゃねぇか!!」
〇古いアパートの一室
滝澤海斗(たきざわ かいと)「スーッ」
〇月夜
編集長「滝澤さん、おめでとう」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「ありがとうございます!」
神道七海(しんどう ななみ)「海斗ぉ~おめでとう!」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「ななちゃん、ありがとう!」
〇古いアパートの一室
滝澤海斗(たきざわ かいと)「ななちゃん・・・」
あの車がアイテムに在るのって、公式が人攫いを想定しているのかな~と、ちょうど思った時にヒロインがお持ち帰りされちゃった(*゜д゜*)
無事を祈るばかりです…
小籠包4等分したらスープジュワーの良さが消えるだろ!(挨拶)
アイ食べのラスト妄想
「なぁ、アイスなら…アイスなら小籠包と違って、汁をこぼさずお前と分け合えると思ってたんだ…。なのに…。」ポタッ。
「別の汁をこぼすことに…なるなんてな…。」
小籠包とかマンションとか、ますますアイ食べがどんなマンガなのか気になりすぎます🤣
そしてまさかのななちゃん誘拐!?😱続きが気になります!