4謎の女性、白鳥彩香(脚本)
〇華やかな裏庭
朝の巡回をしてると海辺のカフェテラスに白鳥教授と妻の白鳥彩香が優雅に朝食を食べているのが俺のスカウターに飛び込んできた
白鳥浩太郎「珍しいな彩香が肉を注文するなんて」
白鳥彩香「あら、そうでもないわ」
白鳥浩太郎「それに驚いたよ、昼間から出歩こうなんて誘うのは」
白鳥彩香「まぁ、太陽光が眼に入らなければ大丈夫だからそれ用のコンタクトレンズを付ければいいだけ」
白鳥浩太郎「対策はバッチリと言うわけか。最も人類以上だしな科学知識は」
俺のスカウタースピーカーからドラキュラ警報が響く
???「児島「嘘だろう!!白鳥彩香さんが2800歳のドラキュラだなんて!?しかもご主人の白鳥教授は人間だなんてあり得ない!!!!」
白鳥浩太郎「ところで最近は人工血液を飲んでないようだけど何故?」
白鳥彩香「最近はまずく感じるのよ人工血液が」
白鳥浩太郎「それってもしかして三年前のあの自殺事件からじゃないだろうね」
白鳥彩香「自殺かしら・・・それにあの子は人間じゃぁないし」
驚いて彩香を凝視する白鳥
白鳥浩太郎「彼女の血を吸ったのか彩香」
声を潜める彩香
白鳥彩香「だから、人間じゃないわよ彼女。人工血液とも味が違って本当の血とも違ってたわ」
俺は二人に近付いて行った
白鳥彩香「それに・・・・・・」
児島恭介「奇遇ですね白鳥教授・・・何時からこちらに?」
白鳥浩太郎「児島君じゃぁないか久しぶり!!元気にしてたかね?就職内定先を蹴って以降全然音沙汰がなかったからさ、心配していたんだ」
児島恭介「ご心配をおかけしました」
白鳥彩香「今何をしてらっしゃるの?」
児島恭介「希少動物保護官・・・環境省のね」
白鳥彩香「まぁ、随分と危険な仕事を!!」
児島恭介「それにしても奥様は三年前と変わらずお若いままですね」
白鳥彩香「まぁ、相変わらず口が上手いわ・・・用事がありますので私はお先に・・・ゆっくりしてらして」
真紀が急ぎ足で近付いてきた
真紀「パトロールは二人一組が規則でしょ恭介」
児島恭介「そう喚きなさんなよ・・・こちら大学時代の恩師である白鳥教授」
白鳥浩太郎「白鳥です・・・そうか君が美穂君の双子のお姉さんか・・・双子だけあって見間違えてしまいそうですね」
児島恭介「性格は正反対でやかましいですけどね」
真紀「うるさいなぁ・・・もう」
児島恭介「ところで教授、奥様の彩香さんはドラキュラですよね」
白鳥浩太郎「そうじゃよ、2800歳じゃ」
児島恭介「教授は人間ですよね?」
白鳥浩太郎「そうだよ」
児島恭介「よく平気でいられますね」
白鳥浩太郎「心配無用じゃよ、かみさんは人工血液を飲んでるし万が一は儂の血を吸うから被害はないはずじゃ」
真紀「そう言う問題でなくドラキュラは届けだしてくれませんと・・・規則ですから」
白鳥浩太郎「分かったよ・・・今度届を出すよ」
真紀「お願いしますよ・・・本当」
白鳥浩太郎「そうだ良かったら二人で家に遊びに来なさい・・・大歓迎だよ」
俺達は教授と別れ巡回に向かった
〇アパレルショップ
児島恭介「あっ、彩香夫人・・・お買い物ですか?」
白鳥彩香「ええ、主人のスーツを取りに来ましたの・・・隣の女性は奥様かしら?」
真紀「ええ、間もなく結婚しますの・・・私達」
嬉しそうにそう言うと真紀は俺の腕にしがみ付いてきた
児島恭介「オイオイでたらめを言うなよ」
白鳥彩香「ホホホ、仲が良くて・・・そういえば三年前に貴方とそっくりな方と深刻な顔をして話し込んでたわね」
真紀「さぁ、いつの事かしら?」
児島恭介「あぁそれは美穂では?真紀とは双子ですから」
白鳥彩香「そうですの、でもそれにしては相手の女性・・・段々と顔が青ざめて行ったわ」
真紀「そ、そんあな事・・・気のせいですよ・・・それより巡回急ぎましょう恭介・・・失礼します奥様」
児島恭介「真紀と美穂が何を話していたか覚えていらっしゃいますか?」
真紀「急ぎましょう巡回・・・恭介」
白鳥彩香「昔の事で、忘れましたわ」
〇アパートのダイニング
真紀「ねぇ、何で今朝は黙って出ていったのよ・・・二人で朝食を食べる約束でしょ恭介」
児島恭介「原因を知ってるだろ・・・騙しやがって」
俺は瓶を真紀の目の前に出した
真紀「な、何なの?」
児島恭介「対ドラキュラ用香水、通称媚薬・・・俺はドラキュラじゃぁないぜ」
真紀はシクシクと泣き始めたけど俺は騙された悔しさで一杯だった
真紀「ご、ゴメン恭介を騙すつもりじゃなかったのよ食事や世話をしたけど美穂の事ばかりで恭介が振り向いてくれず・・・寂しかったの」
児島恭介「まぁいいコンビ解消を申請する・・・ところで三年前美穂の自殺当夜美穂と何を話してたんだ」
真紀「もう、三年前の事件なんか掘り返してどうなると言うの?」
児島恭介「俺が危険な希少動物保護官に応募したのは美穂を殺した者への復讐だからな」
真紀「他殺なら彩香さんが怪しいわドラキュラ登録していなかったわけだしさ」
児島恭介「何故だ」
真紀「ドラキュラ警報機は同性からでるフェロモンに反応しないのよ」
俺は拳銃を取り出し真紀に銃口を向けた
真紀「気が狂ったの?」
児島恭介「本気さ三年前美穂が死ぬ直前に美穂と何を話してたんだ真紀」
真紀「あ、明日の予定よ・・・」
俺はためらわず真紀の足元に拳銃を放った
真紀「きゃぁ・・・何するの」
児島恭介「俺は本気だぜ」
真紀「わ、分かったわ・・・話すから銃を締まって頂戴」
俺は銃をホルダーに収め真紀を睨んだ
真紀「美穂が恭介と一緒になれない理由を話したのよ」
俺は再びホルダーの銃を手に取ろうとした
真紀「ちゃんと話すわよ・・・美穂は乳児の頃に死んだ美穂のレプリカなの」
児島恭介「しかし人間のレプリカは禁止されてるぜ」
真紀「だから公に出来ないわ・・・うちの会社で極秘に作った試作用レプリカなのよ、美穂は」
児島恭介「だから警察も自殺として扱ったのか」
真紀「彼女、聞き終わったら青い顔で死にたいって言ってたわ」
児島恭介「で、可哀そうになって自殺の手助けをした訳か」
真紀「違うわ彼女振ら着いた足取りで戻って行ったわ・・・本当よ信じて」
児島恭介「だから奥さんの彩香さんが怪しいと睨むのか」
真紀「無届けのドラキュラでかつ同性だから警報が作動しないでしょ・・・彩香さんは」
児島恭介「許せない・・・殺してやる」
真紀「でも現行犯でないから射殺できないわ」
児島恭介「大丈夫、奥様は無届けのドラキュラだから殺してもお咎めなしさ」
真紀「ねぇ、復讐が済んだら一緒になる約束でしょ・・・信じていいの?」
児島恭介「実を言うと昨夜は美穂だと思って抱いたんだよ悪く思うな・・・あばよ」
俺が後を振り返らず扉を閉めて出ていくと真紀は号泣しながらテーカップを扉めがけてぶつけた
ゴブリンC「おや?色仕掛けは失敗かな?」
真紀「うるさい・・・何の用?」
真紀「ハイ、真紀ですが」
白鳥「あっ、児島君は?」
真紀「今外出してますが」
白鳥「妊娠したんですよ、彩香が・・・ですのでささやかな身内のお祝いをしようと
・・・児島君の携帯にかけ直します」
ゴブリンC「私が児島を殺しましょうか?」
真紀「待って、私が直接お父様に掛け合うわ」
真紀「もしもし真紀ですけど、・・・恭介の事何とかなりませんか?」
ゴブリンC(私に任せればいいのに)
真紀「実は・・・美穂がレプリカである事を知られてしまいまして」
電話口の向こうから怒鳴り声が響く
真紀「恭介ですか・・・多分白鳥彩香の妊娠祝いに向かってます・・・実は彩香はドラキュラと人間のハーフを身ごもってます」
電話口から興奮した声が響く
真紀「彩香を誘拐しろと・・・そうすれば恭介を殺さないと・・・わかりました」
ゴブリンC「ちっ、つまんねいな」
続く