カイジン29誕生(脚本)
〇黒背景
リュウジ「・・・」
リュウジ「キサマ・・・」
リュウジ「・・・・・・・・・」
リュウジ「・・・キサマだけは絶対に・・・」
リュウジ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
リュウジ「- 絶対に許さん!!」
〇近未来施設の廊下
〜 1 年 前 〜
マキ「すみません!道を開けてください!!」
マキ「どいてください!!」
リュウジ(急患か・・・)
マキ「通ります!!」
リュウジ「・・・・・・」
〇血しぶき
「にっ・・・」
「兄さん!!」
〇近未来施設の廊下
リュウジ「・・・・・・・・・・・・」
〇近未来の手術室
室長「マキ君、遅いじゃないか」
マキ「申し訳ございません」
マキ「連れて来ました」
室長「では、はじめるか」
〇黒
「今度は大丈夫なんですか?」
「さ〜な・・・」
「とりあえず、これを・・・」
「これで、持ち直すといいのですが・・・」
「もう28・・・」
〇近未来施設の廊下
リュウジ「それにしても・・・」
リュウジ「なぜ手術室の方ではなく 研究室の方へ・・・」
リュウジ「考えていても、しょうがない・・・」
リュウジ「とりあえず兄さんの容態を確認しに行こう」
〇近未来の手術室
リュウジ「兄さん!!」
室長「まずいな・・・」
マキ「リュウジさん! 無断で入って来られては困ります!」
リュウジ「マキさん、その人は僕の兄さんなんです!!」
マキ「え・・・」
リュウジ「どうして、こんな事に!!」
リュウジ「それに、ここは研究室じゃないですか!!」
リュウジ「早く手術室へ!!」
マキ「・・・・・・」
室長「君・・・落ち着きたまえ!!」
リュウジ「・・・・・・」
室長「君のお兄さんは見てのとおりだ・・・」
室長「もう、助からないだろう・・・」
室長「ただし・・・」
室長「最後の望みはここにある」
マキ「室長!?」
室長「だから、ここに連れてこられたんだ」
リュウジ「望み!?」
リュウジ「どうしたら兄さんは助かるんですか!!」
室長「ここに治験薬がある」
室長「治験薬がどういうものか分かるね」
リュウジ「まだ、副作用が強く出たりするんですか!?」
室長「・・・・・・・・・」
室長「どうするかね・・・」
リュウジ「兄さんは、それで助かるんですか!?」
室長「保証はない・・・」
室長「ただ、確実に言える事は・・・」
室長「もう時間は無いと言う事だ!!」
リュウジ「お願いします!! 兄さんを・・・兄を助けてください!!」
室長「分かったなら、早く出て行きなさい・・・」
マキ「室長・・・」
室長「さて、あとは医療チームに任せよう」
〇黒
兄さんは一命を取り留めた
しかし、予想外の副作用に
悩まされる事となった
なんと
条件は分からないが
カイジンの姿になってしまうのだ
そして更に予想外だったのが・・・
あろう事か・・・
兄さんはこの姿を・・・
〇白
気に入ってしまったのだ!
リュウイチ「よく考えたら変身できるのって 超カッコイイじゃないか!!」
リュウイチ「今日から俺はヒーローだ!!」
そして兄さんは人々を助け
本当のヒーローになりつつあった
〇黒
あの事件が起こるまでは・・・
〇渋谷スクランブルスクエア
〇SHIBUYA SKY
SHIBUYA SKY
警察官「最近、人々を助けるヒーローごっこを しているカイジンというのは君かな!?」
カイジン「・・・」
警察官「こんな所にそんなカッコでいたら 周りに迷惑だよ!!」
警察官「早く着替えて、帰りなさい」
カイジン「・・・」
警察官「ほら、君!!」
〇テレビスタジオ
ミナ キャスター「続いてのニュースは・・・」
ミナ キャスター「たった今、入って来ました 臨時ニュースです!!」
ミナ キャスター「只今、SHIBUYA SKYに カイジンが現れました!!」
ミナ キャスター「最近、人々を助けているカイジンとは 別のカイジンの模様です!!」
ミナ キャスター「現場にドローンでの中継が繋がっています!!」
〇SHIBUYA SKY
〇SHIBUYA SKY
カイジン「フフフ・・・」
警察官「君、武器を捨てて両手を上げなさい!!」
警察官「おい!!聞いているのか!!」
近づいてくるカイジン
警察官「これ以上、近づいたら撃つぞ!!」
カイジン「フフフ・・・」
カイジン「早く撃て!!」
警察官「くそっ!!」
警察官「効かない!?」
〇テレビスタジオ
ミナ キャスター「現在、SHIBUYA SKYは閉鎖されています 付近の方は現場に近づかないよう くれぐれも、ご注意ください」
〇近未来の手術室
マキ「はい! あ、リュウイチ君!!」
マキ「ニュースをみたのね」
「はい」
「俺、行きます!!」
マキ「そう・・・」
マキ「頑張ってね・・・」
室長「やれやれ・・・」
室長「厄介なものだな・・・」
室長「カイジンというものは・・・」
〇渋谷スクランブルスクエア
〇SHIBUYA SKY
謎の男「おい!バケモノ!!」
カイジン「・・・・・・」
カイジン「フフフ・・・」
カイジン「なかなか、面白い事を言うね君は」
リュウイチ「ヒーローの俺が バケモノのお前をやっつけてやる!!」
カイジン「フフフ・・・」
カイジン「君は鏡を見たほうがいいようだ」
カイジン「どちらがヒーローで、どちらがバケモノか 見れば分かるだろう」
カイジン「リュウイチ君」
リュウイチ「!?」
リュウイチ「お前、何故俺の名を!?」
カイジン「君のデータは把握しているよ」
カイジン「リュウイチ君・・・」
カイジン「いや・・・」
カイジン「28号」
リュウイチ「28号!?」
リュウイチ「何の事だ!?」
カイジン「フフフ・・・」
カイジン「君は本当に何も知らないんだね28号」
カイジン「それと・・・」
カイジン「バケモノとは、失礼だな君・・・」
カイジン「先輩に対して」
リュウイチ「先輩!?」
リュウイチ「お前さっきから何を・・・」
カイジン「私の名は18号!!」
カイジン「君の先輩の名だ・・・」
カイジン「覚えておけ!!」
〇近未来の手術室
マキ「リュウジさん・・・」
マキ「何か、ありましたか」
「さっきから兄さんと連絡が 全く取れないんです」
「何か知っているかと思いまして」
マキ「・・・」
「カイジンのニュースがあったから 正義感の強い兄さんならもしやと・・・」
マキ「・・・」
マキ「・・・その通りです」
「・・・・・・」
「とにかく、そちらに向かいます」
数 分 後
リュウジ「・・・・・・」
リュウジ「兄さんらしいや!!」
マキ「・・・」
マキ「これは!?」
マキ「リュウイチ君のバイタル(生命兆候)が 危険な状態よ!!」
リュウジ「!!」
マキ「今、調査用のドローンから映像が見れるわ」
〇血しぶき
「兄さん!!」
〇近未来の手術室
リュウジ「兄さん!!」
リュウジ「警察は!!」
マキ「警察も・・・」
マキ「銃も役に立たなかったわ・・・」
マキ「だからこそ・・・」
マキ「リュウイチ君は・・・」
マキ「・・・・・・」
マキ「リュウイチさんは、現場に行ったのよ・・・」
リュウジ「兄さん・・・」
リュウジ「誰か・・・」
リュウジ「誰か兄さんを・・・」
マキ「・・・・・・」
室長「1つだけ方法があるじゃないか」
マキ「室長!!」
リュウジ「方法とは・・・」
マキ「室長!!!!」
リュウジ「・・・」
リュウジ「・・・・・・」
リュウジ「よろしくお願いします!!」
マキ「リュウジさん!!」
リュウジ「・・・」
リュウジ「・・・・・・」
リュウジ「・・・・・・・・・」
リュウジ「何も起こらない・・・」
マキ(ほっ・・・)
リュウジ「どうなっているんですか!!一体!!」
室長「どういう条件で変身するのかは 私達にもまだ、分かっていないんだよ」
室長「すまない」
室長「私の出来る事はここまでだ」
リュウジ「・・・・・・」
リュウジ「・・・わかりました・・・」
リュウジ「とにかく、兄さんの元へ向かいます!!」
マキ「行かないで!!」
マキ「あなたが行っても無駄よ・・・」
リュウジ「そう・・・でしょうね・・・」
リュウジ「でも、行かなくてはならないんです」
リュウジ「いや・・・」
リュウジ「行きたいんです!!」
マキ「兄弟だからって、命をかけてまで・・・」
リュウジ「兄弟だから・・・」
リュウジ「それもあります」
リュウジ「でも・・・」
リュウジ「それだけじゃないんです」
リュウジ「親に叱られた時も」
リュウジ「学校でイジメられた時も」
リュウジ「怪我をした時も・・・」
リュウジ「どんな時でも、兄さんは僕の事を 助けてくれました」
リュウジ「そして今でも子どもの時と同じように・・・」
リュウジ「まっすぐな目で」
リュウジ「役者を目指したり」
リュウジ「困った人を助けようと本気で思っている!!」
リュウジ「そんな兄さんは」
リュウジ「僕にとって、兄以上に・・・」
〇白
リュウジ「ヒーローなんです」
〇黒
数 時 間 前
「そろそろ来る頃ですね」
「あぁ」
「薬はちゃんと入れ替えておいたんだろうな」
「はい」
「29・・・30・・・」
〇渋谷スクランブルスクエア
〇keep out
SHIBUYA SKY
〇SHIBUYA SKY
リュウイチ「・・・」
リュウジ「兄さん!!」
カイジン「ほ〜」
カイジン「みんな、逃げ出したというのに よく来たものだな」
カイジン「なるほど、データを見るかぎり・・・ 兄弟か・・・」
カイジン「兄弟愛か・・・美しいね〜」
カイジン「ハハハ!!!!」
カイジン「笑いが止まらないよ」
リュウジ「・・・・・・」
カイジン「勇気があるのか・・・」
カイジン「それとも・・・」
カイジン「兄弟そろってバカなのか・・・」
カイジン「フフフ・・・」
カイジン「ハハハ!!!!」
リュウジ「・・・・・・」
リュウイチ「リュウジ・・・」
カイジン「ほ〜まだ生きていたのか クワガタじゃなくて ゴキブリなんじゃないのか?」
カイジン「ハハハ!!!!」
リュウイチ「リュウジ・・・逃げてくれ・・・」
リュウイチ「頼む・・・」
カイジン「そうはさせないよ」
リュウジ「くっ・・・」
カイジン「ほ〜」
カイジン「兄貴と違って素早いね〜」
カイジン「でも、お似合いの服もアクセサリーも ボロボロだよ〜」
カイジン「では、ノロマな兄貴はどうかな!!」
リュウイチ「あぁぁ〜!!!!」
リュウジ「兄さん!!」
カイジン「フフフ・・・」
カイジン「しぶとい兄貴のバイタルも さすがにそろそろ消えそうだぜ!!」
カイジン「ハハハ!!!!」
〇黒背景
リュウジ「・・・」
リュウジ「キサマ・・・」
リュウジ「・・・・・・・・・」
リュウジ「・・・キサマだけは絶対に・・・」
リュウジ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
リュウジ「- 絶対に許さん!!」
〇SHIBUYA SKY
カイジン「何!?」
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りゅういちくんは世間では理解者が少ない人だと思いますが、最後まで自分にとっての、何より弟にとってのヒーローであろうとする姿に泣けます…(T-T)
主人公はりゅうじくんですが、仮にこんな勝ち組っぽい弟がいたら、自分ならグレるわ…と思います。(自分には兄がいますが、私もダメダメな人間なので、想像ですが)
そしてブラックグレーな博士は、怪人になった被験者に、サクッとやられてしまえ、と思います
演出がすごく凝っていて、めちゃくちゃ勉強になりました! ストーリーも最後まで引き付けられました。
シリアスな展開に引き込まれました。
最後の写真が悲しいけれど、良いですね。