第十五話「デフィジョンの目的」(脚本)
〇荒廃した街
俺はセナと仲間の兵士たちと共に、
車の荷台に乗っていた。
セナは遠い目をして、
窓の外をぼんやりと眺めていたが、
目が合うと心配そうな顔をした。
神崎セナ「傷はもう大丈夫なのか?」
城井奏太「ああ。春斗の治療のおかげだ」
神崎セナ「そうか・・・ 柊も命は取り留めたし、ひとまず安心した」
城井奏太「なあセナ・・・俺は、 デフィジョンが孵化するところを見た」
城井奏太「だが生まれたばかりのデフィジョンは すぐに死んだ」
神崎セナ「・・・・・・」
城井奏太「奴らはこの地球で 何をしようとしているんだ?」
城井奏太「繁殖して、地球を完全に支配することが 目的なのか?」
神崎セナ「・・・・・・」
城井奏太「セナ?」
神崎セナ「・・・いずれにせよ本来群れないはずの デフィジョンが群れ始め、 一か所に集まりつつあるのは確かだ」
城井奏太「集まるってどこに?」
神崎セナ「あそこだよ」
〇荒廃した国会議事堂
セナは遠くに見える建物を指さした。
それはボロボロだったが、
よく見慣れた建造物だった。
城井奏太「あれって・・・国会議事堂か!?」
神崎セナ「日本政府が機能していたのは、一年以上前になるがな。今はデフィジョンの巣だ」
城井奏太「あんなところに・・・」
〇荒廃した街
車から降りてビル街を進むと、
小さな電話ボックスの前に着いた。
神崎セナ「ここだ」
城井奏太「え? ここ? 最前線の基地っていうから、 もっとこう──」
神崎セナ「いいから中に入れ」
セナに押されるようにして、
小さなボックスの中に入る。
ガタンという大きな音を立てて、
ボックスごと地下へと降り始めた。
城井奏太「これは・・・!」
〇地下の避難所
ボックスのドアが開くと、
そこには高い天井の空間が広がっていた。
城井奏太「地下にこんなところが・・・」
神崎セナ「元々地下鉄だったところを改良したんだ。 入り口を小さくしているのは、 大型のデフィジョンの侵略を防ぐためだ」
左右に多くのテントが並び、
傷ついた兵士たちが治療を受けていた。
どの兵士も満身創痍であることが
見てとれた。
神崎セナ「ここにいる兵士は100人に満たない。 何度も戦場に出ては、 ああして傷ついて帰ってくる」
城井奏太「・・・・・・」
神崎セナ「もう限界は近いんだ」
セナが帰還したことに気づくと、
兵士たちが背筋を伸ばして敬礼する。
それはセナがここの絶対的な
リーダーであることを物語っていた。
神崎セナ「奏太・・・大事な話がある」
城井奏太「・・・・・・?」
〇テントの中
城井奏太「爆破、計画?」
神崎セナ「デフィジョンが一か所に集まっているのは 逆にチャンスだ」
神崎セナ「あの巣の一番奥に爆弾を仕掛けて、 一網打尽にする」
城井奏太「でも上級のデフィジョンが ウヨウヨしてるんだろ?」
神崎セナ「ああ。もしかしたら、上級のさらに上、最上級のデフィジョンがいる可能性もある。 命がけのミッションだ」
城井奏太「だったら、俺も同行させてくれ。 セナの力になりたいんだ」
神崎セナ「・・・・・・」
城井奏太「俺の実力を認めてくれたんだろ?」
神崎セナ「ああ・・・ だからこそ、ここの護衛を頼みたい」
城井奏太「!?」
神崎セナ「そのためにお前をここに連れてきた」
城井奏太「ちょ、ちょっと待てよ! なんだよ、それ!」
神崎セナ「作戦には精鋭部隊を連れて行く。 ここは手薄になる。もし何かあれば──」
城井奏太「ふざけんな!」
思わずセナの襟首を掴んでいた。
細くか細い身体は、近くで見るほど
普通の女の子そのものだった。
神崎セナ「いい加減に目を覚ませ。 私は、お前に守られていた昔の私ではない」
城井奏太「・・・っ!」
神崎セナ「敵の巣に連れて行って、 お前を守れる自信もない。 3年前もお前を守れなかった」
城井奏太「守れなかった・・・? どういうことだよ、それ」
神崎セナ「・・・・・・」
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