忘れ去られた世界の君へ

YO-SUKE

第十四話「長期戦」(脚本)

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〇地下広場
  柊はレーザーガンを連射しながら、
  アビオたちを一手に引き付けてくれた。
  その隙をついて、
  デフィジョンに攻撃をした。
  こちらが近づくと
  大きな爪を振り上げてくる。
城井奏太「くそっ! 距離を取って戦うしかない。 柊・・・持ち応えてくれよ」

〇地下広場
  何十分・・・
  いや何時間が経過しただろう。
  上級のデフィジョンと戦い続けた。
  少し離れた場所で、時々アビオが
  吹き飛ばされているのが視界に入る。
  柊もまだアビオと戦い続けているのだ。
デフィジョン「グ・・・ギ・・・ギギ・・・」
城井奏太「お前も・・・もう、限界なんだろ? さっさとくたばってくれよ」
デフィジョン「グ・・・ギィヤァァァ!」
  デフィジョンが突進してくる。
  転がりながらそれを避け、奴の背後に
  回ると膝の裏めがけて連射した。
  デフィジョンが、
  バランスを崩して膝から崩れ落ちた。
城井奏太「今だっ!!」
  奴の上に飛び乗った。
  しかし次の瞬間、デフィジョンは
  羽を広げると上空に飛びあがった。
城井奏太「羽!? と、飛べるのか!!」
  デフィジョンは、暴れ馬のように動き回り
  あちこちの壁に身体をぶつける。
  振り落とされないように、
  必死にしがみついた。
デフィジョン「ガ、ガギ、ギャギャ!!!」
城井奏太「この化け物が・・・! いい加減にしがれ!!」
  デフィジョンの首元に直接銃口を
  突き付けると、ゼロ距離で連射をした。
  奴は断末魔を上げて地面に墜落した。
城井奏太「ハァ・・・ハァ・・・ ようやく倒した・・・ 早く柊のところに行かないと」
  倒れているデフィジョンに背を向けて
  歩き出すと、脇腹に鋭い痛みが走った。
城井奏太「・・・っ!?」
  脇腹にデフィジョンの爪が
  深く刺さっていた。
城井奏太「まだ生きてたのか・・・!」
  レーザーガンを取り出すと、
  奴の頭が粉々になるまで撃ち続けた。
城井奏太「これで終わりだぁぁ!!」

〇地下広場
  脇腹から溢れてくる出血を
  懸命に抑えながら柊を探した。
  あちこちに、
  殺されたアビオが転がっている。
  その数はゆうに100体を超えていた。
  死体の山から突然手が伸びてきた。
城井奏太「!? アビオがまだ生きて──」
柊ノボル「俺だ・・・! ここにいる・・・」
  死体の山から、ボロボロに傷ついた
  柊の身体を取り出した。
城井奏太「こ、これ・・・ 全部お前が一人でやったのか?」
柊ノボル「他にいねえだろ、バカが」
城井奏太「こんなボロボロになるまで・・・」
柊ノボル「それより倒したのか、あいつを」
城井奏太「・・・ああ。なんとかな」
柊ノボル「ククッ・・・ お前、見かけによらず強いんだな」
城井奏太「うるさい。一言余計だ」
  柊の手を握ろうとして、柊の左腕が
  なくなっていることに気が付いた。
城井奏太「! お、お前、腕は・・・!?」
柊ノボル「くれてやったよ。こいつらに」
城井奏太「くっ・・・!」
柊ノボル「世話になったからなぁ、こいつらには」
城井奏太「?」
柊ノボル「足をどけてやってくれ。お前が踏んでいる アビオは俺の部下だった男だ」
城井奏太「なっ・・・!」
柊ノボル「俺のせいで、戦場でたくさん死なせちまったが・・・少しは弔いになったかな」
城井奏太「あんた、やっぱり仲間を撃ったこと 後悔してるんじゃないか?」
柊ノボル「・・・・・・」
城井奏太「あんたは仲間想いのいい奴だ。 出会ったばかりの俺を命がけで助けてくれた。仲間を殺したのも事故だったんだろ?」
柊ノボル「違う・・・俺はな、逃げ出したんだ。 自分が生きるために、 仲間を犠牲にして逃げたんだよ」
城井奏太「じゃあなんで今回は逃げなかったんだ?」
柊ノボル「お前の・・・背中が見えた」
城井奏太「背中?」
柊ノボル「セナさんの背中に似ていた・・・ 敵がどんなに巨大でも、 現実がどんなに残酷でも、」
柊ノボル「逃げずに立ち向かう・・・ 強い背中だ」
城井奏太「俺は・・・」
柊ノボル「最後に、お前みたいな無鉄砲な奴に 会えて良かったよ・・・」
  柊はそう言うと、弱々しく目をつむった。
  俺はおもむろに柊を抱きかかえた。
柊ノボル「!? お前、何やってんだ」
城井奏太「こんなとこで・・・死なせるか。 弔いだって言うなら、奴らをこの星から 駆逐するまで戦い続けろ」
柊ノボル「・・・・・・」

〇地下道
  柊を背負って基地へと戻っていた。
  柊はまだ生きている。
  早く手当てをすれば
  間に合うかもしれない。
城井奏太「こんなとこで・・・死ぬなよ」
  だが目はかすみ、足の感覚もなかった。
  デフィジョンにやられた脇腹から、
  大量の血を流して足元に流れている。
  自分が前に進んでいるのかさえ、
  自信がなかった。
  だから目の前に人が立っていることにも、
  すぐには気付かなかった。
高島春斗「本当に倒したのか・・・二人で」
城井奏太「春・・・斗?」

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次のエピソード:第十五話「デフィジョンの目的」

コメント

  • 柊のアニキが無事でよかった😭
    奏太とセナが再会できたのもよかった。最前線で戦うのはハードルが高そうだけど、これからの奏太が気になりますね。

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