第8話 ウェディング・チェリー誕生!②(脚本)
〇可愛らしい部屋
林檎は大きなぬいぐるみを抱きしめて、ベッドに寝転がり天井を眺めていた。
朝陽林檎「・・・・・・」
〇公園のベンチ
苗場桜「恋してるから、愛してるから結婚して幸せになったんでしょ」
苗場桜「愛がずっと続くなら、離婚した人たちの愛はどこへ行ったの? 教えてよ!!」
〇可愛らしい部屋
朝陽林檎「答えてあげられなかった・・・」
コン、コン
ノックの音とともにドアが開く。
林檎の母、朝陽まゆみが顔をのぞかせた。
朝陽まゆみ「林檎、なにやってるの。 ご飯冷めちゃうよ」
朝陽林檎「・・・いい。いらない」
朝陽まゆみ「・・・どうしたの、林檎」
朝陽林檎「・・・・・・」
朝陽林檎「ママは、パパと離婚したいって思ったことある?」
朝陽まゆみ「なあに、急に」
朝陽林檎「・・・愛って、いつかは消えちゃうものなのかな。私、考えたこともなかった」
朝陽まゆみ「それはまた難しい質問ねえ」
朝陽まゆみ「林檎。ママは昔も今もパパが大好き」
朝陽まゆみ「でもね、それってとても幸せなことだと思うの」
朝陽まゆみ「みんながみんな、その気持ちのままではいられないから」
朝陽林檎「じゃあ、ママの『好き』も、もしかしたら消えちゃうかもしれないの?」
朝陽林檎「・・・そんなの悲しいよ」
朝陽まゆみ「たとえふたりの間から愛が消えたとしても、それでも愛は──想いは繋がっていくってママは思う」
朝陽林檎「なんで? ふたりの気持ちが離れちゃったら──」
朝陽まゆみ「あなたがママとパパの愛の証なんだもの」
朝陽林檎「私が・・・証?」
朝陽まゆみ「そう。私たちの愛を受けて生まれた林檎は、間違いなくママとパパの愛の証」
朝陽まゆみ「そうやって愛は受け継がれていくんだってママは思うよ」
朝陽林檎「私が、パパとママの・・・」
朝陽まゆみ「そんな悲しい顔しないで。 ママも泣きたくなっちゃう」
まゆみは林檎をそっと抱き寄せた。
朝陽まゆみ「愛だなんて、林檎も生意気なこと言うようになったのね。あんなにちっちゃかったのに」
朝陽林檎「・・・ママ。ありがとう」
朝陽林檎「・・・・・・」
朝陽林檎「ちょっと出かけてくる!」
朝陽まゆみ「え!? なに言ってるの、こんな遅くに?」
朝陽林檎「悩んでる友達がいるの!」
〇おしゃれなリビングダイニング
苗場桜「今日はふたりの好きなハンバーグにしてみました!」
苗場美樹「わぁ~、もう私より料理上手いんじゃないの、これ」
苗場大地「すごいな、桜」
苗場桜「えへへ」
苗場美樹「・・・桜、いつもありがとね」
苗場桜「気にしないの、ママ。 パパもいつもお仕事お疲れさま」
苗場桜「ふたりが頑張ってるんだから私も応援するよ。だって家族だもん!」
苗場大地「そうだな」
苗場美樹「・・・ええ」
「・・・・・・」
苗場桜「さ、冷めちゃうから早く食べようよ! いただきます!」
苗場桜「どう、かな?」
苗場大地「うん、美味い」
苗場美樹「んー! 桜、また腕上げたねえ!」
苗場桜「良かったぁ。ほかになに食べたい? なんでも作るよ!」
苗場大地「桜。料理もいいけれど、俺としては勉強を頑張ってほしいな」
苗場桜「えっと、勉強も頑張ってるよ?」
苗場大地「成績、下がっているだろう」
苗場桜「・・・ごめんなさい」
苗場美樹「ちょっとパパ、桜は私たちの為に頑張ってくれてるのに、そんなこと──」
苗場大地「美樹、やっぱり苗場生花店は畳むべきだと思う」
苗場桜「パパ・・・?」
苗場美樹「・・・大地くん、今はやめよう」
苗場大地「桜が犠牲になっているって、君はわからないのか?」
苗場美樹「犠牲って──なにそれ」
苗場桜「ママ!」
苗場大地「この子がどんどん料理が上手くなって、家の事が何でもできるようになって、何も思わないのかって言っているんだ」
苗場美樹「思うわ──感謝してる。桜が応援してくれるから、もっと頑張ろうって思えるの!」
苗場美樹「それを犠牲だなんて・・・!」
苗場美樹「このお店は私だけじゃない、桜の生まれ育った場所でもあるのよ」
苗場美樹「なんで残したいって気持ちわかってくれないの!?」
苗場大地「それで君が家事を疎かにしてどうする!」
苗場美樹「私だってできる限りのことはやってるわ! そういうことはあなたも家のことやってから言ってよ!」
苗場桜「パパ、ママ! ね、ご飯食べようよ!」
苗場大地「俺だって家の事をやってるだろう。 少なくとも君以上には!」
苗場美樹「私がなんにもやってないって言うの!?」
- このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です! - 会員登録する(無料)
愛し続けることは、時として無情な悲しみへと変貌する…
闇に呑まれてしまった心は、再び光を見つけられるのか…
令和の時代に愛天使が復活するのは非常に驚きましたがここから発展することを心から願っています。