ここが俺(私)の蔵杏大学

萩野 須郷

エピソード8〜期待と失望 分かれる明暗〜(脚本)

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萩野 須郷

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〇華やかな寮
  〜0:20 蔵杏大学 校門前〜
「・・・全く・・・」
学長バルバロッコ「上田!!貴様は、一体、何をやっとるんじゃーーーーーーいっ!!」
上子「すみません!本当に申し訳ないです!全て私が悪いのですハイ!!」
学長バルバロッコ「こんな大事な戦いに、がっつり遅刻した挙げ句・・・」
学長バルバロッコ「敵を追い詰めたのに、最後の最後で逃げられた、じゃと〜〜〜!?」
上子「ひええええ〜〜〜〜ほんとに返す言葉もないです、ハイ!!悪かったと思ってます、ハイ!!」
上子「せっかく、魔法使い本体を少しの時間気絶させたのに・・・」
上子「モタモタしてたせいで、相手の逃走を許してしまいました・・・!!」
シキブ「はあ。本当、聞けば聞くほど呆れますわ」
シキブ「あなたが来るまで、私たちがどれほど苦労していたか・・・今からあなた自身の身体で体験してみますか?え?」
上子「ぐふう・・・も、もう勘弁して下さい・・・」
上子「今の俺は魔法を出せないので・・・防御すら出来んのです・・・ハイ」
シキブ「あら、それは都合が良いですわ。思う存分ぶん殴れますし」
学長バルバロッコ「そうじゃな。ささ、上田遠慮せず、サンドバッグ役を続けとくれ」
上子「怖い!!マジで怖いわこの2人!!」
「・・・悪いのは、新入りだけじゃないです」
リオ「私が・・・新入りにちゃんと的確に指示をしていれば。こんなことにはならなかったんです」
リオ「私はあの場にいたのに、何もできなかった。新入りは積極的に魔法で攻撃していたのに・・・」
リオ「ただ・・・見てるだけだったんです!!」
学長バルバロッコ「・・・そうじゃな。今回はリオにも非がある」
学長バルバロッコ「敵の目の前で敵から目を離し、くだらんやりとりをするなどもっての外じゃ」
学長バルバロッコ「相手が不審な動きをしないように、確実に捕縛して、完全に行動不能にしておくべきじゃったな」
学長バルバロッコ「それは、上田よりも戦闘経験のあるリオ、お前があの場で、上田に教えるべきじゃった」
学長バルバロッコ「・・・まあ、あまりお前を表の戦いに出したことはないがの」
リオ「・・・・・・・・・・・・ッ!!」
シキブ(・・・学長、今日はいつになく厳しいですわね)
シキブ(大好きな孫にもきつい言葉をかけるなんて・・・)
シキブ(きっと、それほど今日の戦いが、学長にとっては重要だったのでしょう)
学長バルバロッコ「とりあえず、今日はみんなもう帰るんじゃ」
学長バルバロッコ「今後のことについては、明日また学長室で話し合おう」
学長バルバロッコ「16時に集合じゃ。・・・良いな?」
シキブ「・・・わかりました。それでは、失礼しますわ」
リオ「・・・本当にごめんなさい・・・」
上子「・・・学長。俺・・・」
学長バルバロッコ「・・・わしは、どうやら貴様を過大評価していたみたいじゃ」
学長バルバロッコ「まあ、最初から何でも完璧にできる奴はおらんのじゃがな」
学長バルバロッコ「しかし、今日の件については、貴様に失望した」
学長バルバロッコ「上田、忘れるな。貴様はあくまで「特別枠」じゃ」
学長バルバロッコ「わしの決断1つで、貴様を入学させることも退学させることもできる。・・・良いな?」
上子「・・・わかっています」
上子「でも俺、このままあっさりと引き下がるつもりはありません」
上子「リオ先輩は悪くない。俺が真剣にこの戦いに向き合っていなかったから、敵を逃しただけなんです」
上子「だから、例え退学になったとしても。・・・この件に介入し続けますよ、俺は」
学長バルバロッコ「・・・・・・・・・・・・フッ」
学長バルバロッコ「安心せい、貴様を退学にはせんよ」
学長バルバロッコ「貴様にはがっかりしたが、だからと言って見限ろうとは思っていない」
学長バルバロッコ「良い目をするようになったな。・・・焚き付けて正解じゃったわい」
上子「・・・も・・・もしかして俺を試してたんですか?」
学長バルバロッコ「そういうことじゃ。指導者は、アメとムチを使い分けないといけないからのう」
学長バルバロッコ「特に貴様は当事者意識が足りん。じゃからちょーっときつく言う必要があっただけじゃ」
上子(「ちょーっと」ねえ・・・)
上子「でもそしたら・・・リオ先輩は大丈夫なんでしょうか。大分落ち込んでましたけど・・・」
学長バルバロッコ「・・・リオはわしの孫じゃ。正直今まで、少し甘やかしすぎた気もするんじゃよ」
学長バルバロッコ「だから、どこかで釘を刺す必要があったんじゃ」
上子「・・・その釘、貫通している気がしますけど・・・」
学長バルバロッコ「ぐっ・・・流石にやりすぎたか・・・」
学長バルバロッコ「まあ、リオには後でわしからフォローしとく」
学長バルバロッコ「だから貴様は、聖裁大学の件を解決することだけを考えればそれで良い」
上子「はあ・・・わかりました」
学長バルバロッコ「貴様は強い。このわしがそう言うんじゃから、間違いない」
学長バルバロッコ「わしは信じとるよ。貴様がその強さで、聖裁大学も、蔵杏大学も救ってくれると」
上子「・・・シキブ先輩も言ってましたけど、学長って俺に結構肩入れしてますよね」
学長バルバロッコ「まあな。肩入れするだけの価値が貴様にはある・・・ということじゃ」
学長バルバロッコ「上田。わしは貴様にこれだけ期待をかけとるんじゃ。だから、もう失望させるでないぞ」
上子(プレッシャーだなあ・・・)

〇豪華な部屋
  〜0:40 聖裁大学 学長室〜
学長「・・・ふふ・・・今日はどうなったかな・・・」
学長「まあ、いつも通りの大成功を収めていることだろう」
学長「これで蔵杏大学が大きく傾くのは確実・・・ククッ、ハハハハハッ!!」
「・・・が、学長・・・」
学長「・・・おお、レイ、帰って来たか。・・・ん?」
学長「お前・・・何でそんなにボロボロなんだ?一体何が・・・」
レイ「も、申し訳ありません、学長・・・」
レイ「学長に言われた、蔵杏大学の破壊・・・・・・達成できませんでしたわ」
レイ「誠に申し訳ございま・・・」
レイ「きゃっ!!」
学長「・・・貴様・・・そんなくだらない報告をするために・・・わざわざここに帰ってきたのか・・・?」
学長「何もできず、のこのこと俺様の前に顔を出したというのか・・・?」
学長「この出来損ないがァ!!」
レイ「・・・ご、ごめんなさい・・・」
レイ「でも・・・私のベイビーちゃんも、いっぱいやられちゃったから・・・だから・・・」
学長「言い訳するな!!単にお前の実力不足だろうがァ!!」
学長「てめぇの粘土細工に一体いくらのお金をかけていると思ってるんだ!!」
学長「魔物を作る場所・・・作る職人・・・俺は、お前のために全てを用意した!!」
学長「それなのに・・・。俺が命令したことを、ちゃんとこなせられないのか!!」
レイ「うぐっ・・・ひぐっ・・・で、でも学長、聞いて下さい・・・」
レイ「蔵杏大学には、私たちが知らない新入りがいたんです・・・!」
レイ「そいつの強さは、他の魔法使いとは別格でした」
レイ「そいつについては、何もデータを持っていなかった!だから、私は負けたんで・・・」
学長「・・・データ、データと・・・」
学長「お前は、データがないと何もできない奴なのか?」
レイ「ち、違・・・」
学長「言い訳するな・・・この醜い女めッ!!」
学長「・・・お前のその仮面の下を見るとイライラする。・・・当時を思い出してしまう・・・」
学長「そんな醜い存在のお前を、俺は今まで育ててやったんだぞ!!父親からも、母親からも捨てられたお前を!!」
レイ「わ、わかっています・・・。誰からも見捨てられた私を拾ってくれたのは・・・あなただけだった・・・」
学長「そうだろう。だからお前は俺のための働く義務がある」
学長「お前は俺のものだ。俺の言う通りにただやっていれば良いんだよ!!」
レイ「はい・・・わかりました・・・」
学長「・・・すまない、少し取り乱したようだ」
学長「今後のことについては俺が考える。明日の朝、またここに来い」
学長「今日はもう帰れ」
レイ「わかりました・・・失礼しますわ・・・おじいさま」
学長「・・・・・・くそっ・・・何で・・・」
学長「何で・・・よりにもよってあいつなんだ・・・!!」
学長「あいつの仮面の下を見るたびに思い出す・・・俺の・・・俺の・・・」
学長「・・・・・・くそがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

次のエピソード:エピソード9〜絶望を誘う再会〜

コメント

  • おーっシリアス回!激しい戦いの後の緊張感の残る空気で。聖裁大学側は、何やら不穏な闇を抱えた様子で詳細が気になりますね!

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