ここが俺(私)の蔵杏大学

萩野 須郷

エピソード7〜蔵杏大学vs聖裁大学〜(脚本)

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萩野 須郷

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〇豪華な部屋
  〜聖裁大学 学長室〜
???「・・・では学長。今夜も、蔵杏大学に行ってきますね」
学長「・・・ああ。よろしく頼むぞ」
学長「今夜は、いつも以上に派手にやってもらおうではないか」
学長「講義室を数カ所破壊してこい」
学長「それと、大学敷地内の道路も粉々にするんだ」
学長「ククッ・・・一夜にしてそんな状況になったら、蔵杏大学の学生たちはどんな反応をするかな・・・」
???「きっと、混乱して恐怖に怯えるに違いないですわ」
???「クスクスクス・・・自分が作ったものを破壊されて絶望する顔・・・想像しただけでゾクゾクしますわ・・・」
???「では私は、地下室に行ってベイビーたちを起こしてきますね」
学長「ああ。・・・思う存分、ベイビーを暴れさせてこい」
学長「・・・バルバロッサ・・・今夜だ・・・今夜こそ・・・」
学長「お前の大学も、お前たちも・・・終わりにしてやるッ・・・!!」

〇華やかな寮
  〜21:50、蔵杏大学敷地内〜
「グルルルル・・・」
「・・・よしよし。ベイビーたちは、今日も元気ですね」
「暴れたいです?早く何かを噛みちぎりたいです・・・?」
「グルルルル・・・」
「クスッ。素直な子たちですわね。でも待って・・・」
「学長室に、僅かですが明かりが見えますわ。きっと、あの学長が仲間を連れてきていますのね」
「・・・私のベイビーと、戦うつもりですか・・・。私が用意したベイビーに、敵うわけないのに・・・」
「全く、学習しない子たちには苦労しますねえ・・・?」
「クウウウン・・・」
「まあ、良いですわ。そんなにやられたいのなら・・・」
レイ「身も心もボロボロにするまで、徹底的に追い詰めるまでですわ」
魔物「ガルルルル・・・」

〇校長室
  〜21:55 蔵杏大学 学長室〜
学長バルバロッサ「・・・よし。これで集まったな」
学長バルバロッサ「・・・上田以外」
シキブ「全く。あの新入りは一体どこで道草食ってますの」
リオ「それとも、もう関わりたくないと思ってすっぽかした・・・とか」
学長バルバロッサ「あいつのことじゃ。どうせ、ちょっと仮眠取ろうと思ったらがっつり寝ちゃった、とかじゃろ」
学長バルバロッサ「全く。今夜は、上田がいること前提での戦いじゃったのに」
シキブ「ま、構いませんわ。あの新入りには後で私の方から釘を刺しておきます。ええ、しっかりとね」
学長バルバロッサ(・・・上田、南無三)
シキブ「ところで、どうします?上田さんが来ないとなると、いつもと同じ作戦で行きますか?」
学長バルバロッサ「・・・いや・・・。今回は、わしが一手に魔物の相手を引き受ける」
学長バルバロッサ「リオとシキブの2人で、魔法使い本体を探して捕らえてくれ」
リオ「・・・おじいちゃん、1人で大丈夫なの?」
学長バルバロッサ「大丈夫じゃないが・・・いつもと同じ作戦で行っても、結果はきっと同じじゃからな。こうするしかあるまい」
学長バルバロッサ「じゃから、今夜は短期決戦のつもりで行ってほしい。2人とも、よろしく頼むぞい」
シキブ「・・・わかりましたわ。なるべく早めに本体を見つけます」
学長バルバロッサ「・・・来たの」
リオ「結局、あの新入りは来なかった・・・か」
学長バルバロッサ「もう良いじゃろ、上田のことは。わしらはわしらのやれることをやるだけじゃ。・・・では行くぞ、2人とも」
シキブ「・・・はいっ!」
リオ「今日こそは・・・私たちが・・・勝つッ!!」

〇野球のグラウンド
  〜23:10 蔵杏大学 グラウンド〜
学長バルバロッコ「ファイアーーーーーーー!!」
学長バルバロッコ「はあ、はあ、やはり・・・キリがない・・・!!」
学長バルバロッコ「流石にこの数の魔物相手に、1人で戦うのは無謀じゃったか・・・?」
魔物「グルゥアアアアアアアア!!」
学長バルバロッコ「このっ・・・いちいち、しつこい・・・ぞい!」
魔物「ギャアアアアア・・・」
学長バルバロッコ「これで、数十体はもう倒したはずじゃが・・・」
「ガルルルル・・・」
学長バルバロッコ「まだまだ戦いは終わらんようじゃな・・・」
学長バルバロッコ(シキブ・・・リオ・・・どうか、早く・・・本体を見つけてくれ・・・!!)

〇田舎の空き地
  〜23:40 蔵杏大学裏 空き地〜
「ガルゥアアアアア・・・!!」
シキブ「もう・・・私の、進む道を・・・塞がないでくださいましっ・・・!」
シキブ「早く本体を見つけないといけないのに・・・この魔物たち、本当に邪魔ですわ・・・!!」
「シキブ先輩!!いましたよ!!」
リオ「本体を、見つけました・・・!大学の校門付近です!!」
シキブ「何ですって!?まさか・・・そんな単純な場所にいるなんて・・・」
シキブ「これが灯台もと暗し、ってやつですのね。・・・悔しいですわ・・・」
シキブ「ですが、見つかったのならあとはこっちのもんですわ。リオさん、一足お先に行って下さいまし!」
シキブ「本体が変な動きをしないか見張ってて下さいですの!私もすぐに向かいます!!」
リオ「わかりました、先にテレポートで行ってます!!」
シキブ「・・・さて。私はまずここを片付けませんと・・・」
「グルルルル・・・」
シキブ「別に放っておいても良いのですが・・・それでは学長の負担が大きくなってしまいますわ」
シキブ「ですので、なるべく撃破しながら校門へ向かいますわよ」
シキブ「・・・だから・・・」
シキブ「てめぇら・・・痛い目見る覚悟で、かかってこいよ・・・!!」

〇華やかな寮
  〜23:40 蔵杏大学 校門前〜
「はあ、はあ、はあ・・・・・・」
上子「やばい、盛大に、遅刻した・・・!!」
上子「確か、夜の10時に学長室だったよな?うへえ・・・もう夜の12時前じゃん・・・」
上子「疲れたから、ちょっと横になろうと思ったら・・・そのまま、ベッドで寝ちまった・・・!!」
上子「やばい、殺される・・・学長と女性陣から潰される・・・!!」
上子「・・・げ。これって、もしかして例の魔物の鳴き声・・・?」
「ウウウウウウ・・・」
上子「嘘だろ・・・これが、粘土で作った魔物だって言うのか・・・?」
上子「どう見ても普通のゴリラだろ!どんだけ作る技術神がかってんだよ・・・!」
魔物「ガルゥアアアアアア!!」
上子「わ、ちょ、来るな!!・・・はっ、そうだ!」
上子「確か、俺のポケットに・・・」
上子「ええーい!!これでもくらえー!!」
魔物「ウガッ!?」
「ウッホホ〜〜〜イ!!」
上子「う、嘘だろ・・・まさか、本当にバナナで釣れやがった・・・」
上子(魔物って意外と単純なのかな?)
「はふぅ〜〜〜!!バナナ!バナナですわ〜〜〜!!」
上子「・・・ん?聞き慣れない声だな・・・この声は一体・・・?」
レイ「どうして〜〜どうしてこんなところにバナナが落ちてるの〜〜〜!?」
レイ「もしかして、学長から、頑張っている私への差し入れですか〜〜!?嬉しすぎる!!」
レイ「こーら、ベイビーちゃん、独り占めしないでくださいまし!私にもちょうだい!」
魔物「ウウウウウ・・・」
レイ「よしよし、良い子ですわね〜!後で思いっきり撫で撫でしてあげますわ!!」
上子「・・・・・・・・・・・・あの。あなたは一体・・・?」
レイ「・・・・・・・・・・・・。えーと、あなたこそ、誰ですの?」
「新入り!そいつよ、そいつが例の本体よ!!」
リオ「魔物を遠隔操作する、聖裁大学の魔法使いよ!」
上子「・・・え・・・えええ〜〜〜〜!?」
リオ「早く、あなたの魔法でこいつを気絶させて!!」
リオ「そうすれば、操られている魔物も機能を停止するはずよ!!」
上子「わ、わわわわかった・・・!!」
レイ「・・・なんてこと・・・ベイビーちゃん!私を守って!!」
魔物「ガルゥアアアアアア!!」
リオ「本体を逃さないで。逃したらあんた、シキブの父から制裁受けてもらうわよ!!」
リオ「ただでさえ遅刻してみんなに迷惑かけてるんだから!!」
上子「かっ、かしこまりました!!社会的に抹殺されたくないので、やります!!」
上子「うおおおおお〜〜これでもくらえ!!俺の最大出力ッ!!」
レイ「・・・ひゃっ!?」
リオ(・・・う、嘘でしょ、この新入り・・・!!)
リオ(ここの辺り一帯の魔物も、本体も、全部・・・魔法でふっとばした・・・!!)
レイ「・・・は、はらほろひれはれ〜〜・・・」
リオ「本体が、気絶したみたいね。魔物も、消し飛んだみたいだわ・・・」
上子「・・・ひい、ふう・・・こ、これで万事解決・・・か?」
リオ「万事・・・とまではいかないけど、ちょっとは安心して良さそうね」
リオ「新入り、この子をロープで縛って。目が覚めた時に逃げられないようにするから」
リオ「私は、学長とシキブ先輩をここに呼んでくるわ」
上子「えっ、縛る!?俺が!?」
上子「そ、それはちょっと、勘弁してくださいよォ〜〜。何か俺がやると、イケナイことをしているみたいじゃないですかぁ〜〜」
リオ「いいからさっさとやれこのヘンタイ!!」
上子「ご、ごごごごめんなさいやりますっ・・・!!」
「・・・・・・クスクスクス」
「ほんと、蔵杏大学の学生って、お馬鹿さんなんですねぇ・・・」
「敵が目の前にいるのに、呑気に雑談なんかしちゃって・・・」
レイ「隙を突かれて、逃げられるかも・・・とか、思わなかったんですかぁ?」
リオ「・・・ふん、虚勢を張っても無駄よ」
リオ「今のあなたには、魔物を操る力はほとんど残ってないでしょう?」
リオ「この新入りにこてんぱんにされたのだから。あなたも、魔物もね」
リオ「それに、仮にあなたがこの場を離れたとしても、私のテレポートがあなたを逃さない」
レイ「・・・まあ、そうでしょうね」
レイ「あなたのテレポートは、何十メートルも、何百メートルも飛ぶことができますからね」
上子「こ、こいつ、どうしてそんなことを知ってるんだ・・・?」
レイ「知ってますわよ。敵を倒すためにはまず相手の情報を知ることから始める。・・・当然のことですわ」
レイ「だから私たち聖裁大学魔術部は、あなたたち魔界同好会のことも、蔵杏大学のことも、全て調べましたの」
レイ「そして、確かにあなたのテレポートは強力ですが、一方であなたに戦う力はない」
レイ「もし戦える程の腕があれば、今までの私の行いも、あなたによって止められていた筈ですからね」
レイ「・・・そうですわよね?あくまで後方支援しかできない、大学2年生の、リ・オ・さん?♡」
リオ「・・・ぐっ・・・!!」
上子「・・・リオ先輩。こいつの言うことなんて、真に受けちゃダメですよ」
上子「こいつにできることは、もう何もない。操れる魔物も、ここから逃げるだけの体力もないのだから。そうですよね?」
レイ「・・・フフッ・・・だからあなたたちは、お馬鹿さんなんですよ・・・」
レイ「言っておきますけど、私はそんなにヤワじゃない」
レイ「ボロボロになった今の状態でも・・・5、6体くらいなら、魔物を操ることができますのよ?」
レイ「しかも、あなたたちは誤解している」
レイ「・・・本当に、操れる魔物が1体もいないと・・・思ってるんですかあ・・・?」
レイ「んべっ☆」
上子「・・・んなっ、こいつ・・・」
上子「自分の口の中に、粘土を隠し持ってやがった・・・だと!?」
魔物「チュンチュンチュンチュン!!」
魔物「チュンチュンチュンチュン!!」
上子「うああああっ!ちっこいスズメ・・・!!おいやめ、目潰ししようとするな!!」
リオ「・・・くっ、こんな、子ども騙しみたいな・・・!!」
「それではさようなら、お二人とも」
「・・・おいでなさい!ベイビーちゃん!!」
上子「し、しまった!あいつ、鳥に乗って逃げる気だ!!」
上子「野郎・・・逃走用の魔物を、あらかじめ待機させてやがったのか!」
リオ「ぐ・・・逃さないわ。私のテレポートで・・・」
魔物「チュンチュンチュンチュン!!」
リオ「きゃあッ!!やめなさい、邪魔しないで!!」
レイ「今日のところは、ひとまずここまでにしますわ」
レイ「ま、私をここまで追い詰めたんですから、その点は誇って良いですわよ」
レイ(あの新入り・・・学長のデータには無かった子ですわね・・・。確か、「新入り」って呼ばれてましたけど・・・)
レイ(・・・詳しく調べる必要がありますわね)
上子「くそ、ここで逃してたまるか・・・」
上子「俺が、社会的に抹殺されるかされないか・・・この戦いには、それがかかっているんだ・・・!!」
リオ(まあそれは単純にあんたが遅刻したからだけど・・・)
上子「もう一度、魔物ともどもふっとばす!!俺の魔法で!!」
レイ(んなっ・・・!あの新入り、ベイビーたちに集中力を乱されているというのに、魔法が出せるんですの・・・!?)
レイ(ま、まずい。もう一度攻撃されたら、今度こそ私の手札が、もう・・・!!)
上子「いけーーーーーーっ!!」
上子「・・・あれ?魔法が、出ない?」
リオ「そ、それって、もしかして・・・」
リオ「コピーした力が、消えたってこと?まさか、このタイミングでタイムリミットが・・・?」
レイ「な、何だかよくわかりませんが助かりましたわ!!それではみなさん、ごきげんよ〜〜〜うっ!!」
上子「・・・・・・・・・・・・くっ・・・」
上子「くそぉぉぉぉぉぉぉぉぉ・・・!!」

次のエピソード:エピソード8〜期待と失望 分かれる明暗〜

コメント

  • シリアスなバトル回とおもいきや、1人だけテンションの違う上田。戦いの目的も1人だけ別ですしね。シリアスの中にこまめに差し込まれるコメディ要素が楽しいです

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