〇怪しげな酒場
冒険者「・・・・・・」
「なぁおっさん！」
？「俺の話し相手になってくれよ」
冒険者「構わんが・・・・・・ 見かけない顔だなお前。 新入りの冒険者か？」
？「ま、そんなとこっす！」
冒険者「・・・・・・そうか。 俺も暇していたところだ、付き合ってやる」
？「おう頼みますわ！」
冒険者「そうだな・・・・・・。 お前、死神って知ってるか？」
？「死神？」
冒険者「・・・・・・あぁ。 何でも依頼先で出くわすらしい」
？「ふーん。 どんなビジュアルなんすか？」
冒険者「・・・・・・噂では小さい子どもらしいが」
？「おーいいじゃないっすかぁ。 絶対美少女っすよそれー」
冒険者（薄々分かっちゃいたが、 こいつ何か気持ち悪いな・・・・・・）
冒険者（・・・・・・ってうん？）
冒険者「おい待て。 なぜ女だと・・・・・・」
？「え？ いやいや、単なる勘と俺の欲望から出た言葉っすよー！ ハハハッ!!」
冒険者「・・・・・・まぁその死神がいる依頼先では、死体が大量に出るらしいんだ」
？「はぇー。 他にはないんっすか？」
冒険者「他？ あぁそうだなぁ・・・・・・」
冒険者「・・・・・・あっ。 そういえば・・・・・・」
冒険者「『ナンバーワン』っていうチームのメンバーが、追放されたっていう噂があったな」
？「おー！ それ詳しく教えてくれよっ！」
冒険者（えらく食いついてきたな・・・・・・）
冒険者「・・・・・・その冒険者はな、魔法使いらしいんだがどうにも要領が悪いらしい」
？「うんうん！」
冒険者「・・・・・・んで、肝心の魔法使いが使う魔法なんだが・・・・・・」

〇黒
「何でも、『１秒』しか効果がないらしいんだ」

〇洞窟の深部
リード・ワンダーライト（数が増えてきた・・・・・・！）
ナナ「・・・・・・」
ナナ「リードさん」
リード・ワンダーライト「はい！」
ナナ「・・・・・・先ほども言いましたが、 このままだと私たちは死にます」
リード・ワンダーライト「・・・・・・はい」
ナナ「・・・・・・だからリードさん」
ナナ「あなただけでも、逃げてください」
リード・ワンダーライト「に、逃げてって・・・・・・ ナナさんはどうするんですかっ!?」
ナナ「・・・・・・」
ナナ「大丈夫です。 時間稼ぎぐらいなら、私でもできます」
リード・ワンダーライト「そういう問題じゃ・・・・・・!!」
ナナ「とにかく急いで下さい。 私なら、大丈夫ですから」
リード・ワンダーライト「あっ・・・・・・」
リード・ワンダーライト（何だよ大丈夫って・・・・・・！）
リード・ワンダーライト（確かにあなたは強い・・・・・・ それでも、 体力が持たないし武器が・・・・・・！）
ナナ「くっ・・・・・・」
リード・ワンダーライト（・・・・・・いや、 元はといえば俺のせいじゃないか・・・・・・！）
リード・ワンダーライト（何もできねぇくせに援護とかほざいといて・・・・・・！）
リード・ワンダーライト（くそ・・・・・・。 このまま逃げるしか・・・・・・ないのか!?）

〇黒
　　無能
　　お前、役立たずなんだよ
　　お前の補助魔法じゃ、
　　補助にすらなってねぇんだよ
　　測ってみたけど、
　　「１秒」しか効果がなかったね
　　1秒!?
　　それじゃあ女が満足できねぇなぁっ！
　　ハハハッ!!
　　フハッ！
　　そりゃ言えてるわ！
　　ちょっとやめてよもー。
　　リード君が可哀想でしょ？

〇洞窟の深部
リード・ワンダーライト（何でこんな時に余計なことを・・・・・・）
リード・ワンダーライト（・・・・・・）
リード・ワンダーライト（・・・・・・いや、もしかしたら）
リード・ワンダーライト（ナナさんのあのスピードなら・・・・・・）
リード・ワンダーライト（タイミングを、上手く合わせられるかもしれない・・・・・・！）
リード・ワンダーライト（こうなったら・・・・・・）
リード・ワンダーライト（それに賭けるしかない・・・・・・！）
リード・ワンダーライト「ナ、ナナさんっ!!」
ナナ「・・・・・・！」
ナナ「何をしているんですか！ 早く逃げて──」
リード・ワンダーライト「いや、逃げませんっ！」
ナナ「死にたいんですかあなたは・・・・・・！」
リード・ワンダーライト「いや、そりゃ死にたくないです」
ナナ「じゃあ尚更・・・・・・」
リード・ワンダーライト「確かに・・・・・・この魔法で失敗したら、 俺もあなたも死んでしまうかもしれません」
リード・ワンダーライト「でも俺・・・・・・このままあなたを置いていったら・・・・・・」
リード・ワンダーライト「絶対後悔します」
リード・ワンダーライト「だったら、 俺はあなたと『一緒に生き残れる』可能性に賭けたいんですっ！」
ナナ「・・・・・・」
ナナ「・・・・・・その可能性に賭けるなら、あなたは後悔しないんですね？」
リード・ワンダーライト「・・・・・・はい！」
ナナ「・・・・・・」
ナナ「・・・・・・分かりました」
ナナ「信じます」
ナナ「あなたを信じます。 リードさん」
リード・ワンダーライト「・・・・・・はい！ 信じてください！」
リード・ワンダーライト「俺が何とか合わせます！ ナナさんはさっきみたいに 【ブレイン】に突っ込んでください！」
ナナ「了解です」
リード・ワンダーライト（・・・・・・そうだ。 やるんだぞ俺・・・・・・！）