2探索(脚本)
〇シックなバー
俺はあれから必死に犯人を探したが見つからず、次第に荒んできた
児島恭介「美穂・・・一体誰に殺されたんだ」
真紀「ねぇ、体に悪いわよ恭介」
俺は近付いてきた真紀を一瞥すると俺の肩に乗せた真紀の手を邪険に振り払った
児島恭介「うっせいな、関係ねいだろお前に」
真紀「何よ人が折角心配してあげてるのに!!それに就職の内定を蹴ったんですって?どうするのよこれから」
児島恭介「うるさいなぁ全く、一人にさせてくれ」
真紀「ねぇ、うちの会社に来ない?お父様に話をつけとくわよ」
児島恭介「嫌だね」
真紀「ん、もう人が心配してるのに、何よその返事は」
俺はポケットから希少動物保護官の中途採用募集ポスターを取り出して真紀に見せた
真紀「死にたいの?恭介。保護官の半分は5年以内に死亡する危険な職業よ」
俺は自分を鼓舞しようとグラスに入ったシングルモルトのウイスキーを一気に煽った
児島恭介「それがどうした、俺は美穂の亡骸に復讐を誓ったんだ」
真紀「そんな事をしても美穂は浮かばれないし、それにドラキュラは希少動物よだから現行犯でなければ殺せないわよ」
真紀(何で私の方に振り向いてくれないの恭介、私は恭介の愛が欲しいのに)
真紀「もう美穂の事は忘れましょうよ。うちの両親も私達の結婚を望んでいるし、私だって・・・」
俺は目が座り呂律が回らない舌で真紀を指さした。
児島恭介「へぇ、そりゃどうも天下の巴財閥のお嬢様が告白ってくれるなんて」
真紀「そうよ、あり得ないことを恭介が私にさせたのよ・・・だから」
児島恭介「でもその巴財閥の同じ娘である美穂に何故墓がないんだ・・・おかしいだろ」
真紀は悲しそうにため息をついた
真紀「分かったわ・・・私も保護官に応募するわ」
児島恭介「真紀まで危ない橋を渡る事もないさ・・・これは俺の問題さ」
真紀「兎に角やめて頂戴・・・私の為にも」
俺は黙ってバーから出ていった
〇海辺の街
3年後、俺は環境省希少動物保護官の研修を終え、赴任地の二子富士宮市に赴いた。そこは海辺のリゾート地であった。
白鳥浩太郎「いいところだな・・・ここは」
白鳥彩香「ええ」
〇本棚のある部屋
俺は愛車のハマーから荷物を持って監視所の部屋に入った
PCを開くとそこに真紀の顔が現れた
児島恭介「OK、真紀。監視所に到着した」
パソコンから真紀の声が響く「その地区の監視情報を送るわね恭介」しばらくするとPC画面にドライキュラ情報が表示された。
児島恭介「あれ?この男ジャンは美穂が襲われた当時大学の周辺に住んでたドラキュラじゃなかったかな」
真紀の声がPCから聞こえてくる
???「真紀の声「まだこだわってるの恭介。もう3年も経ってるのよ男らしくないわね」」
児島恭介「復讐を誓ったんだ美穂にね」
「真紀の声「まあいいわ、それより私が研修を終えるまで何もしないでね二人一組で監視する規則よ」」
俺は思わず舌打ちをした
児島恭介「わかってるよ、全くウルサイな」
???「真紀の声「それと、この動物保護憲章にデジタルペンでサインをして」」
児島恭介「事情聴取くらいはいいだろ?」
???「真紀の声「ダメ、ドラキュラ連盟が自分たちも人類と同等の権利をってうるさいの知ってるでしょ」」
児島恭介「ドラキュラが人類だったら共食いだよな」
真紀の声「何か言った?」
児島恭介「いや、別に。それより真紀の監視所は何処なんだよ」
甘えたような真紀の声がパソコンから聞こえてくる「何処だと思う?・・・恭介の部屋よ」
俺は思わず顔をしかめた
???「真紀の声「寝室は二つあるでしょう・・・それとも一つだけ使う?・・・私としては一つがいいんだけどね」」
児島恭介「嘘だろ・・・深夜俺を襲わないでくれよな」
???「真紀の声「あら残念、ともかく私は明日の夜までにはそちらに到着するから無茶しないでねダーリン」」
〇海辺
幸せにそうな妊婦が砂浜で一人静かに本を読んでいる
ドラキュラ「こんにちは、いい天気ですね」
人妻B「ええ、本当に」
ドラキュラ「何をお読みになってるんですか?」
人妻B「嵐が丘なんですのよ・・・チョット少女趣味ぽいですわね(笑う)」
ドラキュラ「そんな事ないですよ・・・隣に座ってもいいですか?」
幸せそうな人妻は恥ずかしそうに軽く頷いた
ドラキュラ「お幸せなんですね・・・今何か月目なんですか?」
人妻B「ええ、4か月目なんですよ」
ドラキュラ「そうなんですか、でも美人だしお腹が膨れてないので妊婦とは分かりませんね」
人妻B「(顔を赤らめて)まぁ、お口がお上手なんですね・・・・・・そうやって女の子を泣かしてきたんじゃないですか(笑い)」
ドラキュラ「そ、そんな事はありませんよ・・・お腹触ってもいいですか?」
人妻B「お腹だけ・・・なら」
ドラキュラは妊婦のお腹を触り始めた
ドラキュラ「あっ、お腹の子供が動いてますね」
ドラキュラはそう言って妊婦のお腹を強く触れてきた・・・と同時に妊婦は恍惚の表情を浮かべ始めた
人妻B「あぁ、そこは・・・ダメ・・・」
突然妊婦の持っていたドラキュラ警報機が鳴り出した
児島恭介「ハーイ、ドラキュラ君そこまでだよ・・・妊婦を狙うのは希少動物保護憲章に違反するんだぜ」
人妻B「あ、あのうー彼はドラキュラ?」
児島恭介「警報鳴りましたよね奥さん・・・今回の件は公にしませんからご安心を・・・でもこれからは、ナンパ野郎に気をつけてくださいね」
慌ててその場を離れる妊婦
ドラキュラ「俺が何をしたと言うんだよ」
児島恭介「お前なぁよその国なら射殺されても文句を言えないぞ」
〇住宅街の道
人妻B「貴方は誰なの?」
ゴブリンC「おや?美味しそうな妊婦だこと・・・夜食にもってこいね」
そう言うのが早いか妊婦に襲いかかるゴブリン・・・瞬殺だった
〇住宅街の道
翌朝、現場に駆け付けた俺はその凄惨な現場に顔をしかめた
ジャン「私が発見した時は既に・・・」
児島恭介「一番怪しいのは昨日のドラキュラか?・・・射殺しておけば良かった・・・遅いじゃないか真紀」
真紀が走って近付いてきた
真紀「遅くなってごめん。でもこの死体からすると犯人はドラキュラではないみたいね」
児島恭介「何で分かるんだよ、真紀」
真紀「見てよ、この死体・・・ドラキュラは血だけを吸うし死体は恍惚の表情になるのよ」
児島恭介「本当だ・・・と言うことは普通の殺人事件か?・・・それにしてはまるで熊にでも襲われた傷だぞ」
真紀「ドラキュラ警報器も作動した様子もないし・・・変ねぇ」
児島恭介「夜の見回りを強化するしかないか・・・大変だ応援を頼もうか真紀」
ジャン「私はもう帰っていいですか?」
児島恭介「いいよ、後で事情を聞きに伺いますからよろしくねドラキュラのジャンさん」
真紀「そう言えば今夜は恭介の誕生日じゃないこの件は警察に任せてお祝いしようよ」
児島恭介「ああそうだよ」
〇アパートのダイニング
その夜、真紀は何時になく上機嫌で沢山の料理を作っていた
児島恭介「ま、マジかよ」
真紀の肌を露出させた服にを見て俺は「これが美穂なら・・・」と思わず思ってしまった
真紀「ハイ、出来たわ。食べましょダーリン」
俺は思わず真紀の豊満な胸を見詰めてしまった
真紀「何見てんの?この服気に入ってくれた?」
児島恭介「あ、うウン。素敵だね」
真紀「そうだ食べ終わったらベッドで映画を見ない?面白い映画を借りてきたんだ私」
ま、まずい・・・そんな状況になったら自分を見失いそうだ
児島恭介「そうか残念だなぁ今夜は目撃者のジャンに会うと約束したんだ・・・それじゃ」
俺はそそくさと監視所を後にした
〇商店街の飲食店
ジャンの廻りに若い女性がジャンを取り囲んでいた
児島恭介「あのう、ジャンさん?」
ジャン「ああ君か、・・・確か監視員だったよね」
児島恭介「覚えてませんか?同じゼミの児島恭介です久しぶりです」
ジャン「あぁ、白鳥ゼミの・・・へぇ監視員になったんだ」
児島恭介「チョット外のテーブルで話しませんか?」
ジャン「あぁ・・・」
児島恭介「三年前の事件当夜、どこにいらしたのか再度お伺いしたいのですが」
ジャン「白鳥教授と話をした後自宅に戻り部屋で次の講義内容を確認してましたよ。でもどうして自殺した女性の事にこだわるんだい?」
児島恭介「その女性美穂は私の婚約者だったんです──死因は失血死」
ジャン「それはお気の毒に・・・俺が犯人だと言いたそうだね・・・ドラキュラは現行犯でなければ射殺できないんだぜ」
児島恭介「まぁ、ですからこの捜査は個人的なものでしたて」
突然ジャンは俺の背後に向かって笑顔で手を振り始めた
ジャン「彼女が来たので失礼するよ」
ジャンが店から慌てた様に飛び出して来た
ジャン「ち、違う俺じゃない」
ジャンがバイクで逃走し、俺もバイクでジャンを追跡した