俺は、俺以外愛せない

イチ

エピソード2(脚本)

俺は、俺以外愛せない

イチ

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〇本棚のある部屋
  幼少期──
  俺は心にぽっかり穴があいたような日々だった
  離婚していなかった父
  母親も仕事のため全国を飛び回り、家では
  いつも1人だった
  笑っていれば周りからは可愛がられたが、
  どうせ他人──
  俺には心の拠り所がなかった
  そんなとき、鏡の中に現れた自分という存在
  笑いかければ、笑い返してくれる
  悲しい時は一緒に泣いてくれる
  俺はコイツのためにカッコよくなりたい
  そう願い、努力した
  もともとのスペックが高い上に、自分を磨いた為、この上ない肉体を手に入れた
  鏡の中の俺も満ち足りているようだった
  ──そして、俺は鏡に問いかける
  世界で一番美しいのは誰だ?
  答えはもちろん──
コトラ「ZZZZ・・・」
リュウ「どッ!!」
コトラ「あ、お兄ちゃんおはよう」
リュウ「コトラ!?」
リュウ「どどど、どうして俺のベッドに!?」
リュウ「というか、そのパンツ!!」
コトラ「なんか寒かったからお兄ちゃんの布団に入っちゃった」
リュウ「寒いのは、パンツ一丁だからだろ!」
コトラ「あ、ゴメン、パンツ返すね」
リュウ「ここで脱ぐなー!」

〇豪華なリビングダイニング
コトラ「いっただっきまーす!」
コトラ「めっちゃ美味いッ!」
コトラ「お兄ちゃん料理上手なんだね」
リュウ「体のこと考えて食事してたから、自分で作った方が効率的なんだよ」
コトラ「へぇ、俺、料理したことないや」
リュウ「食事制限とか筋トレとかしてないの?」
コトラ「ぜーんぜんッ! 大ッ嫌い!」
リュウ「・・・」
リュウ(努力なしでこのポテンシャル)
リュウ(双子でもちょっと違うのか?)
コトラ「あ、お兄ちゃん、指にケチャップついてるよ」
コトラ「ペロッ」
リュウ「ちょ、それ・・・ん」
リュウ「体ごとケチャップに入ってやろうか!?」
リュウ「いかんいかん!」
リュウ「・・・てかお前、学校は?」
コトラ「あ、通信だよ」
リュウ「通信?」
コトラ「前の学校の授業つづけたかったら、配信にしてもらったんだよ」
リュウ「?」
リュウ「とりあえずこっちでは学校に行かないってこと?」
コトラ「そーそー」
コトラ「それより!お兄ちゃん!」
コトラ「俺、バイトしたいんだけど!」
リュウ「バイト? なんの?」
コトラ「ここなんだけど」
リュウ「はぁ〜!?」

〇メイド喫茶
コトラ「おかえりなさいませ お嬢様」
女3「え、エレガント!」
女4「目に毒ですわぁ」
コトラ「あれ?みんな倒れちゃうんだけど・・・」
コトラ「なんか、間違ったのかなぁ?」
アスカ「ねぇ、あなた」
アスカ「執事喫茶でバイトしてるなんて もったいないわよ」
コトラ「お姉さん、誰?」
アスカ「あなたの魅力をもっと活かせる仕事があるから、こっちにいらっしゃい」
コトラ「あ、ちょっと!」
執事喫茶店長「いやぁ、コトラ君来てから ウチの店ウハウハだよぉ」
執事喫茶店長「グッズ作ろうかな」
執事喫茶店長「羊(執事)の毛皮を被ったコトラ君アクキー」
執事喫茶店長「って、あれ?」
執事喫茶店長「コトラ君、どこ行った?」
女3「コトラ様は大人の女性にさらわれましたわ!」
執事喫茶店長「あんだってッ!?」

〇雑居ビル
リュウ「心配でコトラの後をつけて来たけど」
リュウ「あいつ大丈夫かな」
リュウ「イジメられてはないだろうか」
リュウ「イジられては・・・」
リュウ「許せんッ!!」
リュウ「俺以外がコトラを触るなんて!」
リュウ「じゃない!」
リュウ「でもなんで、あんなコスプレみたいなこと・・・」
リュウ「俺は死んでもやりたくないけどな」
リュウ「えっ!救急車!?」
リュウ「コトラーッ!!」

〇メイド喫茶
リュウ「コトラーッ!!」
執事喫茶店長「あれ?コトラ君!?」
リュウ「今、ここに救急車が来てませんでした!?」
執事喫茶店長「あぁ、メロメロになって女の子が倒れちゃってね」
執事喫茶店長「50人くらい」
リュウ「ご、50人!?」
執事喫茶店長「ってキミ、コトラ君じゃないの!?」
リュウ「いえ、違いますけど」
執事喫茶店長「違うの? なんでもいいや、うちで働いてよー」
リュウ「いや、結構です」
執事喫茶店長「結構ってのはOKってことね」
リュウ「ちがうちがう!」
女3「コトラ様、お戻りになられたのですね」
リュウ「違うんだって!」
執事喫茶店長「早速着替えて、着替えて!」
リュウ「おい、こら勝手に服脱がすなッ!」
女3「お手伝いしますわ」
リュウ「キミ、見た目によらず力つよッ!」
  お兄ちゃーん!!
リュウ「えっ?」
リュウ「何、今の!?」
  お兄ちゃーんッ!!
  助けてーッ!!
リュウ「コ、コトラッ!?」
リュウ「コトラのテレパシー!?」
リュウ「キミ、コトラどっち行ったか知ってる?」
女3「し、知りませんわ」
リュウ「お嬢様──」
リュウ「嘘つきなお口には、お仕置きですよ」
女3「ひゃん」
女3「あ、あっちに行きまひは〜」
リュウ「ありがと」
女3「はぅ」
女3「一瞬、執事の服に見えた気が」
執事喫茶店長「ぜひ、うちに欲しい」

〇雑居ビル
リュウ「どこだッ!? コトラーッ!!」
リュウ「ん?感じる──」
リュウ「こっちか!!」

〇大企業のオフィスビル
リュウ「ここだな」
リュウ「・・・」
リュウ「69階ッ!!」

〇研究施設の玄関前
リュウ「あの、すみませんッ! 69階に行きたいんですが!」
受付「アポイントメントはございますでしょうか?」
リュウ「いえ」
受付「最高レベルのセキュリティがかかっておりますので、ない方のご案内は出来かねます」
リュウ「アポイントないんですが」
リュウ「ねぇ──」
リュウ「俺でもダメなの?」
受付「こちらIDカードでございます 左奥のエレベーターが69階直通になります」
リュウ「ありがと」
受付「私の王子様」
受付「見つけた」

〇豪華な社長室
リュウ「コトラはどこだッ!!」
アスカ「なによ、あなた!」
アスカ「どうやってここに入って来れたの!?」
リュウ「人には言えないことも、コトラの為になら出来るんだよッ!」
アスカ「なるほど、コトラを取り返しに来たのね」
アスカ「もう遅いわ」
リュウ「なにッ!?」
リュウ「コトラに何をしたッ!?」
アスカ「ふふ、いいこと、よ」
リュウ「くそッ!羨ましいッ!!」
リュウ「じゃない!」
リュウ「コトラになにかあったら、ただじゃおかないからな!」
アスカ「威勢のいいこと・・・」
アスカ「って、あなた、コトラにそっくりね」
リュウ「双子の兄だからな」

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コメント

  • 双子のシンパシーがもたらす感動のファミリードラマのはずが、もう最低です!(←最上の褒め言葉) 「世界中のいい男を股に(略)」とか「夜のトリプルアクセル」とか、一言一言が心に染み入って感動してしまいますw 前話に引続きのコトラくんのブリーフ姿は、もう鉄板のお約束ですか?(ご満悦)

  • 流石です〜(大好き)
    今回も、イロイロ気になるツッコミどころが多すぎます。まず、69階にイカせないでください(笑)
    リュウの特殊能力発現にもビビりましたが、ココロの声がダダ漏れしすぎていて、鈍感なコトラでも気づかないのか心配です。
    いや、気づいたとしてもオッケーなのか、コトラよ?
    衣装のモッコリは秀逸すぎです。(これから意識してしまいそう。)

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