ここが俺(私)の蔵杏大学

萩野 須郷

エピソード5〜魔物退治に備えて〜(脚本)

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萩野 須郷

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〇校長室
学長バルバロッサ「・・・魔法、というのはな、」
学長バルバロッサ「本来、自分や他人を「守る」ために使う力じゃ」
学長バルバロッサ「じゃから、他人を襲ったり、傷つけるために使うのは好ましくない」
学長バルバロッサ「そして、むやみやたらに人前で使うものでもないんじゃ」
学長バルバロッサ「それがいつしか・・・魔法は攻撃手段の1つとなり・・・人々から恐れられ・・・」
学長バルバロッサ「そしてついには、魔女裁判などという非道なことまで行われてしまった」
学長バルバロッサ「じゃから現代は、そもそも魔法を使う者自体、ほんの一部の人間に限られておる」
学長バルバロッサ「魔法を使う者を増やそうと思えば増やせるが・・・」
学長バルバロッサ「その結末は、過去の歴史のとおりじゃ。魔法使いは悲惨な運命を辿るじゃろう」
学長バルバロッサ「現代でも、魔法使いを取り締まる国があちこちに存在しているくらいじゃからな」
学長バルバロッサ「しかし、だからと言って魔法使いがいなくなるのもそれはそれで困るんじゃ」
学長バルバロッサ「どんな力も、存在する理由がある。わしはそう思っているからの」
学長バルバロッサ「そのため、わしはこの大学で、魔法がこの世から消えないよう魔界同好会を作ったのじゃ」
学長バルバロッサ「魔法が存在しないこの国で、細々と存続させよう・・・そう思っていたのじゃが・・・」
学長バルバロッサ「・・・隣の地区にある、聖裁(せいさい)大学。そこに、魔法使いがいることがわかったのじゃ」
上田「せ、聖裁大学って・・・お金持ちが通うエリート大学じゃないですか!」
学長バルバロッサ「そうじゃ。1年前に突如できた大学。じゃがあっという間に人気を博し、今や「お金持ちなら絶対行くべき」とまで言われとる」
学長バルバロッサ「謎の多い大学で、わしも興味を持っての。リオに、大学に忍び込んで色々調べてもらった結果・・・」
学長バルバロッサ「数名、魔法使いがいることが判明した。もしかしたら、今はさらに増えているかもしれんがな」
学長バルバロッサ「聖裁大学にも、魔界同好会のような魔法を使う集まりがあった。そして、」
学長バルバロッサ「その集まりの主導者が、学長だったんじゃよ」
上田「・・・な・・・なんだか、この大学と似てますね」
学長バルバロッサ「あえて似せてるんじゃよ。わしはそう確信しとる」
学長バルバロッサ「何より、わしと聖裁大学の学長は仲が悪いからの」
上田「学長、聖裁大学の学長と関わりがあるんですか?」
学長バルバロッサ「・・・ああ。ちょっとな」
学長バルバロッサ「さて、話を戻そう。聖裁大学には、魔法使いがいた。そして、その中の1人が・・・」
学長バルバロッサ「ここ最近、わしの大学の敷地内に魔物を解き放ち、大学の設備を破壊し始めたんじゃ」
学長バルバロッサ「最初はフェンスに穴を開けたり、窓ガラスを割ったり・・・といった程度だったんじゃがの」
学長バルバロッサ「グラウンドに大穴を開けて使用できなくしたり、体育館を半壊させたり。だんだんエスカレートしてきたじゃ」
上田「うわあ・・・ひどいことするなあ・・・」
上田「この大学にまるで恨みでもあるような・・・」
学長バルバロッサ「・・・・・・相手の意図はわからんが、このままでは修理代にお金がかかり、大学の財政危機をもたらす」
学長バルバロッサ「しかも、日に日に大学生たちの不安が増し、大学自体の人気も落ちていく一方・・・」
学長バルバロッサ「・・・つまり、大学存続の危機という訳じゃ」
上田「それは・・・早く手を打たないといけないですね」
上田「相手は1人なんですよね?」
学長バルバロッサ「ああ。じゃが、その魔法使いは、魔物を遠隔操作する力を持っていてな、」
学長バルバロッサ「粘土で作った魔物を操る、といったものなんじゃが。粘土さえあれば、いくらでも魔物を作れるんじゃ」
学長バルバロッサ「しかも、操れる魔物の数も相当多い。100体なんて余裕で操れるんじゃないかの?」
上田「そ、それは・・・・・・。ずいぶん強い魔法使いなんですね」
学長バルバロッサ「そうじゃ。だから、毎晩その魔法使いを捕らえようとはするのじゃが、中々上手くいかないのじゃ」
学長バルバロッサ「わしとシキブで魔物の相手をし、リオに魔法使い本体を探してもらうのじゃが・・・なんせ敵の数が多すぎての」
学長バルバロッサ「いつも逃げられてしまうんじゃ・・・」
上田「魔界同好会って、他にもメンバーいるんですよね?その人たちに頼めば・・・」
学長バルバロッサ「・・・正直、頼みたくないんじゃ。相手が聖裁大学じゃから、あんまり多くの人を巻き込みたくないんじゃよ」
学長バルバロッサ「お金持ちエリート校に歯向かったせいで、蔵杏大学の学生のお先まっくら・・・なんてことにはなりたくないからのう」
学長バルバロッサ「だから本当は、わし1人の力で解決したかったんじゃが・・・」
リオ「何言ってるの。私はおじいちゃんの孫なんだから、おじいちゃんが困ってたら手くらい貸すわよ」
シキブ「私は、父が官房長官ですので。お金持ちのエリート?大抵の人間は、私は怖くありませんわよ」
上田「へー。心が強いなあ・・・って、」
上田「・・・かっ、かかか、官房長官んん!?」
シキブ「そうですわよ。ですから・・・」
シキブ「言葉には気をつけてくださいまし。さもなくば・・・。この国から、あなたの存在ごと消しますわよ?」
上田(笑顔が怖い)
学長バルバロッサ「そういう訳で、2人には協力してもらっておる。そして上田、貴様にも協力してもらうぞ」
上田「・・・ん?俺には強制なんですか?」
学長バルバロッサ「当然じゃろう。特別枠じゃからな」
学長バルバロッサ「特別枠の人間がどうなろうと、わしの知ったことではない」
上田「だからぁ〜〜特別特別言わないでくださいよ!!俺への扱いぞんざいすぎるだろう・・・」
学長バルバロッサ「いや〜ホント、貴様が入試試験不合格で助かったわい。合格してたら、今回の魔物退治にどう関わってもらうか悩むところじゃったし」
上田「この学長酷すぎる・・・」
学長バルバロッサ「だから、お前に拒否権などないんじゃ。よろしく頼むぞ、上田」
上田「・・・はあ。まあ、ここまで関わったからにはやりますよ、はいはい・・・」
学長バルバロッサ「よし、決まりじゃ。では早速今晩、この4人で例の魔法使いの愚行を止めるぞ」
学長バルバロッサ「夜の10時、学長室に集合じゃ」
「・・・ちょっとその前に、良いかしら」
シキブ「学長はそこの新入りに随分肩入れしているようですけど。・・・そんなに強いんですの?」
学長バルバロッサ「ああ。・・・正直、シキブよりも強いぞ」
シキブ「・・・ふうん・・・」
シキブ「上田さん、と言ったかしら」
上田「は、はい!」
シキブ「よかったら、これから私と手合わせ願えませんこと?」
上田「・・・・・・えええっ!官房長官の娘とですか!?」
上田「・・・後々変な恨み持たれそうで怖いんですけど・・・」
シキブ「安心なさい、私は父を盾にする気はありませんわ」
シキブ「ただ、同じ仲間として、力の強さを知りたいのです」
シキブ「・・・学長。構いませんわよね?」
学長バルバロッサ「・・・好きにすると良い。わしは構わんぞ」
学長バルバロッサ(シキブにはこの大学に色々援助してもらっとるからのう・・・)
シキブ「決まりですわね。では上田さん、大学の裏にある空き地に行きましょう」
シキブ「学長もリオさんも、ギャラリーとして参加してくださいまし」
学長バルバロッサ「・・・だ、そうじゃ。頑張れよ、上田」
上田「ええー・・・。あんまり気乗りしないんですけど・・・」
学長バルバロッサ「まあ、魔法使いとの本格的な戦いに備えた練習だと思えば良いじゃろう」
学長バルバロッサ「純粋な力なら貴様の方が上じゃが、経験値は圧倒的にシキブの方が上じゃからの」
学長バルバロッサ「色々学べることがあると思うぞ」
上田「・・・それもそうですね」

〇田舎の空き地
シキブ「・・・来ましたわね、上田さん」
シキブ「それでは、早速始めましょう」
シキブ「あなたの魔法は炎で、私は氷・・・。力の相性的には、私の方が不利ですが」
シキブ「まあ、それくらいのハンデならあげてもいいでしょう」
上子「ハンデ・・・ですか?」
シキブ「ええ。だって私、信じられませんもの」
シキブ「私よりもあなたの方が強い、なんて」
シキブ「あなたは確か、昨日魔法が使えるようになったばかりでしょう?」
シキブ「私とは場数が違いますわ」
シキブ「・・・センスだけでは努力に勝てないってこと、思い知らせてやりますわ」
上子(な、なんだかこの子・・・本気出してきそうだな)
上子(下手したら死ぬかも・・・)
学長バルバロッサ「・・・それでは2人とも、用意はいいかの?」
学長バルバロッサ「・・・始めッ!!」
上子(よし・・・昨日やった通り・・・魔法を出すイメージを持つんだ・・・)
上子(炎よ・・・出ろッ・・・!!)
上子「・・・あれ?」
シキブ「あらあら、何もしてこないんですの?随分余裕ですわね」
シキブ「・・・では、こちらから行きますわよ」
シキブ「はああああああああああ・・・・・・」
上子「・・・ち、ちょっと待って!!」
シキブ「・・・待ちませんわよ。勝負なんですから。すううううううう・・・」
上子「ちょ、俺、なんか魔法が・・・」
シキブ「ブリザーーーーーーードッ!!」
学長バルバロッサ「・・・・・・・・・・・・う、上田?」
リオ「・・・・・・これは一体、どういうこと?」
シキブ「・・・どうして・・・どうして・・・」
シキブ「どうしてモロに魔法をくらっているんですの!!応戦しないと・・・!!」
「・・・いんです」
シキブ「なんですの!?」
上子「魔法が・・・出ないんですッ・・・!!」
上子「昨日できたときと同じように・・・イメージしているはずなのに・・・!!」
シキブ「な・・・なんですって・・・!?」
シキブ「そんなはずありませんわ!一回使えたならば魔法は使えるはずですわよ!もう一度、イメージしてごらんなさい!」
上子「わ、わかりました・・・」
上子(イメージ・・・イメージ・・・)
上子「今度こそッ・・・魔法よ、出ろー!!」
シキブ「きゃあッ!?」
上子「・・・はあ、はあ、はあ・・・」
上子「ま、魔法・・・出たみたいだけど・・・」
シキブ「確かに出ましたわ・・・でも、」
シキブ「あなたが今出したのは、炎ではなかった」
シキブ「私と全く同じ、氷でしたわ!一体どういうことですの!!」
学長バルバロッサ(・・・ほほう。これはもしや・・・)
学長バルバロッサ(やはり上田は・・・とんでもない逸材かもしれん・・・!)

次のエピソード:エピソード6〜作戦会議〜

コメント

  • 冒頭からのシリアス回、大学間の諍いと魔法の存在について語る学長。読み応え充分である一方、みんな女装なんだよなーと思うとじわじわと笑いがww

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