《エデン》

草加奈呼

エピソード10 船旅(脚本)

《エデン》

草加奈呼

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〇海
  クイクの町 近海
  一行は、モステアで風華の神具を手に入れ、クイクから船でヒュートリーへの海路を取った。
風華「わあ、素敵! 私、船でこんなに沖まで来るのは初めてよ」
紅蓮「楽しんでもらえて良かった。 まあ、お互いゆっくりしよう」
風華「そういえば、セザックさんが言っていた けれど、紅蓮は海賊を名乗っているけど、 盗んだりはしないのね?」
紅蓮「ああ。そういうのは、何代か前で足を 洗ったらしい。時代に合わないって」
紅蓮「今は、他の商船の護衛についたり、 うちでも輸出入を行ったりしてるよ」
紅蓮「今や、クイクで一、二を争う貿易企業さ」
風華「まあ、すごい! 紅蓮は頑張ったのね」
紅蓮「いやいや、代々の努力の賜物だよ。 今だって、セザックやヴァル、仲間の みんなにめちゃくちゃ助けられてる」
「う、うう・・・」
吹雪「うう・・・ き も ち わ る い ・・・」
風華「大丈夫、吹雪?」
紅蓮(ふ、風華、 くっつきすぎだろー!?)
風華「ほら、背中をさすってあげるから、 深呼吸して」
吹雪「すぅーーーー ふぅーーーー」
吹雪「う、う・・・ 俺はもうダメだ・・・」
紅蓮(こ、この状況を打破するには・・・!)
紅蓮「吹雪、しょうがないから、これをやる! 船乗り仲間秘伝の、酔い止めの薬だ!」
吹雪「俺は、薬は飲まん!」
紅蓮「何、意地張ってんだよ!?」
吹雪「昔から、医者と薬は嫌いなんだ!!」
紅蓮「何、頑固オヤジみたいな事言ってんだ!」
風華「ま、まあまあ。 吹雪、部屋で休んできたら?」
吹雪「そうだな、そうするか・・・」
紅蓮「じゃあ、案内するよ。 風華は、隣の部屋を使ってくれ」
風華「あら、私、 一緒の部屋でもかまわないわよ?」
紅蓮「えっ? でもそれは・・・」
風華「アクイアナの町でも、 吹雪と一緒の部屋だったし」
紅蓮「な、なにーーーー!?!?」
吹雪「ちょ、おま、何言い出して・・・!」
風華「シャワーを浴びて、作戦会議をしたわ」
紅蓮「シャワーを浴びて!?」
吹雪「いや、それはだな・・・!」
紅蓮「う・・・」
風華「あら、紅蓮・・・?」
紅蓮「うおおおおおおおおぉぉぉぉーーーー!! お日様のばっきゃろーーーー!!」
風華「紅蓮、どうしたのかしら・・・?」
吹雪「さ、さあなぁ・・・」
吹雪(紅蓮、不憫だな・・・)

〇城の客室
  天候が荒れてきたため、3人は船室に入った。
  船の揺れが大きくなり、吹雪は再び気分が悪くなって寝込んでしまった。
風華「雷火だけじゃなく、他のアイ=リーン様の子孫の居場所も、わかるといいわね。 それに、カートの居場所も・・・」
紅蓮「ああ・・・。それともうひとつ。 神具の場所も必要だろ?」
紅蓮「今手元にあるのは、俺が親父から 受け継いだこいつ、フレイムセイバーと、」
紅蓮「雷光山で手に入れた、 雷火のサンダーブレード」
風華「そして私の神具、ウィンドハープね。 お兄様の神具は、わからなかったわ」
紅蓮「吹雪は・・・持ってなさそうだな」
吹雪「なんだよ、その神具って・・・」
紅蓮「おまえ、知らないのか? 魔術を封印するために必要な、 武具の事だよ」
紅蓮「この宝玉をはめると、 真の力を発揮するんだ」
吹雪「へえ・・・。 そんなお宝があるのか・・・」
紅蓮「お宝じゃないって! そりゃ、売れば多少の金額には なるかもしれないけど」
紅蓮「でもそんな風に使うために創られたんじゃ ないんだ。手に入れても絶対売るなよ?」
吹雪「はいはい・・・うっ・・・」
  急に口元を押さえ、吹雪は急いで部屋を出て行った。
風華「大丈夫かしら?」
紅蓮「・・・ったく、薬を飲まないからだ」
風華「ねぇ、紅蓮」
紅蓮「ん?」
風華「お兄様の事、聞かせてくれない?」
風華「紅蓮は、どこでお兄様と出会ったの?」
紅蓮「そうだなぁ・・・ あいつがモステアを出たのが8年前だから、そのちょっと後くらいかな」
紅蓮「クイクの海辺で出会ったんだよ」

〇海辺
  8年ほど前
  
  クイクの港町 海岸
幼き日の氷河「・・・・・・」
幼き日の紅蓮(誰だろう・・・? 見たことない子だな・・・)
幼き日の紅蓮(キレイな子だなぁ〜)
幼き日の氷河「やあ、君はこの町の子かな?」
  (※声変わり済)

〇城の客室
紅蓮「いやー。 俺の初恋、秒で終わったな!」
風華「ふふ、そうだったの?」
紅蓮「で、その後うちで住み込みで 働くようになって・・・」
風華「まあ、お兄様が!?」
紅蓮「5年くらい前かな。 母親が急病で、ラジェンダに戻りたい から辞めさせてほしいって・・・ それきりだったんだよ」
風華「あっ・・・」
紅蓮「あれ・・・? でも、氷河と風華が兄妹なら、 母親がラジェンダにいるって・・・ どういうことだ?」
風華「紅蓮・・・。 実は私たち、母親は違うの」
紅蓮「そ、そうなのか・・・ 王室って、いろいろ複雑なんだな・・・」
風華「でも、確執があったわけじゃないから、 安心して。お兄様も、何か思う所があって 城を出たんだと思うし」
風華「私は、これから先、お兄様に会えるのが とても楽しみよ」
風華「話してくれてありがとう、紅蓮」

〇西洋の住宅街
  港町ヒュートリー
風華「わあ、素敵な町ね」
紅蓮「ここに来るのは、久しぶりだな・・・」
風華「占い師を探すのよね? 見つかるかしら?」
紅蓮「まあ、人に訊くしかないだろうなぁ」
吹雪「面倒そうだな。 俺は、パスしていいか?」
紅蓮「何言ってんだよ! おまえも! 来るんだよ!」
吹雪「わかった、わかったから!」
風華「ふふ・・・」

〇占いの館
  占いの館は、すぐに見つかった。
  この町では有名らしく、宿の主人に訊ねたら道を教えてもらえた。
占い師「いらっしゃいませ・・・。 なにかお悩みでしょうか?」
  噂の占い師と水晶玉。その風貌で女性ということはわかるが、布で顔を覆われて年齢まではわからない。
紅蓮「まず、はぐれた仲間を探してほしいんだ」
占い師「最初にご了承いただきたいのですが、 物や人物をお探しの場合、 そのものに関する物がないと、 お探しすることはできません」
紅蓮「これだ」
占い師「これはこれは・・・ 大層なものをお持ちですね。 では、占ってみましょう」
占い師「見えます・・・。 ですが、とても断片的です・・・。 この剣に、その方の念があまりないようですね・・・」
紅蓮「それで、雷火はどこに・・・?」
占い師「どこかの町はずれを歩いています。 しかし、どこの町かまでは・・・。 随分と自然の多い町のようですが・・・」
風華「でも、少なくとも無事でいるという 事よね? 良かったわ・・・」
吹雪「じゃあ、次は神具か?」
紅蓮「でも、神具に関する物って・・・ なくないか?」
風華「吹雪は、神具を見た事がないのよね? 神具に関しては、無理そうね・・・」
風華「じゃあ、次は・・・」
紅蓮「ああ。いよいよ、カートの居場所だな」
風華「カート=フォルツァルの居場所を お願いします」
風華「カートに関する物は・・・ 私自身です」
占い師「わかりました。 名はカート=フォルツァル。 長い黒髪で青い瞳。年の頃は24、 で間違いありませんね?」
占い師「では、占ってみます」
  占い師は、風華の肩に触れて占い始めた。
  雷火の無事を水晶玉に映してみせた占い師
  カートの居場所はわかるのだろうか──?

次のエピソード:エピソード11 ヒュートリーの占い師

コメント

  • 紅蓮の初恋パターンに見覚えがwww
    吹雪……薬は悪いものじゃないよ!案外「苦いから」とか子どもっぽい理由だったりして。

  • 秒で初恋に破れた紅蓮、昔も今もいろいろ不憫な子w

  • 紅蓮かわえぇw
    過去も現在も(^^

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