第十一話「彩音の記憶」(脚本)
〇体育館の舞台
体育館にいた生徒たちが、
一斉に正面出口へと駆け出す。
俺は目の前に立つデフィジョンと
睨み合ったまま、
背後にいる彩音さんに声をかけた。
城井奏太「彩音さん・・・立てるか?」
桐島彩音「う、うん」
城井奏太「みんなと一緒に逃げてくれ」
桐島彩音「あんたは・・・?」
城井奏太「あいつを・・・倒す!」
桐島彩音「そんなことできるわけないでしょ!?」
城井奏太「教室に戻ればレーザーガンがある!」
デフィジョン「シャアァァァァァ!!!」
城井奏太「早く逃げろ!」
高島春斗「奏太!」
離れたところにいる春斗が叫んだ。
城井奏太「春斗!?」
高島春斗「お、俺がそいつを引き付ける! 早く教室に行ってこい!」
城井奏太「引き付けるってどうやって──」
高島春斗「いいから早く!」
城井奏太「春斗・・・」
桐島彩音「奏太! 私も行く! 急ごう!」
高島春斗「ば、ば、化け物っ! こっちだ! こっち来い!」
春斗は足をガクガクさせながら、
デフィジョンにスマホを投げつけた。
城井奏太「無理しやがって・・・! 春斗、なんとか持ちこたえてくれよ!」
〇学校の廊下
俺は彩音さんの手を握って懸命に走った。
城井奏太「彩音さんっ! 大丈夫!?」
桐島彩音「・・・・・・」
城井奏太「彩音さん!?」
桐島彩音「・・・いや、前にもこんなことが あったなって思い出して」
城井奏太「?」
桐島彩音「ううん、なんでもない・・・。 こんなときにごめん」
俺たちの前に
二体のアビオが立ち塞がった。
アビオ「ぐ・・・ガ・・・ガ・・・」
桐島彩音「な、何、この人たち・・・?」
城井奏太「残念だけど、もう死んでる。 あの怪物に操られているんだ」
桐島彩音「助けられないの?」
城井奏太「無理だ」
デフィジョン「シャアァァァ!」
桐島彩音「あの声! 化け物が後ろから追って来てる!?」
城井奏太「くそっ! 春斗は大丈夫なのかよ!」
桐島彩音「奏太、どうする!?」
城井奏太「こっちから回ろう!」
〇教室
鞄からレーザーガンを取り出した。
桐島彩音「それで・・・本当に戦うの?」
城井奏太「彩音さんは下がってて」
彩音さんは力強く頷いて窓際に向かった。
俺は教室のドアに向けて銃を構えた。
城井奏太「絶対に・・・彩音さんを守る」
神崎セナ「・・・奏太!」
城井奏太「セナ?」
神崎セナ「窓の外を見て!」
城井奏太「窓の・・・?」
〇学校のプール
窓から顔を出すと、真下にあるプールが
渦巻いて光っているのが見えた。
城井奏太「あの時と同じだ・・・!」
〇教室
桐島彩音「奏太? 誰と喋ってるの?」
城井奏太「セナだよ! セナの声がするんだ!」
神崎セナ「デフィジョンが来る。 殺される前にそこに飛び込んで欲しい」
城井奏太「待ってくれ! 本当にセナなのか? 今どこにいるんだ!?」
神崎セナ「質問はあと。とにかく逃げて。 プールに飛び込めば こっちの世界に来られる」
城井奏太「だめだ・・・! 彩音さんたちを 見捨てて逃げるなんてできない」
城井奏太「それに、俺がまたそっちの世界に行っても ここにいるデフィジョンが消えるわけじゃ ないだろ?」
神崎セナ「それは──」
城井奏太「だとしたら・・・ そっちに行くのは、あいつを倒した後だ」
神崎セナ「そんなことして、奏太が死んだら──」
城井奏太「大切な人を失うよりはマシだ!」
神崎セナ「!」
城井奏太「もう嫌なんだよ。セナも、彩音さんも、 助けられずに失いたくない。 それは、死ぬよりもずっと苦しい・・・!」
神崎セナ「奏太・・・」
デフィジョン「シャアァァァ!」
桐島彩音「奏太! 後ろっ!」
二体のアビオとデフィジョンが
教室に入って来た。
城井奏太「来たっ!!!」
先に突っ込んできたアビオの攻撃を素早く避け、後頭部にレーザーガンを撃ち込む。
二体のアビオはその場に倒れて
動かなくなった。
だがその隙をついて、デフィジョンが
俺の襟元に爪をひっかけて持ち上げた。
城井奏太「くっ・・・! 離せ!!!」
桐島彩音「奏太!」
デフィジョン「ヒュー・・・ヒュー・・・」
デフィジョンは値踏みをするように
俺を見て、長い舌を出す。
城井奏太「ば、化け物め・・・! その舌を、ぶち抜いてやる・・・!」
震える手でレーザーガンを構え、
デフィジョンの口の中をめがけて、
何発も連射をした。
城井奏太「これでどうだっ!!!」
デフィジョン「ガ・・・ガ・・・ギッ・・・」
デフィジョンは後頭部から倒れ、
動かなくなった。
力尽きて座り込むと、
彩音さんが駆け付けてくれた。
桐島彩音「大丈夫!?」
城井奏太「ハァ・・・ハァ・・・なんとか、ね」
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よかった、今回は彩音さんを守れた(´;ω;`)
春斗も無事で良かったです。向こうの世界に戻るみたいですが、どうなるのか楽しみです。