アンダーカバー・ジャスティス

武智城太郎

読切(脚本)

アンダーカバー・ジャスティス

武智城太郎

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〇開けた交差点

〇トラックのシート
兵士「こちら一号車、異常なし」

〇トラックのシート
兵士「こちら二号車、同じく異常なし」

〇トラックの荷台
  二号車の荷台の中──
リーダー「了解。引き続き警戒してくれ」
リーダー「おまえたちも気を緩めるなよ」
リーダー「地下組織が、積み荷を狙っているとの情報は確度が高い」
「はっ!」
リーダー「こんな重武装は、ウクライナ以来だな・・・」

〇開けた交差点

〇トラックのシート
兵士「危ない!!」
兵士「こちら一号車。バイクが目の前で横転した」
兵士「運転者は気を失っているようだ。ケガの具合はここからでは確認できない」
リーダー「怪しいな。罠の可能性は?」
兵士「ある。だがまだ高校生のように見える」
兵士「無視するわけにはいかない。罠でなかったら、世間から大バッシングだ」
兵士「救急車を呼び、応急処置をほどこす」

〇開けた交差点
  路上の少年は、倒れたまま動かない。
兵士「きみ、大丈夫か!?」
リザードマン「積み荷は、このリザードマン様がいただく!!」
兵士「怪人、出現!! 至急、応援を!!」
リーダー「了解、すぐに出ていく!!」
兵士「この野郎!!」
リザードマン「ん? 蚊にでも刺されたかな?」
兵士「なにっ!?」
リザードマン「おっと、逃がさねえぜ」
  後方で、凄まじい爆発音。
リザードマン「ぶっ飛んでやがる! 計画通りだな」

〇大きい交差点
  二号車は横転し、激しく炎上している。
  荷台の扉が開き、兵士たちが這い出てくる。
リーダー「全員、無事か!?」
兵士「一人は足を負傷して動けませんが、残りの五名は──」
ライデン「ククッ、なんと耳に心地よい・・・!」
ライデン「やはり生身のほうが、断末魔にいい音色を奏でるわい」
リーダー「また怪人が!!」
リーダー「くそっ!! やはりバイクのほうは囮か!!」
リーダー「全員、ただちに──」
シラハ「今朝の斬骨丸は血に飢えている」
兵士「クソッ、怪人め!!」
兵士「け、剣で弾を!?」
シラハ「手ぬるい!!」
スカル「おい、俺にも獲物を残しとけよ」
スカル「ナイスタイミング」
救急隊員「ケガ人はどこですか!」
救急隊員「怪人だ!! ひぃ!!」
  救急隊員たちは、声も残さず消失してしまう。
スカル「俺の〈闇の口〉に飲まれたら、どんな善人も地獄行きだぜ!!」

〇開けた交差点
リーダー「おのれ!! これでもくらえ!!」
リーダー「よし、やったぞ!!」
スモーク「貴様、よくも・・・」
スモーク「警備の連中は、あらかた片付いたか」
スモーク「ん? ノロマなサツにしては素早いな」
リリン「スモーク」
スモーク「リリンか、どうした?」
リリン「あのサツの車、ヤバイわよ」
スカル「ケケッ、獲物が増えたぜ!!」
スカル「うおっ!!」
スモーク「えらい火力だな」
シラハ「む、あれは!?」

〇道

〇開けた交差点
スカル「おっと、あぶねえ」
シラハ「市街地でロケットランチャーとは」
スモーク「ああ、警察もボーッとはしてないようだ」
シラハ「如何する?」
スモーク「いいものがあった」
スモーク「もう一発撃てるぜ」
スカル「そいつで、あの強化装甲は破れんだろ」
スモーク「まあ、見てろ」

〇道

〇崩壊した道
  破壊された道路を越えられず、立ち往生する。

〇開けた交差点
スカル「ヒャッハー! やったぜ!!」
スモーク「よし、積み荷の確認だ」
  足を負傷して隠れていた兵士を見つけ、引っ立ててくる。
スモーク「荷台の扉のロックを解除しろ。早くしないと、おまえも焼き殺す」
兵士「わ、わかった」
  兵士は暗証番号を打ち込んでいく

〇トラックの荷台
  引っ越し荷物でカモフラージュしているが、奥には──
  500億円相当の金塊の山。
スカル「バッチリだぜ!!」
スモーク「ハンドルも電子ロックしてあるな。解除しろ」
兵士「それは、本部の許可がないと不可能だ」
スカル「なら消えろ」
スモーク「リリン、降りて来い」

〇空
リリン「オーケー」

〇トラックの荷台
リリン「ハーイ」
スモーク「電子ロックを解除できるか?」
リリン「まかせて」

〇トラックのシート

〇トラックの荷台
リリン「OKよ」
スモーク「よし、帰還だ」
スカル「今夜は飲みまくるぜ!!」

〇開けた交差点

〇森の中のオフィス(看板無し)
  郊外にある、表向きはデザイン会社のオフィス。

〇地下に続く階段
  その地下──

〇洋館の廊下

〇大広間
ボス「諸君、よくやってくれた」
ボス「ナンバー1であるわが組織は、これでさらに盤石になった」
ボス「今夜はおおいに楽しんでくれ!」
スカル「ヒャッハー!! 最高だぜ!!」
リリン「おいしい♪」
ガーディアン「ボス・・・」
ボス「ああ、そうだったな。ライデンは惜しいことをした」
ボス「その代わり、リザードマンが大活躍をしてくれた」
ボス「今後をになう若きホープだ。幹部入りも時間の問題だろう」
リザードマン「ありがとうございます! 組織のために頑張ります!」
ボス「・・・・・・」

〇原っぱ
  一週間後──

〇森の中
リザードマン「ちょ、ちょっと待ってくれ!!」
スモーク「命乞いか?」
リザードマン「本当に知らん! 俺が組織を裏切るはずがないだろ!」
スモーク「ここ数年、組織の情報が漏れ続けてる」
スモーク「おまえが、でかい仕事に関わるようになってからだ」
スモーク「金塊強奪のときも、やけにサツの動きが素早かった」
スカル「おまえがサツに情報を売ってるんだろ」
リザードマン「言いがかりだ!!」
スモーク「おまえが組織の金をチョロまかしてるのは知ってる」
リザードマン「そ、それとこれとは・・・」
スカル「裏切者は、血の掟であがなってもらう」
リザードマン「くそっ!!」
スモーク「今のは撫でたのか? このホモ野郎が!!」
リザードマン「ヒイッ!!」
リザードマン「ギャアアーーッ!!」
スモーク「女みたいな悲鳴上げやがった。やっぱり、ホモ野郎だぜ!!」
リザードマン「ヒイッヒイッ!!」
スモーク「温度は低めに調整しといた」
スモーク「くたばるまでに悔いる時間は十分あるぜ」
スカル「・・・・・・」
スモーク「なんだ、もう少し毒トカゲのダンス・ショーを眺めておきたかったのに」
スカル「ここはヤブ蚊が多くてかなわん。さっさと帰って飲みたいぜ」
スカル「裏切者を始末できて、一安心だな」
スモーク「おいおい、ボスの言うことなんか真に受けてるのか?」
スモーク「あれは大きな取引を控えて、疑心暗鬼になってるだけだ」
スモーク「下手すれば、俺たちのことさえ疑いかねんぞ」
スカル「裏切り者は別にいるってのか?」
スモーク「俺の勘ではガーディアンが怪しい。あの忠犬っぷりが逆にな」
スカル「・・・・・・」

〇総合病院

〇黒

〇集中治療室

〇病院の廊下
内海「助かりそうですか?」
警察医「無理だな。いかに怪人でも、あの大火傷では」
内海「情報は聞き出せんか・・・」
内海「ドクター、承知と思いますが、奴の身柄を確保したことは内密に願います」

〇ネオン街

〇焼肉屋
内海「来たか」
内海「すっかり、本物のメンバーみたいだな」
スカル「潜入して七年だ。自分で自分が何者なのか、わけがわからなくなってくる」
内海「昔のおまえを知ってるとウソみたいだ」

〇面接会場
正義「この任務、ぜひ自分にやらせてください!」
正義「命の危険は承知のうえです!」
正義「正義の執行が、自分の使命ですから!!」

〇焼肉屋
スカル「証拠はもう十分集めたはずだ。早く辞めさせてくれ」
スカル「怪人に改造されて、もう五年だ。早く復元処置を受けないと人間にもどれなくなる」
内海「あと少しで、組織を壊滅に追いやれる」
内海「近く、大きな取引があるんだろ。盗聴器で録音をしろ」
スカル「それは無理だと言っただろ!」
スカル「電子制御に特化した怪人がいるんだぞ」
内海「探知されない、最新の機器を技術部が開発した」
スカル「こんなものが信用できるのか?」
内海「保証する。やるんだ」
スカル「・・・・・・」
スカル「・・・わかった。だが、これで終わりにするからな」

〇セルリアンタワー東急ホテル

〇ホテルの部屋
スカル「ふう・・・」
スカル「いよいよ明日か・・・」
スカル「今度ばかりは生きて帰れるかわからんな」
スカル「こんなガラクタに、命を預けんといかんとは・・・」
スカル「・・・・・・」
スカル「紗代か? 俺だ、正義(まさよし)だ。元気か?」
スカル「母さんは? いや、代わらなくていい」
スカル「とうぶんそっちに帰れそうにない」
スカル「ああ、仕事が忙しくてな。じゃあな」
スカル「ふう・・・」

〇沖合

〇港の倉庫

〇ボロい倉庫
スモーク「リリン、様子は?」

〇空
リリン「倉庫の周辺、異常なし」
リリン「サツの気配はまったくないわ。 いい夜ね」

〇ボロい倉庫
スモーク「よし」
ボス「さあて、あの野郎は遅刻してねえかな」
  メンバーたちは、倉庫の中に入っていく。
スモーク「面倒事はごめんだぜ」
シラハ「油断せぬことだ」
スカル「・・・・・・」

〇ボロい倉庫の中
ボス「遅えぞ」
ボス「時間ちょうどじゃねえか」
スモーク「いつ見てもチンケな組織だぜ」
スカル「あれが、俺たちに次ぐナンバー2の組織とはな」
シラハ「二人とも、あれを見ろ」
スカル「あいつらか? 前からいるメンバーだろ」
シラハ「ちがう、もっと左。隅の方に一人でいる男だ」
スモーク「見ない顔だな」
シラハ「只者ではない殺気を放ってる」
スカル「新しく雇った用心棒ってとこか」
ボス「ほら、ブツだ」
ボス「極上だぜ」
ボス「確認させてもらおうか」
ボス「おっと、そっちが先だ」
ボス「ほらよ」
スカル「・・・・・・」
ボス「いいだろう、味見してみな」
ボス「問題ないようだ。取引成立だな」

〇空
リリン「なに!? この反応は・・・!!」

〇ボロい倉庫の中
スモーク「リリン、どうした?」
スモーク「なに!? そうか、わかった」
スカル「スモーク、どうした?」
スモーク「この倉庫に、盗聴器を隠し持った奴がいる」
シラハ「なんと」
スカル「そ、それは・・・」
スモーク「リリン、特定できたか? そうか」
スモーク「そこの奴! 盗聴器をもってるな!!」
メンバー「な、なんだと!? 寝惚けるな!!」
ボス「こいつは信頼できる、おれの子分だぞ!」
スモーク「まちがいない。調べてみろ」
スモーク「そいつは、サツの犬だ」
メンバー「ふ、ふざけるな!!」
ボス「・・・おい」
  子分が身体を調べる
ボス「てめえ!! 裏切ったな!!」
スカル(俺のより旧式の・・・)
メンバー「待て!! おれは警官だ!!」
メンバー「おれに何かあったら、警察を敵に回すことになるぞ!!」
ボス「バカ野郎、端っからサツは敵だ」
ボス「潜入捜査官か。よくも長いこと騙してくれたな」
ボス「やれ! 始末しろ!!」
スモーク「スカル、なんで・・・!?」
スカル「・・・・・・」
ボス「てめえら、よくも!! 罠か!!」
ボス「おまえら、やれ!! 皆殺しにしろ!!」
ボス「おまえら、迎え討て!! 取引は決裂だ!!」
スモーク「くそっ、どうなってやがる!?」
シラハ「やるしかなさそうだな」
カブト「おれの出番か」

〇空
リリン「ちょっと!!」
リリン「はじまっちゃった・・・」

〇ボロい倉庫の中
  凄まじい乱戦が続き、倉庫内には死体の山ができている。
スモーク「くそ、こんなザコに手間取っちまった」
シラハ「それより奴を止めねば」
カブト「ガッハッハ!! くらえ!!」
ガーディアン「ぐわっ!!」
ボス「ガーディアン!!」
シラハ「木の葉の盾が通用せぬとは!!」
スモーク「あの竜巻、人一人血祭りにあげるまでは、どこまで追いかけてきやがる」
スモーク「まるで殺人鬼だな」
ボス「ヒッ!!」
スモーク「あーあ、ボスもやられちまったか」
カブト「まだまだ」
シラハ「おのれ、叩き切ってやる!!」
スモーク「シラハ、やめとけ」
シラハ「なに!? ビクともせぬ!!」
スモーク「シラハ!!」
カブト「達人シラハも、こんなものか!!」
カブト「おまえも死ね!!」
スモーク「いいかげんにしろ」
スモーク「おまえんとこのボスも、流れ弾に当たってとっくにくたばってるじゃねえか」
カブト「ケッ、そんなの関係ねぇ!!」
スモーク「クソッ、いかれてやがるぜ」
スモーク「くそっ、蹴散らされた!!」
カブト「ここまでのようだな」
スモーク「クッ・・・」
カブト「なに!? 俺の竜巻が吸い込まれた!!」
スカル「スモーク、やれ!」
カブト「グワッ!!」
カブト「ギャーッ!!」
スカル「スモーク、おまえを逮捕する」
スモーク「スカル・・・まさか、おまえがサツの犬とはな」
スモーク「次は俺たちの時代だと思ってたが・・・」
スモーク「まあ、組織は俺一人でもなんとかなるか」
スカル「クッ!!」
スモーク「おまえの〈闇の口〉の射程距離はわかってる。勝ち目はないぞ」
スモーク「そういや、それに飲まれた奴らは、本当に地獄に行くのか?」
スカル「いや、生きたまま警察署の一室に転送されるようになってる」
スモーク「やれやれ、一杯食わされたぜ」
スモーク「あばよ!!」
スモーク「なに!? さっき飲み込んだ竜巻を吐き出した!!」
スモーク「クソッ!!」
スカル「・・・・・・」

〇ボロい倉庫
スカル「警察か? 俺は──」
リリン「・・・・・・!!」

〇黒
  三年後──

〇テレビスタジオ
キャスター「ナイトニュースの時間です」
キャスター「2つの巨大犯罪組織が壊滅した『虐殺の金曜日』から、わずか三年──」
キャスター「新たな地下組織の台頭により、再び治安の悪化が懸念されています」
キャスター「この問題に関して、警察の組織犯罪対策部は──」

〇警察署の入口

〇面接会場
内海「説明は以上だ」
内海「やるかどうかは、きみの自由だ。強制はせん」
内海「わかってると思うが、大変な危険がともなう任務だ」
内海「潜入した組織から、怪人改造処置を強要されることもある。生還率は低く、おれの部下も──」
若手刑事「ぜひ、やらせてください!!」
若手刑事「危険な任務は望むところです!」
若手刑事「正義をもって悪を挫くのが、自分の使命ですから!!」

〇黒
  THE END

コメント

  • 登場人物がたくさん出てきたのにそれぞれのキャラクターの書き分けが巧みですんなり頭に入ってきましたし、スカルがスパイだと分かってからの息もつかせぬ展開が圧巻でした。終盤ほっとしたのも束の間、「だから女には油断するなって言ったのに〜」でしたね。そしてまた歴史は繰り返される、というラストもバッチリです。

  • 冒頭のアクションシーンにドキドキ!サクサク倒されていくテンポが良かったです!面白かった!

  • 悪の組織に潜入捜査官が命懸けで任務にあたるリアルさと切なさともどかしさが入り乱れてとても楽しいお話でした。それに、怪人の登場が斬新でした。

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