ペネトレイトボーダー

タロー

「正義の味方」の敵(脚本)

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〇黒
  はじまりは、屈辱の記憶

〇荒地
リマージュ「レッドサンッ! どこへ行くつもりだッ・・・!」
  激闘の末、体を動かすこともままならず、
  口だけが叫びを捻り出す
レッドサン「決着はついた。私は行かなくてはならない」
  殺すべき男の背中が遠ざかる
  俺が倒すべき男―――レッドサン
  この世界を守ろうとする唯一の英雄
  俺が生まれた存在理由―――!
リマージュ「俺は、貴様を倒す為に生まれたんだ!」
リマージュ「お前を倒し、破壊するのが俺の存在理由!」
リマージュ「俺を生かしておけば、必ず、貴様を殺しにいくぞ!!」
  歩みを止めた英雄は、振り返る
レッドサン「・・・リマージュ」
「お前がもしも―――」

〇塔のある都市外観
  □年後―――帝京都誰彼区

〇荒廃したハチ公前
???「―――た、助けてくれッ!!」
怪人体「お、俺達は怪人化していないッ!!」
怪人体「家族だっている! だからッッ!」
???「―――弱ったなぁ。それは」
擬木 博夫「せっかく倒したとしても、 得点にならねえじゃねえかあッ―――!」
  世界は、変わってしまった
  かつて世界征服を企んだ組織シロドクロ
  人間のバイオコードを書き換え、
  怪人に変えてしまう悪の組織は、
  はじまりの男―――
  レッドサンによって壊滅させられた
  世界は、平和になったはずだった
「―――うぐぅ!?」
  バイオコードを書き換えられ、
  怪人と人間の境目となった―――
  少数の人々を取り残して
擬木 博夫「お前らが、人間を騙るなよ、 未怪人・・・!」
擬木 博夫「お前らは、いつか、 怪人になって暴れる危険性がある!」
擬木 博夫「そういう風に判断されたから、この地区に捨てられたんだろうが!」
怪人体「違・・・ッ! わ、私たちは―――ぐっ!」
擬木 博夫「いいから!  とっとと怪人化して死んどけや!!  未怪人がぁ!!!」
  怪人体は、自らの意志で、未怪人から完全な怪人となることが可能になる
  そして、人間を捨て怪人化した者は―――
  対怪人法によって処罰されることになる
  対怪人法特別執行者―――HEROによって
擬木 博夫「おーおーおー、さすがに怪人もどきは タフだねぇ」
擬木 博夫「ま、お前みたいな奴でも、最低キル扱いにはなるからな!」
擬木 博夫「大人しく死んでも―――!」
大文字 飛鳥「―――こんのっっ!」
「うごっ!」
大文字 飛鳥「おじさんッッ! 逃げて!!」
怪人体「―――飛鳥ちゃん!?」
擬木 博夫「あんだこのアマァッ!」
大文字 飛鳥「ぐっ!」
擬木 博夫「・・・何だ、てめえも、未怪人か?」
擬木 博夫「弱いくせに、逆らおうってのか?」
擬木 博夫「このHERO様によぉ!!」
大文字 飛鳥「―――るっさいッ!」
擬木 博夫「あん?」
大文字 飛鳥「うるっさいって言ってるんだよ!」
大文字 飛鳥「見た目ばっかりそれっぽくしたって!」
大文字 飛鳥「やってることは弱い者いじめでそれ以下!」
大文字 飛鳥「戦う意味も! 優しさも! ずっと抱えていた苦悩もないくせに!」
大文字 飛鳥「あとから弱い者いじめして!」
大文字 飛鳥「ヒーローなんて名乗ってるんじゃないよ!!!」
怪人体「飛鳥ちゃん・・・」
擬木 博夫「・・・はッ!」
大文字 飛鳥「うぐっ!!」
擬木 博夫「だったら、どういうのがヒーローだってんだ? ええ?」
擬木 博夫「怪人を倒して、セカイノヘイワを守るのがHEROなんだろ?」
大文字 飛鳥「うるさ・・・ぃ・・・」
大文字 飛鳥「あの人は―――」
大文字 飛鳥「あの人はいつだって・・・!」
大文字 飛鳥「悪党にッ!」
大文字 飛鳥「踏みにじられそうになる・・・ッ」
大文字 飛鳥「誰かの為に――― 戦ってきたんだ・・・!!」
擬木 博夫「誰だよ、あの人って」
大文字 飛鳥「決まってるだろ・・・――!」
大文字 飛鳥「お前なんかとは違う・・・!」
大文字 飛鳥「本物のヒーロー!」

〇黒
「レッドサン・・・ッ!」
  ・・・
  ―――レッド、サン・・・

〇荒廃したハチ公前
擬木 博夫「ハッ、誰だよ、そいつ・・・ 聞いたこともねえッ」
擬木 博夫「もういいや、興覚めだ」
擬木 博夫「―――死ね」
大文字 飛鳥「―――ッッッ!」

〇黒
「―――今」
リマージュ「レッドサン、と言ったか?」

〇荒廃したハチ公前
擬木 博夫「・・・―――」
大文字 飛鳥「―――ッ!」
擬木 博夫「・・・誰だ、お前?」
リマージュ「―――貴様には聞いていない」
リマージュ「・・・そこの女、」
リマージュ「お前は今・・・レッドサンと呼んだのか?」
リマージュ「あの男の名を」
大文字 飛鳥「キミは・・・」
大文字 飛鳥「―――なん、で・・・?」
リマージュ「こちらの質問に答えろ」
リマージュ「今貴様は、レッドサンと―――」
擬木 博夫「―――おいオッサン!!」
擬木 博夫「勝手に俺を無視して 話し出してるんじゃねーよッ!」
擬木 博夫「何だ、アンタも得点狙いのHEROか? だとしたら今更―――!」
リマージュ「・・・ヒーロー?」
リマージュ「・・・レッドサンのことか?」
擬木 博夫「るっせえな!」
擬木 博夫「レッドサンレッドサンうるせえよ!」
擬木 博夫「どこの三流ヒーローのことだ!?」
擬木 博夫「そんな奴のことなんて知らねえよ!!」
擬木 博夫「とっとと俺の前から―――」
リマージュ「そうか」

〇炎
リマージュ「ならば、お前が消えろ」

〇荒廃したハチ公前
「ぎゃあああああああああああっ!」
リマージュ「―――さて、」
リマージュ「女もう一度、問おう」
リマージュ「貴様、レッドサンのことを―――」
怪人体「すげぇ!! 兄ちゃん! すげえ!」
怪人体「あのクソヒーローをやっちまった!!?」
怪人体「私達の事、助けてくれたのね!!?」
大文字 飛鳥「あ、いや、みんな、待っ―――!」
リマージュ「・・・何だ、貴様ら」
リマージュ「勝手に入ってくるな」
リマージュ「俺はレッドサンを―――」
大文字 飛鳥「あっ! あ! あー!」
大文字 飛鳥「え、えっと! えっとねッッッ!」
大文字 飛鳥「レ、レッドサンは――― その、今、他の組織と戦ってて!」
大文字 飛鳥「いない! いないんだよ! ウン!」
リマージュ「・・・」
大文字 飛鳥「で、えっと、ボクらは―――!」
リマージュ「―――なら、いい 貴様らに用はない」
大文字 飛鳥「ま、待ってって! ホラ―――!」
リマージュ「・・・―――それは」
大文字 飛鳥「少年レッドサン隊の隊員証―――」
大文字 飛鳥「キミも見たことあるよね、リマージュ」
リマージュ「貴様・・・奴の仲間か・・・?」
リマージュ「少年―――にしては、 随分と年齢が高い気がするが」
大文字 飛鳥「ほ、放っといてよ!」
大文字 飛鳥「だから、その―――!」
リマージュ「―――」
リマージュ「―――まぁ、いい」
リマージュ「ここにいれば、奴が帰ってくる」
リマージュ「そういうことだな」
大文字 飛鳥「え、あ・・・ウン」
リマージュ「邪魔をした」
怪人体「―――ね、ねぇ、飛鳥・・・!」
怪人体「あの・・・怪人・・・」
怪人体「ひょっとして・・・!」
大文字 飛鳥「―――大丈夫だよ、多分」
大文字 飛鳥「変わってなかったら―――」
大文字 飛鳥「卑怯な手は使わずに、決着を望む」
大文字 飛鳥「そういう人だから」
怪人体「だけど、レッドサンは・・・」
大文字 飛鳥「―――大丈夫」

〇黒
「絶対、いつか、帰ってくる」

〇荒れた倉庫
リマージュ「―――」
大文字 飛鳥「や、やっほー! 来ちゃったよー!」
リマージュ「―――」
大文字 飛鳥「ご飯、持ってきた」
大文字 飛鳥「食べる?」
大文字 飛鳥「・・・好きでしょ? おにぎり」
大文字 飛鳥「頑張って作ったんだけど―――」
リマージュ「・・・いらん」
大文字 飛鳥「えっ」
リマージュ「貴様が食ったらどうだ」
リマージュ「涎が出ている」
大文字 飛鳥「だ、大丈夫だよッ!」
大文字 飛鳥「こ、こんな体だし!」
大文字 飛鳥「備蓄だって、余裕があるわけじゃないし!」
大文字 飛鳥「滅多に食べなくたって、そうそう簡単に死なないし―――」
リマージュ「体は大丈夫でも、腹の虫は鳴くわけか」
リマージュ「まぁいい」
リマージュ「―――お前も、怪人体、だな?」
大文字 飛鳥「・・・ッッ」
リマージュ「ここの住民もそうだ」
リマージュ「なぜ、このような立場に甘んじている」
大文字 飛鳥「・・・甘んじてるってわけじゃないけど」
大文字 飛鳥「酷い目にあってるから、って」
大文字 飛鳥「ボクたちが人を襲っていいわけじゃない」
大文字 飛鳥「でしょ?」
リマージュ「―――」
大文字 飛鳥「それにヒーローも、悪い人ばかりでもないんだ」
大文字 飛鳥「ちゃんと・・・人助けしてる人もいる」
リマージュ「それに貴様らは入っているのか?」
大文字 飛鳥「・・・―――」
リマージュ「図星か」
リマージュ「貴様らは人間のカテゴリーから外れている」
リマージュ「助けてもカウントされないから、助ける者もいない、と」
大文字 飛鳥「―――・・・ッ」
リマージュ「なぜ、反抗しない?」
リマージュ「人間としての枷を外し、完全に怪人化してしまえば・・・」
大文字 飛鳥「・・・怪人化なら、しないよ」
大文字 飛鳥「少なくとも―――」
大文字 飛鳥「ボクは、怪人には、ならない」
大文字 飛鳥「あの人が、悲しむから」
大文字 飛鳥「あの人が、帰ってきた時」
大文字 飛鳥「ボクだけでも、ちゃんと迎えたいから」
大文字 飛鳥「・・・体は、人間じゃないとしたってさ」
大文字 飛鳥「・・・せめて・・・心だけは」
リマージュ「―――」
リマージュ「下らんな、実に下らん」
???「―――そうですね、実に愚かだ」
大文字 飛鳥「・・・!」
ヒーニック将軍「久しぶりですね、リマージュ」
リマージュ「ヒーニック将軍・・・」
リマージュ「シロドクロの秘密警察隊長」
リマージュ「侵入に幻惑、洗脳を得意とし 日本の重鎮を 意のままに操ろうとした」
リマージュ「この現状はそうか、貴様らの仕業か」
大文字 飛鳥「それじゃあ―――シロドクロは!? レッドサンは!?」
ヒーニック将軍「シロドクロは、滅ぼされました 忌々しいことにね」

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コメント

  • 飛鳥ちゃんとレッドサンの関係が徐々に明らかになりながら、怪人が彼女の存在をより重要視していっている様子が伝わり、悪を捨て自らヒーローに転身しようとしているようでした。

  • キャラクターそれぞれが、自らの価値観や信念をしっかり抱き続けているので、皆カッコよく映ります。重厚で読み応え充分の素晴らしい物語ですね。

  • まず、なによりヒーローを探す主人公の怪人が格好良すぎました。
    どことなく好意的な飛鳥との絡みに対しても変に良心的な部分を描かず「下らん」と言う設定がブレてなくて非常に良かったです。
    また、回想シーンの挿入やいきなり登場のシーンなども他のライターさんと比べてもかなり上手いと思います。私も勉強になりました。

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