パシリ屋小走駿太郎

芹川サンキュー

エピソード7(脚本)

パシリ屋小走駿太郎

芹川サンキュー

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〇駅前ロータリー(駅名無し)
  一台の軽トラックが停まっている。

〇停車した車内
小走駿太郎「おい、朝だぞ。いつまで寝てんだ」
武井早希「もうちょっと寝させて」
小走駿太郎「こっちは会社半休にして長野まで来てんだよ」
小走駿太郎「起きろったら起きろ!」
武井早希「もう。この背もたれ硬すぎる。肩凝るわ」
小走駿太郎「文句垂れてんじゃねー!」
小走駿太郎「母ちゃんの家どこだ!?︎」

〇古いアパート
小走駿太郎「ここか?」
小走駿太郎「なんか、随分とぼろっちい家だな」
武井早希「・・・・・・」
小走駿太郎「なんだ? 今更怖気付いてんのか?」
武井早希「そんなわけないでしょ」
小走駿太郎「じゃあ、行くぞ」
武井早希「あ、待って」
小走駿太郎「あ?」
小走駿太郎「お! ちょうどいいじゃん」
小走駿太郎「なんだよ」
武井早希「やっぱり・・・帰ろう」
小走駿太郎「は? 何言ってんだよ」
小走駿太郎「せっかくここまで来たのに帰るわけねーだろ」
武井早希「お金はちゃんと払うから」
武井早希「ね。帰ろう?」
小走駿太郎「駄目だ!」
武井早希「帰る!」
小走駿太郎「お前、本当にそれでいいのか?」
武井早希「・・・・・・」
小走駿太郎「今逃げたら一生後悔するぞ」
武井早希「・・・わかったわよ」
小走駿太郎「一歩踏み出しちまえば大したことねーって」
武井早希「・・・うん」
  麻衣に向かって歩き出す早希。
武井早希「あ」
  早希の足が止まる。
小走駿太郎「あの人たち誰だ?」
武井早希「母の恋人と、その連れ子だと思う。 あの赤ちゃんはその娘かしら」
  犬を散歩中の老人が近づいてくる。
犬「ワン! ワン!」
小走駿太郎「ひいいぃっ」
小走駿太郎「あっち行け! しっしっ!」
武井早希「やっぱり無理!」
小走駿太郎「あ、おい。早希!」
吉永麻衣「早希?」

〇河川敷
小走駿太郎「とりゃっ!」
  小走の投げた石が水を切って向こう岸に届く。
小走駿太郎「見た?」
武井早希「何を?」
小走駿太郎「今、向こう岸まで届いたじゃん!」
武井早希「そう・・・」
小走駿太郎「なんだよ。なんで見てないかなー」
武井早希「・・・ねえ、もう帰ろ?」
小走駿太郎「はぁ」
小走駿太郎「ほら、お前もやってみろよ」
  首を横に振る早希。
小走駿太郎「楽しいからやってみろって」
武井早希「いい」
小走駿太郎「ほら、立て」
  早希を強引に立たせると、石を持たせる。
武井早希「・・・・・・」
小走駿太郎「ばっかだな。そんなんでできるかよ」
小走駿太郎「もっと手首にスナップかけて回転させんだよ」
小走駿太郎「いいか。俺が放せって言ったら放せよ」
  小走、早希の手を思いっきり振る。
小走駿太郎「放せ!」
武井早希「すごい!」
小走駿太郎「すごくねえよ。一回だけじゃん」
武井早希「すごいすごい!」
小走駿太郎「お前、やったことねーの?」
小走駿太郎「小学生の時とか、何して遊んでたんだ?」
武井早希「家事の手伝いで忙しくて、あんまりみんなと遊べなかったから」
小走駿太郎「・・・親が憎いか?」
武井早希「・・・うん」
武井早希「小走さんは、親が憎くないの?」
小走駿太郎「あ?」
武井早希「只野さんから聞いたよ。施設で育ったって」
小走駿太郎「あんの野郎。余計なことを」
武井早希「小走さんも親に捨てられたんでしょ?」
武井早希「親のこと、憎いんでしょ?」
小走駿太郎「ぜーんぜん」

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